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【基本】倍数判定法

ここでは、倍数かどうかを簡単に判定する方法について見ていきます。

📘 目次

2の倍数・5の倍数の判定法

【基本】約数と倍数で見たように、整数 $a$ が整数 $b$ の倍数になっているかどうかは、 $a=bk$ を満たす整数 $k$ があるかどうかで決まります。そのため、倍数であることを確認するには、割り算をする必要があります。

しかし、いくつかの場合には、もっと簡単な計算で倍数かどうかを確認できます。以下では、自然数 $N$ が、ある数の倍数かどうかを判別する方法について考えます。

一番簡単な例は、2の倍数でしょう。2の倍数かどうかを確認するために、わざわざ2で割る人はいないでしょう。例えば、 $7654$ が2の倍数かどうかは、見た瞬間にわかります。一の位を見ればいいですね。

なぜ一の位を見ればいいかというと、十の位以上は必ず2の倍数になるからですね。自然数 $N$ の一の位を $a$ としましょう。このとき、整数 $A$ を使って、\[ N=10A+a \]と書くことができます。先ほどの例なら、 $7654=765\times 10+4$ と書く、ということですね。 $10A$ は2で割れるので、 $N$ が2で割れるかどうかは、一の位である $a$ が2で割れるかどうかを確認すればいい、ということになります。 $7654$ は一の位が偶数なので、偶数であることがわかります。

同様に、5の倍数も一の位を見るだけで済みます。\[ N=10A+a \]で、 $10A$ は5で割り切れるので、 $N$ が5で割れるかどうかは、一の位である $a$ が5で割り切れるかどうかを見ればいいですね。 $7654$ は、一の位が5の倍数でないので、もとの数も5の倍数ではないことがわかります。

4の倍数・8の倍数の判定法

では、いつでも一の位を見ればいいか、というとそうではありません。 $5432$ の一の位は4の倍数ではないですが、これは $5432=1358\times 4$ なので、4の倍数です。一の位だけを見ていてもダメです。

なぜダメかというと、\[ N=10A+a \]と分けても、 $10A$ が4の倍数とは限らないからです。先ほどはここが2の倍数になったから、残りの部分だけを考えればよかったですが、ここが4の倍数でないときは無視することはできません。

しかし、ここであきらめる必要はありません。一の位だけでなく、十の位も併せて考えてみましょう。そうするといいことが起こります。自然数 $N$ の下2桁を $b$ とすると、残りは100以上の部分です。こう分解すると、整数 $B$ を使って、\[ N=100B+b \]と書くことができます。 $100B=4\times 25B$ は4の倍数になります。よって、 $N$ が4の倍数かどうかは、下2桁の部分 $b$ が4の倍数かどうかを見ればいいことがわかります。先ほどの例も、下2桁を見れば $32$ なので、たしかに4の倍数になっています。

8の場合も同様です。 $100$ は8の倍数ではないですが、 $1000$ は8の倍数です。なので、8の倍数かどうかを見るには、下3桁が8の倍数かどうかを見ればいいことがわかります。

3の倍数・6の倍数・9の倍数の判定法

2の倍数を判定するときに、「10の倍数とそれ以外」と分解しました。これは、「10が2の倍数」だから意味があるのでした。では、3の倍数の場合はどうすればいいでしょうか。「10の倍数とそれ以外」に分けたところで、前半が3の倍数かどうかはわかりません。

3の倍数のときは、少し特殊な変形をします。無理やり3の倍数を生み出すために、「10を9とそれ以外に分ける」というような方法で変形します。

例えば、4桁の自然数 $N$ の場合を考えましょう。千の位、百の位、十の位、一の位を、順番に、 $a,b,c,d$ をすると、\[ N=1000a+100b+10c+d \]と書くことができます。これを以下のように分解します。
\begin{eqnarray} N &=& (999+1)a+(99+1)b+(9+1)c+d \\[5pt] &=& (999a+99b+9c)+(a+b+c+d) \\[5pt] &=& 9(111a+11b+c)+(a+b+c+d) \\[5pt] \end{eqnarray}こうすると、最後の式の前半部分は9の倍数なので、3の倍数でもあります。つまり、3の倍数かどうかを考えるには、後半部分が3の倍数になっているかどうかを考えればいいことがわかります。これは、各位の数の和です。

ここでは4桁の場合を見ましたが、何桁でも同じ議論ができます。よって、3の倍数かどうかを確かめるには、各位の数の和が3の倍数かどうかを見ればいい、ということがわかります。例えば、 $54321$ という数なら、各位の和が $5+4+3+2+1=15$ なので3の倍数だから、元の数も3の倍数であることがわかります。大きい数になればなるほど、この判定方法は威力を発揮します。

同じ式変形により、9の倍数かどうかも判定できます。9の倍数かどうかは、各位の数の和が9の倍数かどうかを見ればいいですね。 $54321$ という数なら、各位の和が $15$ なので9の倍数ではないから、もとの数も9の倍数ではないことがわかります。

また、6の倍数かどうかは、3の倍数で偶数かどうかをチェックすればいいですね。

おわりに

ここでは、いくつかの倍数判定法について見てきました。まとめておきましょう。

倍数判定法
自然数 $N$ について、以下が成り立つ。
  • 一の位が2の倍数なら、 $N$ は2の倍数
  • 各位の和が3の倍数なら、 $N$ は3の倍数
  • 下2桁が4の倍数なら、 $N$ は4の倍数
  • 一の位が5の倍数なら、 $N$ は5の倍数
  • 2の倍数かつ3の倍数なら、 $N$ は6の倍数
  • 下3桁が8の倍数なら、 $N$ は8の倍数
  • 各位の和が9の倍数なら、 $N$ は9の倍数

特に、3の倍数・9の倍数は覚えておきましょう。7の倍数の判定法が上のリストにないですね。一応、判定方法はあり、別の記事(【応用】倍数判定法(7と11と13の場合))で取り上げますが、あまり計算が簡単になるわけではないため、特に覚えておく必要はないでしょう。

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