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【基本】三角比と円に内接する四角形

ここでは、三角比の問題でよく出てくる、円に内接する四角形について見ていきます。中学校で学んだ内容の復習も含みます。

📘 目次

三角比と円に内接する四角形

正弦定理では、外接円が出てきました。その関連で、試験では円に内接する四角形と絡めた問題がよく出題されます。まずは、円に内接する四角形で、よく使う性質を復習しておきましょう。

中学の時にも学びましたが、円に内接する四角形について、向かい合う2つの角を足すと180度になる、という性質があります。例えば、四角形 ABCD が円に内接しているとします。

このとき、 $\angle \mathrm{ A }$ と $\angle \mathrm{ C }$ の中心角を考えてみると、その和は360度となります。なので、 $\angle \mathrm{ A }$ と $\angle \mathrm{ C }$ の和は180度となります。

この性質が、三角比の補角の公式と関連づきやすいんですよね。

例えば、上の状況で、 $\angle \mathrm{ A }$ の三角比の値がわかっていれば
\begin{eqnarray} & & \sin \angle \mathrm{ C } = \sin (180^{\circ} -\angle \mathrm{ A }) = \sin \angle \mathrm{ A } \\ & & \cos \angle \mathrm{ C } = \cos (180^{\circ} -\angle \mathrm{ A }) = -\cos \angle \mathrm{ A } \\ \end{eqnarray}となり、向かいの角の三角比も出せるようになります。こうした使い方をよくします。

例題

例題
円に内接する四角形 ABCD がある。 $\mathrm{ AB }=4$, $\mathrm{ BC }=5$, $\mathrm{ CD }=4$, $\angle \mathrm{ B }=60^{\circ}$ とする。このとき、ACAD の長さを求めなさい。

図をかくと、次のような状況です。

まず、三角形 ABC について余弦定理を使うと
\begin{eqnarray} \mathrm{ AC }^2 &=& 4^2+5^2-2\cdot4\cdot5\cdot\cos 60^{\circ} \\ &=& 16+25-20 \\ &=& 21 \\ \end{eqnarray}なので、 $\mathrm{ AC }=\sqrt{21}$ となります。

次に、 AD を出すために、三角形 ACD について考えます。 CD と先ほど求めた AC しかないように見えますが、四角形 ABCD が円に内接していることから、 $\angle \mathrm{ D }=120^{\circ}$ がわかります。これを利用して余弦定理を使います。 $\mathrm{ AD }=x$ とすると
\begin{eqnarray} 21 &=& x^2+4^2-2\cdot x\cdot 4\cos120^{\circ} \\ 21 &=& x^2+16+4x \\ \end{eqnarray}となるので \begin{eqnarray} x^2+4x-5 &=& 0 \\ (x+5)(x-1) &=& 0 \\ x &=& 1,-5 \end{eqnarray}と求められます。 $x\gt 0$ なので、 $\mathrm{ AD }=x=1$ となります。

ちなみに、 AD の長さだけであれば、三角比を使わずに、図形的に解くこともできます。

まず、 $\mathrm{ AB }=\mathrm{ CD }$ から、 $\angle \mathrm{ ACB }=\angle \mathrm{ DAC }$ がわかります。このことから、 ADBC が平行であることがわかります。また
\begin{eqnarray} \angle \mathrm{ BCD } &=& \angle \mathrm{ ACB }+\angle \mathrm{ ACD } \\ &=& \angle \mathrm{ DBC }+\angle \mathrm{ ABD } \\ &=& \angle \mathrm{ ABC } =60^{\circ} \\ \end{eqnarray}となります。ここで、 A, D から BC に垂線をおろし、その足をそれぞれ E,F とすると、\[ \mathrm{ BC }=\mathrm{ BE }+\mathrm{ EF }+\mathrm{ FC } \] となります。 BECF も $4\sin60^{\circ}=2$ であり、 $\mathrm{ EF }=\mathrm{ AD }$ なので、 $\mathrm{ AD }=1$ とわかります。

このように、三角比の問題では、図形的に考えて解くことができたり、ヒントとして使える場面がたくさんあります。中学校の図形の内容が不安な人は、見直しておくと役に立つでしょう。

おわりに

ここでは、三角比の問題でよく登場する、円に内接する四角形について見てきました。向かい合う内角の和が180度になる、というのはよく使うので覚えておきましょう。

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