【標準】ド・モルガンの法則(集合)
ここでは、「ド・モルガンの法則」を見ていきます。共通部分、和集合、補集合が出てくるので、不安な人は、【基本】共通部分と和集合や【基本】補集合を先に読んだ方がいいでしょう。
「かつ」以外
例えば、クラスの生徒を「東京ディズニーランド(TDL)に行ったことがあるか」「ユニバーサルスタジオジャパン(USJ)に行ったことがあるか」で分けたとしましょう。そうすると、生徒は次の4つのグループに分かれます。
- TDLにもUSJにも行ったことがある
- TDLに行ったことはあるが、USJには行ったことがない
- TDLに行ったことはないが、USJには行ったことがある
- TDLに行ったことがないし、USJにも行ったことがない
このとき、次の問題を考えてみましょう。
- TDLに行ったことがない、かつ、USJに行ったことがない
- TDLに行ったことがない、または、USJに行ったことがない
「行ったことがある」以外なので、「行ったことが"ない"」になるのはわかると思います。しかし、「かつ」と「または」については、間違える人が多いんですよね。
表で考える
「行った/行ってない」を、次のような表にしてみましょう。「○」が「行った」、「×」が「行ってない」を示しています。
TDL | USJ | |
---|---|---|
グループ1 | ○ | ○ |
グループ2 | ○ | × |
グループ3 | × | ○ |
グループ4 | × | × |
「TDLに行ったことがない、かつ、USJに行ったことがない」であれば、両方×のグループ4だけになってしまいます。一方、「TDLに行ったことがない、または、USJに行ったことがない」なら、1つでも×があればいいので、グループ2から4までになります。
このことから、「"TDLもUSJも行ったことがある人"以外」というのは、「TDLに行ったことがない、または、USJに行ったことがない」と同じ内容であることが分かります。
ここで重要なのは、「"A かつ B" でない」が、「A でない または Bでない」になるということです。「かつ」の否定が「または」になっている点がポイントです。
「または」以外
先ほどは「"A かつ B" 以外」を考えましたが、続いて「"A または B" 以外」を考えてみます。同じ例で言えば、「"TDLに行ったことがある、または、USJに行ったことがある人"以外」ということです。
もう一度表で考えてみます。
TDL | USJ | |
---|---|---|
グループ1 | ○ | ○ |
グループ2 | ○ | × |
グループ3 | × | ○ |
グループ4 | × | × |
このことから、「"A または B" でない」が、「A でない かつ B でない」になることがわかります。
ド・モルガンの法則
今までの話が分かれば、「ド・モルガンの法則」はわかったも同然です。
「"AかつB" でない」が「Aでない、または、Bでない」と同じであること
「"AまたはB" でない」が「Aでない、かつ、Bでない」と同じであること
この2つが「ド・モルガンの法則」です。数式で書くと、次のようになります。
- $\overline{A\cap B} = \overline{A} \cup \overline{B}$
- $\overline{A\cup B} = \overline{A} \cap \overline{B}$
数式で書くとシンプルですが、これを見ても内容を理解するのは難しいかもしれません。ただ、やっていることは、今まで見たように「"AかつB"でない」や「"AまたはB"でない」を言い換えているだけです。
ちなみに、「ド・モルガン」は、この法則を見つけたイギリスの数学者の名前です。
おわりに
「"AかつB"でない」や「"AまたはB"でない」について見てきました。よくある間違いとして、「"AかつB"でない」を「Aでない、かつ、Bでない」にしてしまう、というものがあります。この記事で見たようにこれは間違いで、正しくは「Aでない、または、Bでない」です。
慣れてくると機械的に変換できますが、慣れるまでは表をかくなどして、落ち着いて考えましょう。
なお、ここで見た「ド・モルガンの法則」は、単独で問われることはないですが、今後学ぶ「命題」「場合の数」「確率」などで再び登場することになります。また出会ったときに、このページのことを思い出しましょう。