【標準】三角形の垂心(なぜ3つの垂線は1点で交わるか)
ここでは、三角形の垂心が存在することを見ていきます。
垂線
三角形の垂心の話をする前に、垂線の話をします。
各頂点に対し、向かいにある辺(その頂点を含まない辺)のことを、対辺といいます。各頂点からは、次のように対辺に垂線を下ろすことができます。
対辺の延長線上に下ろすこともあります。
それぞれの頂点から垂線がひけるので、垂線は3本ひけることがわかります。
3つの垂線が1点で交わることの証明
この垂線について、次のような性質があります。
この点のことを垂心(orthocenter) といいます。このことを示してみましょう。なお、少し先で見ることになる、【基本】四角形が円に内接するための条件 の結果を使います。
まずは名前をつけましょう。三角形 ABC において、 A, B から対辺に下した垂線の足をそれぞれ P, Q とします。この2つの線は平行にはならないので1点で交わります。この点を H とし、 CH と AB の交点を R とします。
R のところには、直角マークがないことに注意しましょう。
この CR が垂線であることを示しましょう。もしこれが示せたら、3つの垂線は H で交わることがわかるからです。
$\angle \mathrm{ CPH }$, $\angle \mathrm{ CQH }$ はともに直角なので、 C, P, H, Q の4点は、 CH を直径とする円周上にあります。(参考:【基本】四角形が円に内接するための条件)
このことから、\[ \angle \mathrm{ HCQ }=\angle \mathrm{ HPQ } \]であることがわかります。
また、$\angle \mathrm{ APB }$, $\angle \mathrm{ AQB }$ もともに直角なので、 A, B, P, Q の4点は、 AB を直径とする円周上にあります。(参考:【基本】四角形が円に内接するための条件)
このことから、\[ \angle \mathrm{ APQ }=\angle \mathrm{ ABQ } \]であることがわかります。
よって、2つを合わせると\[ \angle \mathrm{ ACR }=\angle \mathrm{ ABQ } \]がわかります。このことから、
\begin{eqnarray}
\angle \mathrm{ ARC }
&=&
180^{\circ} -\angle \mathrm{ RAC } -\angle \mathrm{ ACR } \\[5pt]
&=&
180^{\circ} -\angle \mathrm{ BAQ } -\angle \mathrm{ ABQ } \\[5pt]
&=&
\angle \mathrm{ AQB } \\[5pt]
&=&
90^{\circ}
\end{eqnarray}となることがわかります。つまり、 CR は AB に下した垂線であることがわかります。
鈍角三角形のときは、少し見た目が異なりますが、まったく同じように示すことができます。
直角三角形のときは、直角の部分で1点に交わります。
以上のことから、3つの垂線は1点で交わることがわかります。どんな三角形にも垂心が存在することがわかりました。
おわりに
ここでは、三角形の3つの垂線が1点で交わることを見ました。このことはいくつか証明の仕方がありますが、図形的に示すならば、ここで示したような内容になります。