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【基本】数の範囲と四則演算(有理数まで)

ここでは、数の範囲を広げていくことで、四則演算が自由にできるようになることを見ていきます。ここの内容は、新しい計算方法を学ぶといったものではなく、負の数まで数の範囲を広げたことで、どういうことが起こったかを整理していきます。

📘 目次

負の数のおかげでいつでも引き算ができるようになった

【基本】符号のついた数以降で、負の数についての性質を見てきました。負の数を含んだ計算なども、【基本】正負の数の減法と加法の関係で見ました。これらにより、 $3-5=-2$ というような計算もできるようになりました。

今まで、算数の世界では、引かれる数より引く数のほうが大きい場合は計算できませんでしたが、数の範囲を負の数にまで広げることで、引く数のほうが大きい場合でも引き算ができるようになりました。

他の四則演算についてはどうでしょうか。算数のときに考えていた数の範囲と、四則演算の関係について見ていきましょう。

数の範囲と四則演算

算数の世界では、まず $1,2,3,\cdots$ というような数を学びました。これを、正の整数や自然数というのでした(参考:【基本】符号のついた数)。

自然数の世界では、足し算の結果も自然数となります。 $3+4$ というように、自然数同士の和は自然数になりますね。掛け算も同様に、自然数同士の積は自然数となります。しかし、引き算の結果は自然数とは限りません。 $3-4$ は自然数とはなりませんね。また、割り算も $3\div 4$ は自然数ではなく、商は自然数とは限りません。

自然数の世界だけで考えた場合、足し算と掛け算は自由にできますが、引き算と割り算は、自然数の世界から飛び出してしまうことがあります。

ところが、数の範囲を整数に広げてみるとどうでしょう。正の整数以外に、 $0$ と負の整数が加わります。整数の世界では、足し算も掛け算も、結果は整数になります。しかも、今回は、引き算の結果も整数となります。整数の世界だけで考えた場合、足し算・引き算・掛け算が自由にできます。まだ、割り算は自由にはできません。整数の世界から飛び出してしまうことがあります。

算数の世界では、小数や分数を学びましたね。これらも含めると、割り算も自由にできます。つまり、「(整数)÷(自然数)」の形で書けるもの全体を考えてみましょう。これは、足し算・引き算・掛け算が自由にできるだけでなく、割り算も自由にできます。この世界では、四則演算が自由にできます。

この「(整数)÷(自然数)」の形で書ける数全体のことを、有理数(rational number) といいます。この時点では、有理数以外の数が出てきていないので、教科書によっては、有理数のことを、単純に「数」と呼んでいることもあります。

「(整数)÷(自然数)」の形で書ける、というのは、 $\dfrac{1}{2}$ のような、分数だけを表しているような気がしますね。しかし、例えば、 $0.3$ は、 $\dfrac{3}{10}$ と書けるので、有理数です。また、 $3$ は、 $\dfrac{3}{1}$ とも書けるから、これも有理数です。「(整数)÷(自然数)」の形に変形できるものはすべて有理数なので、かなり広いですね。

かなり広いので、数の世界はこれが最大だと思うかもしれません。しかし、実は数はもっとたくさんあります。中学3年の段階で、「無理数」というものを学びますが、そこでは、「(整数)÷(自然数)」の形で書けない数も学びます。まだ先のことなので、楽しみにしておきましょう。

最後に、計算結果が、その数の範囲内に必ず入るか、入らないこともあるか、を表にしておきましょう。ここまでの内容をまとめたものです。

加法 減法 乗法 除法
自然数 × ×
整数 ×
有理数

必ず、その数の範囲内に入るものを○、そうでないものを×で表しています。

おわりに

ここでは、数の範囲を広げることで、四則演算が自由にできるようになる、ということを見てきました。ここの内容は、試験で直接聞かれることは少ないですが、数と計算に関係を表す、数学的には大事な内容です。

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