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【標準】並び替えて展開する

【標準】置き換えて展開するでは、数式を展開するときに、計算量が減る方法を紹介しました。今回は、掛ける順番を変えることで計算量が減る例を紹介します。「置き換え」よりも使える場面は少ないですが、使えるときは積極的に使っていきましょう。

📘 目次

例題1

次の例題を考えてみます。

例題1
次の式を展開しなさい。
(1) $(x+1)^2(x-1)^2$
(2) $(a^2+1)(a+1)(a-1)$

例えば、(1)の場合、まず2乗の部分を計算する方法もありますが、それだと計算が大変です。掛け算は順番を変えても答えが変わらないので、先に$(x+1)(x-1)$を計算し、全体を2乗したほうが楽になります。次のように計算しましょう。
\begin{eqnarray} & & (x+1)^2 (x-1)^2 \\ &=& \{ (x+1)(x-1) \}^2 \\ &=& (x^2-1)^2 \\ &=& x^4 -2x^2 +1 \end{eqnarray}2乗の部分を先に計算していたら、項の数が増えて、計算量も増えてしまいます。

(2)も、左から順番に計算するより、右の部分を先に計算したほうが楽になります。うまく公式が使えるので、次のように計算しましょう。
\begin{eqnarray} & & (a^2+1)(a+1)(a-1) \\ &=& (a^2+1)(a^2-1) \\ &=& a^4-1 \\ \end{eqnarray}計算する順番を変えるだけで、かなり楽になります。

例題2

次は少し難しいですが、どう計算するのがいいか、考えてみましょう。

例題2
次の式を展開しなさい。
$(x+1)(x+2)(x+3)(x+4)$

一見すると、掛ける順番を変えたところで、何も変わらないようにも見えます。しかし、【標準】置き換えて展開するでやったように、「共通する部分が出てくるように変形する」と考えると、わかりやすいかもしれません。

答えを書いてしまうと、これを計算するには、1項目と4項目、2項目と3項目を掛ければOKです。次のように計算できるようになります。
\begin{eqnarray} & & (x+1)(x+2)(x+3)(x+4) \\ &=& (x+1)(x+4)\times(x+2)(x+3) \\ &=& (x^2 +5x +4)(x^2 +5x +6) \\ \end{eqnarray}まだ計算の途中ですが、この式をよく見てみましょう。「$x^2+5x$」という共通部分が出てきましたね。これを1つのかたまりだと考えれば、次のように計算できます。 \begin{eqnarray} & & (x^2 +5x +4)(x^2 +5x +6) \\ &=& (x^2 +5x)^2 +10(x^2 +5x) +24 \\ &=& x^4 +10x^3 +25x^2 +10x^2 +50x +24 \\ &=& x^4 +10x^3 +35x^2 +50x +24 \\ \end{eqnarray}もちろん、左から全部展開していってもいいのですが、上のような計算の方が出てくる項の数が少なく、計算しやすくなります。

おわりに

ここでは、掛ける順番を変えて展開する方法を見てきました。また、置き換えて展開する方法と合わせて計算する方法も見ました。

展開は力づくでもできますが、計算量を減らして楽できる場合は、積極的に楽をしていきましょう。そうすることで、計算時間や計算ミスの減少につながっていきます。

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