【基本】数列の極限の性質

ここでは、数列の極限について、いくつかの基本的な性質を見ていきます。

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数列の和や積の極限

【基本】数列の極限で見た内容を踏まえ、いくつかの数列の極限について考えていきます。

数列 $\{a_n\},\{b_n\}$ の一般項を、\[ a_n=1+\frac{1}{n},\ b_n=1-\frac{2}{n} \]とします。このとき、 $n\to\infty$ とすると、分数の部分はどんどん0に近づいていくので、\[ \lim_{n\to\infty}a_n=1,\ \lim_{n\to\infty}b_n=1 \]となることがわかります。

続いて、この和の極限はどうなるかを考えてみましょう。\[ a_n+b_n=1+\frac{1}{n}+1-\frac{2}{n}=2-\frac{1}{n} \]となり、分数の部分は $0$ に近づいていくので、\[ \lim_{n\to\infty}(a_n+b_n)=2 \]となることがわかります。これは、各極限の和になっていることがわかります。

また、積も考えてみましょう。\[ a_n b_n=1-\frac{1}{n}-\frac{2}{n^2} \]となり、どちらの分数も $0$ に近づいていくので、\[ \lim_{n\to\infty} a_n b_n =1 \]となることがわかります。これは、各極限の積になっていることがわかります。

直感的にも理解できるかもしれませんが、数列の定数倍・和・差・積・商の極限は、それぞれの数列の極限の定数倍・和・差・積・商となります(ただし、分母が0となるときの商は考えない)。式でまとめると、次のようになります。

数列の極限の性質
数列 $\{a_n\},\{b_n\}$ はどちらも収束し、 $\displaystyle \lim_{n\to\infty} a_n = \alpha$, $\displaystyle \lim_{n\to\infty} b_n = \beta$ とする。このとき、次が成り立つ。

  • $\displaystyle \lim_{n\to\infty} ka_n = k\alpha$
  • $\displaystyle \lim_{n\to\infty} (a_n+b_n) = \alpha+\beta$
  • $\displaystyle \lim_{n\to\infty} (a_n-b_n) = \alpha-\beta$
  • $\displaystyle \lim_{n\to\infty} a_nb_n = \alpha\beta$
  • $\displaystyle \lim_{n\to\infty} \dfrac{a_n}{b_n} = \dfrac{\alpha}{\beta}$

ただし、 $k$ は定数。また、最後の式のみ $\beta\ne 0$ とする。

例えば、 $n\to\infty$ のときに、 $a_n\to1$, $b_n\to -2$ のとき、
\begin{eqnarray}
\lim_{n\to\infty}( 3a_n-2b_n )
&=&
\lim_{n\to\infty} 3a_n +\lim_{n\to\infty}( -2b_n ) \\[5pt] &=&
3\lim_{n\to\infty} a_n -2\lim_{n\to\infty}b_n \\[5pt] &=&
3\times 1-2\times (-2) \\[5pt] &=&
7
\end{eqnarray}となります。慣れてくれば、単純に、 $a_n$, $b_n$ を極限値に置き換えるだけで計算できることがわかるでしょう。このことを踏まえれば、
\begin{eqnarray}
& &
\lim_{n\to\infty}\frac{a_n+b_n}{a_n-b_n} \\[5pt] &=&
\frac{1+(-2)}{1-(-2)} \\[5pt] &=&
-\frac{1}{3} \\[5pt] \end{eqnarray}といった計算もできるようになります。

ここで一つ注意が必要なのは、どちらの数列も、それぞれは「収束している」という点です。発散している場合は、このような計算ができるとは限りません。例えば、 $a_n=2n$, $b_n=2n$ という、どちらも発散する場合で考えてみると、\[ \lim_{n\to\infty} (3a_n-2b_n)=\lim_{n\to\infty} 2n=\infty \]となります。 $b_n=3n$ なら\[ \lim_{n\to\infty} (3a_n-2b_n)=\lim_{n\to\infty} 0=0 \]となり、 $b_n=4n$ なら\[ \lim_{n\to\infty} (3a_n-2b_n)=\lim_{n\to\infty} -2n=-\infty \]となります。このように、「無限大 引く 無限大」の場合は、状況によって極限が変わります。普通の数のように0となるわけではありません。また、「無限大 割る 無限大」も1となるわけではありません。

一般に、発散する数列同士の和・差・積・商の極限は、状況にあわせて求め方を考えなくてはいけません。特に、「∞ – ∞」、「∞ × 0」、「∞ ÷ ∞」、「0 ÷ 0」の形になってしまうものは、数列によって極限が変わってくるので、「不定形」と呼ばれています。このような場合については、今後様々な例を見ていくことになります。

おわりに

ここでは、収束する数列の和や積などの極限の求め方について見てきました。発散する場合は別途考える必要はありますが、収束する場合には直感的に成り立つ関係式だったと思います。