【基本】方べきの定理(接線)
ここでは、接線に関する方べきの定理について見ていきます。
方べきの定理の復習
【基本】方べきの定理(2本の弦)で見たように、方べきの定理とは、以下の図で $\mathrm{PA}\cdot\mathrm{PB} = \mathrm{PC}\cdot\mathrm{PD}$ が成り立つことをいいます。
ここで、見方を変えてみましょう。2本の弦ではなく、交点の $\mathrm{P}$ を基準にしてみます。点 $\mathrm{P}$ を固定して、この点を通るように弦 $\mathrm{AB}$ を動かしてみます。このとき、方べきの定理から、 $\mathrm{PA}\cdot \mathrm{PB}$ の値が一定になる、といえます。
また、方べきの定理には、弦の交点が円の外側にあるバージョンもあるのでした。
この場合でも、先ほどと同じ式\[ \mathrm{PA}\cdot\mathrm{PB} = \mathrm{PC}\cdot\mathrm{PD} \]が成り立ちます。
このバージョンでも、見方を変えてみます。円の外にある点 $\mathrm{P}$ を固定して、この点を通り、円と2点で交わるように動かします。このときにできる弦を $\mathrm{AB}$ とすると、 $\mathrm{PA}\cdot \mathrm{PB}$ の値が一定になります。
方べきの定理は、このように見ることもできるんですね。
方べきの定理その3
さて、方べきの定理を別の見方から見てみましたが、2つ目のバージョンについてもう一度考えてみます。
円の外にある点から直線を引いた場合、円と2点で交わることもありますが、1点だけを共有することもあります。接するときですね(【基本】円の接線)。この場合について考えてみます。
このときは、弦の長さが短くなって1点になってしまった、とも考えられます。
ということは、この場合も $\mathrm{PA}\cdot \mathrm{PB}$ の値は一定になると予想できます。実際にそうなのか、確かめてみましょう。
次のような状況を考えてみます。
直線 $\mathrm{PT}$ は円に接していて、 点 $\mathrm{T}$ は接点とします。このとき、 $\mathrm{PA\cdot PB}=\mathrm{PT}^2$ となることを示してみます。
次のように線を結びます。
このとき、 $\triangle \mathrm{PTA}$ と $\triangle \mathrm{PBT}$ について、 $\angle \mathrm{P}$ が共通であることがわかります。また、接弦定理から、\[ \angle \mathrm{PTA}=\angle \mathrm{PBA} \]が成り立ちます(参考:【基本】接弦定理)。こうして、 $\triangle \mathrm{PTA}$ ∽ $\triangle \mathrm{PBT}$ となることがわかるので、\[ \mathrm{PT:PA}=\mathrm{PB:PT} \]より、\[ \mathrm{PA\cdot PB}=\mathrm{PT}^2 \]となることが示せました。
この内容も、方べきの定理といいます。
これを利用して例題を解いてみましょう。
例題
方べきの定理を使いますが、点の対応に注意しましょう。\[ \mathrm{PT}^2=\mathrm{PA\cdot PB}=3\cdot 8=24 \]なので、 $\mathrm{PT}=2\sqrt{6}$ が答えです。間違って $\mathrm{PA\cdot AB}$ を計算しないように注意しましょう。
おわりに
ここでは接線を使った方べきの定理について見てきました。弦の長さが短くなって1点となり、接点となったと考えれば、関係式は同じと考えられます。この場合の定理の証明には、接弦定理が使えます。