【標準】絶対値を含む一次不等式(場合分け)
この記事では、不等式に絶対値が含まれている問題を考えます。場合分けをして絶対値記号を外す方法を紹介します。なお、【標準】絶対値を含んだ一次不等式(絶対値の性質)も参考になるでしょう。
絶対値を含む不等式の考え方
絶対値については、【基本】絶対値で紹介しましたが、簡単に復習しましょう。$x$ の絶対値とは、$x$ が0以上のときは $x$ 、負のときは $-x$ とする数のことでした。$|x|$ という記号で $x$ の絶対値を表します。
また、絶対値の入った方程式の解き方は、【応用】文字の入った絶対値の計算で紹介しました。絶対値の中が0以上か負かで状況が変わるため、これに応じて場合分けをして考えるのがポイントでした。
「絶対値を含む不等式」も、この解き方を応用します。絶対値の中が0以上か負かで場合を分けて、解いていきます。実際の問題で見ていきましょう。
例題
(1) $|x+1|\gt 2$
(2) $|x-2|\leqq 1$
それぞれ、絶対値の中身が0以上か負かで場合分けをします。
(1)は、$x+1$ が0以上か負かで場合分けをします。 $x\geqq -1$ と $x\lt -1$ で分かれますね。
$x\geqq -1$ のときは、元の不等式の絶対値はそのまま外していいので、$x+1\gt 2$ を解けばいいことになります。 これから $x\gt 1$ となります。よって、場合分けの条件と合わせると、$x\gt 1$ となります。
一方、$x\lt -1$ のときは、元の不等式の絶対値は、マイナスをつけて外せばいいので、$-x-1\gt 2$ となります。これを計算して解くと $x\lt -3$ であることがわかります。よって、場合分けの条件と合わせると、$x\lt -3$ となります。
以上から、解は、$x\lt -3$, $x\gt 1$ となります。両方の範囲が解になります。
(2)の $|x-2|\leqq 1$ を考えます。これは、$x\geqq 2$ と $x\lt 2$ で場合分けをします。
$x\geqq 2$ のときは、元の不等式は $x-2\leqq 1$ なので、$x\leqq 3$ となります。よって、場合分けの条件と合わせると、 $2\leqq x \leqq 3$ となります。
$x\lt 2$ のときは、元の不等式は $-x+2\leqq 1$ となるので、計算すると$x\geqq 1$ となります。場合分けの条件と合わせると、$1\leqq x \lt2$ となります。
$1\leqq x \lt2$ と $2\leqq x \leqq 3$ の2つの範囲があるように見えますが、この2つはつながっています。なので、答えはこの2つを合わせて $1\leqq x \leqq 3$ となります。
おわりに
ここでは、絶対値を含んだ一次不等式の解き方を見てきました。絶対値の中が0以上か負かで場合分けをし、それぞれの場合で不等式を解き、最後に範囲をまとめる、という手順でしたね。
絶対値を含んだ一次不等式の解き方は、他にもあります。【標準】絶対値を含んだ一次不等式(絶対値の性質)で取り上げているので、こちらも見てみましょう。