【基本】因数分解
ここでは、基本的な因数分解について見ていきます。ほとんど中学校の復習です。
因数分解
$x(x+1)(x-1)$ を展開すると、 $x^3-x$ になります。逆に、$x^3-x$ の状態から $x(x+1)(x-1)$ の形に変形することを「因数分解する」といいます。もう少し難しく言うと、次のようになります。
因数分解したときにできるそれぞれの整式を因数と呼びます。
因数分解をすると、式の構成要素が分かるので、その式の性質が分かりやすくなります。
上の例であれば、 $x^3-x=0$ を満たす x について考えた場合、 $x=0,1$ はすぐに出てくるかもしれませんが、 $x=-1$ は少し気づきにくいんじゃないでしょうか。しかし、 $x(x+1)(x-1)=0$ であれば、それぞれの構成要素が0になるときを考えればいいので、漏れが発生しにくくなります。
因数分解は展開とは異なり、「機械的にやっていけばいつでもできる」わけではありません。状況に応じて、方法を考えていく必要があります。そのため、因数分解は展開よりも難しいと言えるでしょう。
また、まだ因数分解ができる状態で答えを書くと、計算の途中とみなされ、不正解になることがあります。
ここから先では、因数分解を行う方法について見ていきます。
共通因子でくくる
因数分解でまず行うことは、「共通因子でくくる」ということです。
すべての項に共通している因数を探し、もしあれば
\begin{eqnarray}
AB+AC=A(B+C)
\end{eqnarray}とカッコの外に出します。分配法則を逆に使うわけですね。
例えば、 $2xy+4x^2y-8xy^2$ を因数分解してみます。係数の数字はどれも2の倍数です。また、どの項も、 $x,y$ がそれぞれ1回以上ずつ掛けられています。よって、共通因数 $2xy$ をくくりだして、次のようにします。
\begin{eqnarray}
2xy+4x^2y-8xy^2 = 2xy(1+2x-4y)
\end{eqnarray}
また、次のように、共通因子がひとかたまりになっていることもあります。
\begin{eqnarray}
& &
(a-b)x +(b-a)y \\
&=&
(a-b)x -(a-b)y \\
&=&
(a-b)(x-y) \\
\end{eqnarray}ここでは、「$a-b$」が共通因子になっている、ということですね。
因数分解の公式
因数分解は展開の逆なので、展開で出てきた公式がそのまま因数分解の公式にもなります。【基本】展開の公式で見た展開の公式のうち、最後のもの以外を載せておきます。
1番と2番は、「2乗」の部分を探してから公式が使えるかどうかを判断します。
3番は、「$x^2 +\bigcirc x +\triangle$」の形を見つけます。そして「足して○、掛けて△」となる数字の組合せを探します。「掛けて△」の条件の方が厳しい(組合せが少ない)ので、「掛けて△になる組合せのうち、足して○になるものはないかな」と探すのがいいですね。
例題
次の問題を解いてみましょう。
(1) $x^2-2x+1$
(2) $4a^2-25b^2$
(3) $x^2+6x+8$
(4) $x^2-2ax-15a^2$
(1)は、公式の1番目を使えばいいですね。
\begin{eqnarray}
x^2-2x+1=(x-1)^2
\end{eqnarray}となります。
(2)は、2乗引く2乗なので、2番の公式です。
\begin{eqnarray}
4a^2-25b^2 = (2a+5b)(2a-5b)
\end{eqnarray}
(3)は、3番の公式です。足して6、掛けて8なので、2と4の組合せであることが分かります。
\begin{eqnarray}
x^2+6x+8 = (x+2)(x+4)
\end{eqnarray}
(4)は、$a$ が入っていますが、3番目の公式を使います。足して $-2a$ で、掛けて $-15a^2$ です。いろいろ試してみると、 $-5a$ と $3a$ の組合せであることが分かります。
\begin{eqnarray}
x^2-2ax-15a^2 = (x-5a)(x+3a)
\end{eqnarray}
おわりに
ここでは、因数分解について見てきました。ほとんど中学校の復習でした。ここから、もう少し難しいケースにも挑戦していきましょう。次は、たすき掛けを使った因数分解を見ていきます(【基本】たすき掛けを使った因数分解)。