【発展】三角比と角の二等分線
ここでは、三角形の角の二等分線の長さを一派的な形で求めてみます。【標準】三角比と角の二等分線で見た内容の一般化です。
三角形の角の二等分線の長さ
【標準】三角比と角の二等分線で見た問題を一般化した、次のような状況を考えてみます。
$\triangle \mathrm{ ABC }$ において、 $\angle \mathrm{ A }$ の二等分線と BC の交点を D とします。 $\mathrm{ AB }=a$, $\mathrm{ AC }=b$, $\mathrm{ BD }=x$, $\mathrm{ CD }=y$ のときに、 AD の長さを求めてみましょう。
【標準】三角比と角の二等分線での解法と同じように、 $\cos \angle \mathrm{ B }$ に注目して考えていきます。
$\triangle \mathrm{ ABC }$ に対して余弦定理を用いると
\begin{eqnarray}
\cos \angle \mathrm{ B }
&=&
\frac{a^2+(x+y)^2-b^2}{2a(x+y)}
\end{eqnarray}となります。
また、 $\triangle \mathrm{ ABD }$ に対して余弦定理を用いると
\begin{eqnarray}
\cos \angle \mathrm{ B }
&=&
\frac{a^2+x^2-\mathrm{ AD }^2}{2ax}
\end{eqnarray}となります。
このことから、次が成り立ちます。
\begin{eqnarray}
\frac{a^2+(x+y)^2-b^2}{2a(x+y)} &=& \frac{a^2+x^2-\mathrm{ AD }^2}{2ax} \\[5pt]
\{a^2+(x+y)^2-b^2\}\frac{x}{x+y} &=& a^2+x^2-\mathrm{ AD }^2 \\[5pt]
\end{eqnarray}ここで、 AD は $\angle \mathrm{ A }$ の二等分線なので、 $a:b=x:y$ が成り立ちます。このことから、 $\displaystyle \frac{x}{x+y}=\frac{a}{a+b}$ が成り立ちます。これを上の式に代入すると
\begin{eqnarray}
\mathrm{ AD }^2
&=&
a^2+x^2 -\{a^2-b^2+(x+y)^2\}\frac{x}{x+y} \\[5pt]
&=&
a^2+x^2 -(a^2-b^2)\frac{a}{a+b} -x(x+y) \\[5pt]
&=&
a^2+x^2 -a(a-b) -x(x+y) \\
&=&
ab-xy
\end{eqnarray}となります。よって、\[ \mathrm{ AD }=\sqrt{ab-xy} \]が得られます。
結果をまとめると、次のようになります。
確認
【標準】三角比と角の二等分線で解いた問題をもう一度考えてみます。
まずは、上で見た内容の x,y にあたる長さを求めましょう。
\begin{eqnarray}
\mathrm{ BD }
&=&
\mathrm{ BC }\times\frac{\mathrm{ AB } }{\mathrm{ AB }+\mathrm{ AC } } \\[5pt]
&=&
6\times\frac{5}{12} \\[5pt]
&=&\frac{5}{2}
\end{eqnarray}であり、これから \[ \mathrm{ CD }=6-\frac{5}{2}=\frac{7}{2} \]もわかります。
上で見た内容から、
\begin{eqnarray}
\mathrm{ AD }
&=&
\sqrt{5\cdot 7-\frac{5}{2}\cdot\frac{7}{2} } \\[5pt]
&=&
\sqrt{35-\frac{35}{4} } \\[5pt]
&=&
\frac{\sqrt{105} }{2}
\end{eqnarray}となり、当然ですが、【標準】三角比と角の二等分線で見た内容と一致します。
おわりに
ここでは、三角形の角の二等分線がどう表されるかを、一般的な形で求めました。結果はきれいな形ですが、結果そのものを覚えるよりも、導き方を理解しておくようにしましょう。