【基本】文字を使った式で表そう(単位が異なる場合)
ここでは、一次式の計算を踏まえて、いろいろな数量を式で表す方法を改めて見ていくことにします。単位が異なるものを扱う場合を考えます。
数量を文字式で表す(単位が異なる場合)
いろいろな数量を式で表す方法は、【標準】文字を使って表そうなどですでに見ていますが、ここでは、次のような問題を考えてみましょう。リンク先で見た内容と似ていますが、少しひっかけがあります。
「 $x$ mのひもから、 $y$ cmのひもを切り取ったとき、残ったひもの長さは何cmですか。」
$x-y$ と答えたいところですが、よく見ると、単位が異なります。 $x$ のほうはメートルで、 $y$ のほうはセンチメートルです。単位が違うので、そのまま計算することができません。「 $2$ mのひもから $50$ cm切り取る」ときを考えてみると、 $2-50$ ではないですよね。文字の計算でも、単位をそろえてから計算する必要があります。
今の場合は、「何cmか」と聞かれているので、 $x$ mを cm になおします。100倍して $100x$ cmとなります。こうしてから $y$ を引いた、 $(100x-y)$ cm が答えです。
もし、「何mですか」と聞かれていたら、 $y$ のほうを変換して $\left(x-\dfrac{y}{100}\right)$ mとします。
例題
(1) $a$ kgのお米と $b$ gの肉を買ったときの合計の重さ(単位:g)
(2) $m$ 万円の商品を $n$ 円引きで買ったときの値段(単位:円)
(3) 男子生徒が120人で、女子生徒が男子生徒より $s$ %多いときの女子生徒の人数 (単位:人)
(4) $x$ kmの道を毎分 $70$ mで歩いたときにかかる時間(単位:時間)
(1)は、グラムで答えるので、お米の単位を変えないといけないですね。1kgは1000gなので、1000倍すればいいですね。 $1000a$ gのお米と $b$ gの肉を合わせるので、重さは $(1000a+b)$ gとなります。
(2)は、万円を円にかえないといけません。1万倍すればいいので、商品の値段は $10000m$ 円となります。よって、値引き後の値段は $(10000m-n)$ 円となります。
(3)は、 $s$ %となっていることに注意しましょう。もし、 $3$ %なら $\dfrac{3}{100}$ を掛けることになるのだから、 $s$ %の場合は、 $\dfrac{s}{100}$ を掛けることになります。男子の人数120と、この $s$ %分を合わせたものが女子の人数なので
\begin{eqnarray}
& & 120+120\times\dfrac{s}{100} \\[5pt]
&=& 120+\dfrac{6}{5}s \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。女子の人数は、 $\left(120+\dfrac{6}{5}s\right)$ 人となります。
別の考え方として、 $120$ と $1+\dfrac{s}{100}$ とを掛ける方法もあります。分配法則を使えば、
\begin{eqnarray}
& & 120\times \left(1+\dfrac{s}{100}\right) \\[5pt]
&=& 120+120\times\dfrac{s}{100} \\[5pt]
\end{eqnarray}となり、先ほどと同じ式が出てくるので、最終的に同じ答えになることがわかります。
(4)は、速さの問題です。数字でも苦手が人が多いのに、文字になるとさらに難しくなりますね。まずは、数字の場合にどのように計算するかを考えてみるとわかりやすいかもしれません。
$3$ kmの道を毎分 $70$ mで歩いたとき、何時間かかるかを考えてみましょう。よく見ると、単位がいろいろ混じっていますね。まずは km を m に変換しましょう。こうすると、「 $3000$ mの道を毎分 $70$ m で歩く」となります。1分で $70$ m進むのだから、 $3000$ m進むには\[ \dfrac{3000}{70}=\frac{300}{7} \]分かかることがわかります。さらに面倒なことに、答えは分ではなくて時間で答えなさい、となっています。60分が1時間なので、60で割ればいいですね。\[ \dfrac{300}{7} \div 60=\frac{5}{7} \]となります。よって、 $3$ kmの場合なら、 $\dfrac{5}{7}$ 時間と求められます。
この $3$ kmの部分を $x$ kmに置き換えて同じように考えてみましょう。まずはこれをメートルにします。1000倍して、 $1000x$ mになることがわかります。この距離を1分毎に $70$ m進んでいくので、掛かる時間は\[ 1000x\div 70 =\frac{100}{7}x \]分となります。これをさらに時間にします。60分を1時間に変換するので、60で割ればいいですね。\[ \frac{100}{7}x\div 60=\frac{5}{21}x \]時間と求められます。答えは、 $\dfrac{5}{21}x$ 時間となります。ちなみに、 $x=3$ とすると、たしかに先ほど求めた $\dfrac{5}{7}$ 時間になりますね。
おわりに
ここでは、文字を使った式で数量を表す場合に、単位が違うケースを扱いました。単位が違うケースは、単位をそろえてから式を作るようにします。どのように単位を合わせるかは、具体的な数字でどのように計算するかを考えてから、文字式を作るといいでしょう。