【標準】置き換えによる因数分解
ここでは、式の一部を置き換えて因数分解をする方法を紹介します。一部を置き換えて計算する方法は、展開の場合に【標準】置き換えて展開するで紹介しましたが、因数分解でも置き換えを使う場面はあります。出くわす頻度は少な目ですが、見ていきましょう。
例題1
$2(x+y)^2+5(x+y)+2$
これは見た瞬間に $x+y$ を置き換えればいいな、ということが分かりますね。これを $A$ とおいて変形すると、
\begin{eqnarray}
& &
2(x+y)^2+5(x+y)+2 \\
&=&
2A^2+5A+2 \\
&=&
(2A+1)(A+2) \\
&=&
\{2(x+y)+1\}(x+y+2) \\
&=&
(2x+2y+1)(x+y+2) \\
\end{eqnarray}となることがわかります。
例題2
次は少しレベルアップしています。
$(x+2y-2)(x+2y-3)-2$
少しわかりにくくなりましたが、よく見ればわかります。今度は $x+2y$ を $A$ とおきます。最後の $-2$ があるため、展開して計算した後に因数分解する、という手順をとります。
\begin{eqnarray}
& &
(x+2y-2)(x+2y-3)-2 \\
&=&
(A-2)(A-3)-2 \\
&=&
A^2-5A+4 \\
&=&
(A-1)(A-4) \\
&=&
(x+2y-1)(x+2y-4) \\
\end{eqnarray}展開はしますが、全部展開してしまうと計算が面倒になります。他の文字に置き換えることで、無駄な展開をおさえることができます。共通部分があれば置き換えることを考えましょう。
例題3
さらにさらにレベルアップしてみます。
$(x-1)(x-2)(x+3)(x+4)-36$
これはかなり大変です。共通部分が何もありません。地道に展開していくしかないんでしょうか。
実は、【標準】並び替えて展開するで見たように、順番を並び替えて共通部分を作り出す方法があるんですね。これを参考にして考えてみます。
共通部分が出てくるように、前4つのカッコのうち、1つ目と3つ目、2つ目と4つ目をそれぞれ掛けて展開してみます。すると、うまい具合に $x^2+2x$ の部分が出てくるので、あとはこれをひとかたまりと考えて計算していきます。
\begin{eqnarray}
& &
(x-1)(x-2)(x+3)(x+4)-36 \\
&=&
(x-1)(x+3)\times(x-2)(x+4)-36 \\
&=&
(x^2+2x-3)(x^2+2x-8)-36 \\
&=&
(x^2+2x)^2 -11(x^2+2x) -12 \\
&=&
(x^2+2x+1)(x^2+2x-12) \\
&=&
(x+1)^2(x^2+2x-12) \\
\end{eqnarray}このように計算できます。考えづらい場合は、$x^2+2x$ を別の文字に置き換えて考えてみましょう。
下から2行目に出てくる $x^2+2x+1$ の部分は、さらに因数分解ができるので実行します。これ以上因数分解ができない、という状態にしないと、正解にはなりません。
おわりに
ここでは、置き換えによる因数分解をいくつかみてきました。前半では、「共通する部分があれば、文字で置き換える」ことを見ました。後半では、「共通する部分がなくても、共通する部分が作り出せる」例を見てきました。共通する部分が出てくるように展開することがキーになっていましたね。
因数分解なのに、一度展開しないといけないし、うまく展開しないと後の計算が大変なので、難しいですね。よく練習しましょう。