【標準】文字で整数を表して何がうれしいんだろう?

ここでは、文字で整数を表すことで、どのようなことがわかるのか、見ていくことにします。

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文字で整数を表して何がうれしいんだろう?

【基本】文字を使った式で表そう(整数を表す場合)では、偶数や2桁の自然数などを、文字を使って表しました。しかし、文字で表すことで何がいいのでしょうか。余計にわかりにくくなってしまったと感じる人もいるでしょう。

実は、整数を文字で表すことで、整数の一般的な性質を理解しやすくなる、というメリットがあります。これが体感できるようになるのはずっと後のことなのですが、今の時点で、どのようなことがわかるのか、少し難しいかもしれませんが見ていくことにしましょう。

2桁の自然数の各桁を入れ替えて足してみよう

一の位が $0$ ではない2桁の自然数について考えてみます。例えば、 $21$ について考えてみましょう。この十の位と一の位を入れ替えると、 $12$ となります。元の数と足せば、 $33$ となります。

$35$ ならどうでしょうか。入れ替えると $53$ なので、足した答えは $88$ です。

「入れ替えて足すと、同じ数が並ぶ」という法則がありそうですが、そうはなりません。例えば、 $64$ なら、入れ替えた後は $46$ となり、和は $110$ となってしまいます。 $111$ にはなりません。

ただ、「 $11$ の倍数になるのではないか」という気がしますね。 $33$ も $88$ も $110$ も、 $11$ の倍数になっています。 $75+57=132$ や $92+29=121$ なども見ると、たしかに $11$ の倍数になってそうな感じです。

しかし、これを確かめるには、本来ならば、 $11$ から $99$ までのたくさんの自然数に対して、位の数字を入れ替えて足す、という計算をする必要があります。でも、大変ですね。

そこで、文字で表す方法の登場です。

十の位を $a$ とし、一の位を $b$ としましょう。 $a,b$ は、 $1$ から $9$ までの自然数とします。【基本】文字を使った式で表そう(整数を表す場合)でも見たように、この2桁の自然数は、\[
10a+b \]で表すことができるのでした。また、十の位と一の位を入れ替えると、十の位が $b$ で一の位が $a$ なので、入れ替えた後の数は\[ 10b+a \]と表すことができます。よって、2つの数の和は\[ (10a+b)+(10b+a)=11a+11b \]となります。 $a,b$ は自然数なので、 $11a,11b$ はともに11の倍数です。なので、和も11の倍数です。

このことから、たしかに、「一の位が $0$ ではない2桁の自然数について、十の位と一の位を入れ替えた数との和は、11の倍数になる」ことがわかります。

このように、具体的な数を使ってたくさん計算しなくても、文字を使えば一度にいろいろな数に対して性質を確かめることができます。これが、整数を文字で表すことのメリットの一つです。

連続する数を足してみよう

もう一つ、例を挙げましょう。

上のリンク先では、偶数や奇数も文字で表しました。先ほどのように2桁の自然数なら、すべてを書き出して確かめる方法もありますが、偶数や奇数の場合は、無限個あるので、すべてを書き出して確かめることはもはやできません。しかし、文字を使えば、その問題も解消されます。

さて、連続する2つの整数の和を考えてみましょう。 $2,3$ とか、 $99,100$ とか、 $-10,-9$ でも何でも構いません。計算してみると、ぜんぶ奇数になりますね。これはなぜでしょうか。

これも、文字を使って確認することができます。連続する2つの整数を考えます。小さい方を $n$ とすれば、残りの方は $n+1$ となりますね。なので、2つの整数の和は\[ n+(n+1)=2n+1 \]となります。整数を2倍して1を足す、ということは、2で割ると1余る数を表しています。つまり、この式から、「連続する2つの整数の和は、奇数である」ことがわかります。

文字を使わすに同じ内容を示すこともできます。例えば、連続する2つの整数があったとき、「偶数、奇数」と並んでいるか、「奇数、偶数」と並んでいるかのどちらかです。どちらにしても、2で割ったときの余りが $0$ と $1$ の組合せなので、和を2で割ったら余りが $1$ になります。なので、奇数だ、ということがわかります。

文字を使わないと、整数の性質を表すことができないわけではありません。ただ、文字式を使うほうが、わかりやすくなることが多く、複雑な内容も表せるようになっていきます。

ちなみに、連続する3つの整数の和は、3の倍数になります。これはなぜでしょうか。同じように、一番小さい整数を $n$ と置くと、残りの2つは、 $n+1$, $n+2$ なので、和は\[ n+(n+1)+(n+2)=3n+3 \]となります。整数に3をかけて3を足したものなので、必ず3で割り切れます。なので、連続する3つの整数の和は、3の倍数になることがわかります。

文字を使えば、一度にたくさんの整数について、性質を確認することができます。

おわりに

ここでは、文字を使って整数を表すことで、整数の持つ一般的な性質を表せる例を見てきました。このような性質を示せる点が、文字を使うことのメリットの1つとなっています。将来、より複雑な式や性質を扱うことで、今以上にありがたみがわかってくると思います。