【標準】素因数分解とルート
ここでは、素因数分解を行う問題のうち、ルートが絡んだものを見ていきます。
素因数分解とルートその1
ルートのついた数字が自然数になるかどうかを考える上で、素因数分解は役に立つことが多いです。具体的には、次のような問題です。
$n$ に具体的に数字を入れて確かめていくのは大変です。ここでは、 $84$ という数字に注目して考えます。
$84$ を素因数分解すると\[ 84=2^2\times 3\times 7 \]となります。 $\sqrt{84n}$ が自然数となるのは、 $84n$ がある自然数の2乗となったときです。よって、 $84n$ を素因数分解したとき、各素因数の指数はすべて偶数ではないといけません。 $2^2$ はいいですが、 $3,7$ の部分はダメですね。さらに $3\times 7$ を掛ける必要があります。よって、最小の自然数 $n$ は $21$ となります。
実際に代入して確かめてみると、\[ \sqrt{84\times 21}=\sqrt{2^2\times 3^2\times 7^2}=2\times 3\times 7 \]となります。
なお、 $\sqrt{84n}$ が自然数になるような、自然数 $n$ は無数にあります。例えば、 $n=2^2\times 21$, $5^2\times 21$ などとすると、 $\sqrt{84n}$ は自然数となります。
素因数分解とルートその2
先ほどはルートの中が積の場合を考えましたが、商の場合もあります。
ここでも、素因数分解が役に立ちます。 $84$ を素因数分解すると\[ 84=2^2\times 3\times 7 \]となります。 $\sqrt{\dfrac{84}{n} }$ が自然数となるのは、ルートの中を素因数分解すると、各素因数の指数がすべて偶数になるときです。そこで、まず、 $3,7$ は消えないといけません。 $2^2$ の部分は、丸々残るか、消えるかのどちらかで、 $2^1$ の形で残ることはできません。そのため、 $n=21,84$ の2つであることがわかります。
おわりに
ここでは、素因数分解を用いた、ルートに関する問題を見ました。ルートのついた数が自然数になるときというのは、ルートの中が何かの2乗になっているときであり、それは素因数分解をしたときに、各素因数の指数が偶数になるときである、ということです。このようにして、素因数分解を使うことができます。