🏠 Home / 数学II / 指数関数と対数関数 / 指数の拡張

【標準】指数の計算

ここでは、指数が整数や有理数である累乗を含んだ計算の具体例を見ていきます。

📘 目次

整数乗の計算

例題1
次の計算をしなさい。
(1) $2^{-5}\times(4^2)^2\div 8^{-1}$
(2) $(xy^2)^3\div(x^{-1}y)^2$

(1)は、2と4と8というバラバラの数字が使われていますが、どれも「2のなんとか乗」に書き換えることができますね。こういう場合は、書き換えてから考える方がわかりやすくなります。

$4=2^2$ なので、中央部分は、\[ (4^2)^2=4^4=(2^2)^4=2^{8} \]と変形できます。指数法則の $(a^m)^n = a^{mn}$ を使っています。また、「 $\div 8^{-1}$ 」の部分は、「 $\times(8^{-1})^{-1}$ 」と同じことです。逆数を掛けることとマイナス乗を掛けることは同じだったからですね(参考:【基本】整数の指数)。\[ (8^{-1})^{-1}=8=2^3 \]となります。

以上から
\begin{eqnarray} & & 2^{-5}\times(4^2)^2\div 8^{-1} \\[5pt] &=& 2^{-5}\times 2^8 \times 2^3 \\[5pt] &=& 2^{-5+8+3} \\[5pt] &=& 2^6 \\[5pt] &=& 64 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。2行目から3行目への変形で、指数法則の $a^m a^n = a^{m+n}$ を使っています。 $2^{-5}$ などを直接計算するよりも、「2のなんとか乗」に揃えてから計算したほうが、まとめて計算できるようになるので楽になります。

(2)は、指数法則の $(ab)^n=a^nb^n$ を使います。これを使って、同じ文字をまとめます。
\begin{eqnarray} & & (xy^2)^3\div(x^{-1}y)^2 \\[5pt] &=& x^3y^6\times(x^{-1}y)^{-2} \\[5pt] &=& x^3 y^6\times x^2 y^{-2} \\[5pt] &=& x^5 y^4 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

有理数乗の計算

例題2
次の計算をしなさい。
(1) $2^{\frac{1}{2} }\times 32^{\frac{1}{6} }\div 8^{\frac{1}{9} }$
(2) $\dfrac{2^{\frac{1}{3} }\times 3^{\frac{1}{2} }}{ 6^{\frac{1}{6} }\times 1.5^{\frac{1}{3} } }$

有理数乗の場合も整数乗のときと同じで、「○のなんとか乗」と変形できる場合は合わせるようにします。そして、指数法則を使って、計算していきます。

(1)は、「2のなんとか乗」と変形してから計算します。
\begin{eqnarray} & & 2^{\frac{1}{2} }\times 32^{\frac{1}{6} }\div 8^{\frac{1}{9} } \\[5pt] &=& 2^{\frac{1}{2} }\times (2^5)^{\frac{1}{6} }\times (2^3)^{-\frac{1}{9} } \\[5pt] &=& 2^{\frac{1}{2}+\frac{5}{6}-\frac{3}{9} } \\[5pt] &=& 2^{\frac{3+5-2}{6} } \\[5pt] &=& 2 \end{eqnarray}となります。

(2)は、分子に2と3がありますね。この2つを「○のなんとか乗」にまとめることはできません。

ただ、分母の6は、 $2\times 3$ と分解できますね。これと指数法則の $(ab)^n=a^nb^n$ を使えば\[ 6^{\frac{1}{6} }=2^{\frac{1}{6} }\times 3^{\frac{1}{6} } \]と分解できることがわかります。また、 $1.5$ は $3\times 2^{-1}$ なので、\[ 1.5^{\frac{1}{3} }=3^{\frac{1}{3} }\times2^{-\frac{1}{3} } \]と分解できます。

以上から
\begin{eqnarray} & & \dfrac{2^{\frac{1}{3} }\times 3^{\frac{1}{2} }}{ 6^{\frac{1}{6} }\times 1.5^{\frac{1}{3} } } \\[5pt] &=& \dfrac{2^{\frac{1}{3} }\times 3^{\frac{1}{2} }}{ 2^{\frac{1}{6} }\times 3^{\frac{1}{6} } \times 3^{\frac{1}{3} }\times 2^{-\frac{1}{3} } } \\[5pt] &=& \dfrac{2^{\frac{1}{3} }}{ 2^{\frac{1}{6} }\times 2^{-\frac{1}{3} } } \times \dfrac{3^{\frac{1}{2} }}{ 3^{\frac{1}{6} } \times 3^{\frac{1}{3} } } \\[5pt] &=& 2^{\frac{1}{3}-\frac{1}{6}+\frac{1}{3} } \times 3^{\frac{1}{2}-\frac{1}{6}-\frac{1}{3} } \\[5pt] &=& 2^{\frac{1}{2} } \times 3^0 \\[5pt] &=& \sqrt{2} \end{eqnarray}となります。逆数を掛けることとマイナス乗は同じ、ということを使って、3行目から4行目へ変形しています。

おわりに

ここでは、整数乗や有理数乗の計算の具体例を見ました。整数乗・有理数乗の定義や指数法則は、それぞれ個別に見たときはそれほど難しくありませんが、慣れていないとどう組み合わせたらいいかわかりにくいかもしれません。計算の練習をしてスムーズに変形できるようにしておきましょう。

関連するページ

YouTubeもやってます

チャンネル登録はコチラから (以下は、動画のサンプルです)
【むずかしい】防衛医科大学校2024年度数学第5問 藤田医科大学2024年度後期数学第1問8 岡山大学2024年度数学文理共通第1問 埼玉大学文系2024年度数学第3問 順天堂大学医学部2024年度数学第3問 東北大学2024年度後期数学文理共通第4問