【標準】並び替えて展開する
【標準】置き換えて展開するでは、数式を展開するときに、計算量が減る方法を紹介しました。今回は、掛ける順番を変えることで計算量が減る例を紹介します。「置き換え」よりも使える場面は少ないですが、使えるときは積極的に使っていきましょう。
例題1
次の例題を考えてみます。
(1) $(x+1)^2(x-1)^2$
(2) $(a^2+1)(a+1)(a-1)$
例えば、(1)の場合、まず2乗の部分を計算する方法もありますが、それだと計算が大変です。掛け算は順番を変えても答えが変わらないので、先に$(x+1)(x-1)$を計算し、全体を2乗したほうが楽になります。次のように計算しましょう。
\begin{eqnarray}
& &
(x+1)^2 (x-1)^2 \\
&=&
\{ (x+1)(x-1) \}^2 \\
&=&
(x^2-1)^2 \\
&=&
x^4 -2x^2 +1
\end{eqnarray}2乗の部分を先に計算していたら、項の数が増えて、計算量も増えてしまいます。
(2)も、左から順番に計算するより、右の部分を先に計算したほうが楽になります。うまく公式が使えるので、次のように計算しましょう。
\begin{eqnarray}
& &
(a^2+1)(a+1)(a-1) \\
&=&
(a^2+1)(a^2-1) \\
&=&
a^4-1 \\
\end{eqnarray}計算する順番を変えるだけで、かなり楽になります。
例題2
次は少し難しいですが、どう計算するのがいいか、考えてみましょう。
$(x+1)(x+2)(x+3)(x+4)$
一見すると、掛ける順番を変えたところで、何も変わらないようにも見えます。しかし、【標準】置き換えて展開するでやったように、「共通する部分が出てくるように変形する」と考えると、わかりやすいかもしれません。
答えを書いてしまうと、これを計算するには、1項目と4項目、2項目と3項目を掛ければOKです。次のように計算できるようになります。
\begin{eqnarray}
& &
(x+1)(x+2)(x+3)(x+4) \\
&=&
(x+1)(x+4)\times(x+2)(x+3) \\
&=&
(x^2 +5x +4)(x^2 +5x +6) \\
\end{eqnarray}まだ計算の途中ですが、この式をよく見てみましょう。「$x^2+5x$」という共通部分が出てきましたね。これを1つのかたまりだと考えれば、次のように計算できます。
\begin{eqnarray}
& &
(x^2 +5x +4)(x^2 +5x +6) \\
&=&
(x^2 +5x)^2 +10(x^2 +5x) +24 \\
&=&
x^4 +10x^3 +25x^2 +10x^2 +50x +24 \\
&=&
x^4 +10x^3 +35x^2 +50x +24 \\
\end{eqnarray}もちろん、左から全部展開していってもいいのですが、上のような計算の方が出てくる項の数が少なく、計算しやすくなります。
おわりに
ここでは、掛ける順番を変えて展開する方法を見てきました。また、置き換えて展開する方法と合わせて計算する方法も見ました。
展開は力づくでもできますが、計算量を減らして楽できる場合は、積極的に楽をしていきましょう。そうすることで、計算時間や計算ミスの減少につながっていきます。