【応用】倍数判定法(7と11と13の場合)
ここでは、7の倍数・11の倍数・13の倍数を判定する方法を見ていきます。
9の倍数の判定法の復習
【基本】倍数判定法では、ある自然数がある数の倍数になっているかを簡単に見分ける方法を見ました。 2, 4, 8 や 5 の倍数になっているかどうかは、一の位や、下2桁・下3桁を見ればいいのでした。これは、10が2や5の倍数になっていること、100が4の倍数で1000が8の倍数になっていること、が根拠になっていました。
また、3の倍数や9の倍数の見分け方は、上の場合とは異なり、各位の数の和を調べる、という方法でした。これは、 $10a$, $100b$, $1000c$ などを、 $9a+a$, $99b+b$, $999c+c$ というように、3の倍数や9の倍数とそれ以外に分け、残った部分が各位の数になっていることが根拠となっていました。6の倍数は、2の倍数と3の倍数の判定法を組み合わせればいいですね。
残念ながら、7の倍数については、わかりやすい判定方法はありません。ただ、一応、あるにはあるので、以下で見ていくことにします。
発想としては、9の倍数の見分け方の応用です。9の倍数のときは、9の倍数とそれ以外、と分けました。こういうような分け方ができれば、各位の数だけに注目すればよくなり、判定が少し簡単になります。まずは、11の倍数の見分け方で考えてみましょう。
11の倍数の判定法
4桁の数字 $1000a+100b+10c+d$ が11の倍数かどうかを判定する方法を考えてみましょう。
9の倍数のときは、10を9と1に分けましたが、11の場合に無理やり似たように10を分けようとするなら、11と-1に分ける、という発想が出てきます。9の倍数のときと違って、100や1000は同じように分けられないので、とりあえず、10倍のところとそれ以外に分け、10を分解する、という方法で変形してみます。
\begin{eqnarray}
& & 1000a+100b+10c+d \\
&=& 10(100a+10b+c)+d \\
&=& 11(100a+10b+c)-(100a+10b+c)+d \\
&=& 11(100a+10b+c)-100a-10b-c+d \\
\end{eqnarray}こうなります。これで、最後の式の前半部分は11の倍数になることがわかります。ということは、後半部分が11の倍数になるかどうかをチェックするだけでいいですね。といってもめんどくさそうですね。
同じ式変形を繰り返してみましょう。 $-100a-10b-c+d$ の部分だけ考えればいいので、ここだけを抜き出します。はじめの2つは、また10でくくることができるので、さらに11と-1に分ける変形ができます。
\begin{eqnarray}
& & -100a-10b-c+d \\
&=& -10(10a+b)-c+d \\
&=& -11(10a+b)+(10a+b)-c+d \\
&=& -11(10a+b)+10a+b-c+d \\
\end{eqnarray}再び、最後の式の前半部分は11の倍数になることがわかりました。なので、後半部分を考えればいいですね。 $10a$ は $11a-a$ と分解できるのだから、結局\[ -a+b-c+d \]が11の倍数であるかどうかをチェックすれば、もとの数字が11の倍数かどうかがわかる、ということです。この式は、各位を下から符号を変えて足しあわせたものです。
例えば、変な例ですが、 $1234512345$ という数字を考えてみましょう。下の位から、符号を変えて足し合わせると\[
5-4+3-2+1-5+4-3+2-1=0 \]なので、割らなくても、11の倍数だ、と分かります。
7の倍数の判定法
さて、11の場合は、10を11と-1に分けた結果、各位の数を符号を変えて足し合わせたものを見れば倍数かどうかを判定できる、ということを見ました。これを応用して、7の倍数の場合を考えてみましょう。
といっても、7の場合は、10を分けるなら、7と3にわけるしかなさそうです。これでは、「各位の数の3倍」が出てきて、余計に計算が面倒になりそうです。
そこで、10を分けるのではなく、他のもっと分けやすい数字はないか、と考えます。9の倍数のときには、100や1000も分けましたが、このような大きな数字で探してみましょう。
そうすると、 $1001$ という数字が見つかります。これは\[ 1001=7\times 11\times 13 \]と表される数で、7の倍数です。これを用いれば、1000を1001と-1に分けることができます。
この分け方からもわかる通り、今度は、各位の数ではなく、3桁ごとに分けて考える必要が出てきます。ここでは例として、9桁の数を考え、0以上999以下の整数 $a,b,c$ を使って、 $1000000a+1000b+c$ という数字が7の倍数かどうかを判定する方法を考えてみます。
1000を1001と-1に分けようという発想で変形すると
\begin{eqnarray}
& & 1000000a+1000b+c \\
&=& 1000(1000a+b)+c \\
&=& 1001(1000a+b)-(1000a+b)+c \\
\end{eqnarray}となります。ここで、前半部分は7の倍数でしたね。なので後半部分を見ればよく、 $1000a$ はさらに $1001a$ と $-a$ に分けられます。なので、最終的に、 $a-b+c$ が7の倍数であるかどうかをチェックすればいいことがわかります。
一般的には、数字を下から3桁ごとに分け、下から符号を変えながら足し、その数が7で割ればいいかで確認する、という方法で7の倍数かどうかを判別できます。偶然にも、 $1001=7\times 11\times 13$ なので、この判別は、11や13の場合でも通用します。
ただ、3桁ごとに区切って、符号を変えながら足す、というのは、なかなか面倒です。桁が多く、3桁ごとに区切った数字がわかりやすい場合でしかメリットがありません。
例えば、1が12個並んだ数は、7の倍数であり11の倍数であり13の倍数であることがわかります。ただ、こんなに計算が簡単なケースはほとんどなく、普通は、7の倍数であるかどうかを確認するには、7で割ったほうがはやいでしょう。11の判定は、普通は、一番初めに紹介した方法を使います。13の判定は、そもそもそれが必要になる場面が少ないでしょう。
おわりに
ここでは、7・11・13の倍数の判定法を見ました。【基本】倍数判定法で見た内容と合わせてまとめておきましょう。組み合わせてできるものも含めました。
- 一の位が2の倍数なら、 $N$ は2の倍数
- 各位の和が3の倍数なら、 $N$ は3の倍数
- 下2桁が4の倍数なら、 $N$ は4の倍数
- 一の位が5の倍数なら、 $N$ は5の倍数
- 2の倍数かつ3の倍数なら、 $N$ は6の倍数
- 3桁ごとに区切り、下から符号を変えて足し合わせたものが7の倍数なら、 $N$ は7の倍数
- 下3桁が8の倍数なら、 $N$ は8の倍数
- 各位の和が9の倍数なら、 $N$ は9の倍数
- 一の位が0なら、 $N$ は10の倍数
- 各位の数を下から符号を変えて足し合わせたものが11の倍数なら、 $N$ は11の倍数
- 3の倍数かつ4の倍数なら、 $N$ は12の倍数
- 3桁ごとに区切り、下から符号を変えて足し合わせたものが13の倍数なら、 $N$ は13の倍数
7や13は、一度見ておく程度でいいでしょう。使うことはほとんどありません。11のケースも、使うケースは少ないです。判別法よりも、3や9のときと同じように、10や1000を分解した、という導き方を覚えておくほうが大事です。