🏠 Home / 数学II / 指数関数と対数関数 / 指数の拡張

【基本】有理数の指数

ここでは、有理数乗について見ていきます。

📘 目次

平方根は何乗か

【基本】整数の指数では、 $2^0$ や $2^{-1}$ というような、整数乗について考えました。 $2^2$ や $2^3$ などから、値がどうなるかを決め、 $a^ma^n=a^{m+n}$ といった指数法則が成り立つことも見ました。

ここで、指数法則の1つ $a^ma^n=a^{m+n}$ で、無理やり $a=2$, $m=n=\dfrac{1}{2}$ としてみると\[ 2^{\frac{1}{2} }\times 2^{\frac{1}{2} }=2^{\frac{1}{2}+\frac{1}{2} }=2^1 \]となります。 $2^{\frac{1}{2} }$ というのは何かはわかりませんが、この式を見ると、2個掛けると $2$ になる、と考えることができます。

このようになる数は、すでに知っていますね。 $\pm\sqrt{2}$ です。

これらを踏まえると、平方根は $\dfrac{1}{2}$ 乗と定義するのが自然だ、と考えられます。

有理数の指数

先ほどの内容を踏まえ、指数法則が成り立つように、有理数乗を考えていきましょう。

【基本】整数の指数で見たように、 $a,b\ne 0$ で、 $m,n$ が整数のとき、次が成り立つのでした。
\begin{eqnarray} a^ma^n &=& a^{m+n}\\ (a^m)^n &=& a^{mn}\\ (ab)^n &=& a^n b^n\\ \end{eqnarray}

ここで、2つ目を利用して、 $a$ が正で $n$ が正の整数のときに、 $a^{\frac{1}{n} }$ はどういう式を満たしているべきか考えてみましょう。 $m=\dfrac{1}{n}$ の場合にも、2つ目の式が成り立つとすると
\begin{eqnarray} (a^{\frac{1}{n} })^n &=& a^{\frac{1}{n}\times n}=a^1=a\\ \end{eqnarray}となります。 $a^{\frac{1}{n} }$ は、 $n$ 乗して $a$ になる数、となります。そのような数は、【基本】累乗根で見た通り、 $\sqrt[n]{a}$ です。よって、\[ a^{\frac{1}{n} }=\sqrt[n]{a} \]と定義するのが自然だと考えられます。

また、 $m$ を整数(負でもよい)のとき、 $a^{\frac{m}{n} }$ は、先ほどと同じように2つ目の式が成り立つとして
\begin{eqnarray} a^{\frac{m}{n} }=(a^{\frac{1}{n} })^m=(\sqrt[n]{a})^m=\sqrt[n]{a^m} \end{eqnarray}と定義するのが自然だと考えられます。

以上から、指数が有理数のときの累乗を、次のように定めます。

指数が有理数のときの累乗
$a\gt0$ で、 $n$ が正の整数、 $m$ が整数のとき、指数が有理数である累乗を次のように定める。
\begin{eqnarray} a^{\frac{m}{n} } &=& \sqrt[n]{a^m} \end{eqnarray}

例えば、 $8^{\frac{2}{3} }=\sqrt[3]{8^2}=4$, $125^{-\frac{1}{3} }=\sqrt[3]{\dfrac{1}{125} }=\dfrac{1}{5}$ などとなります。

有理数乗の指数法則

指数が有理数である累乗を、指数法則の一部が成り立つように定めたので、有理数乗の場合でも指数法則が成り立ちます。

指数法則(有理数の指数)
$a,b\ne 0$ で、 $r,s$ が有理数のとき、次が成り立つ。
\begin{eqnarray} a^ra^s &=& a^{r+s}\\ (a^r)^s &=& a^{rs}\\ (ab)^r &=& a^r b^r\\ \end{eqnarray}

式の形は、【基本】整数の指数と同じですが、考えている範囲が拡大しているところがポイントです。指数が整数だけでなく、有理数のときでも成り立つ、という点が重要です。

示す場合は、 $r=\dfrac{m}{n}$ などと置いて、累乗根の性質を使って示します。例えば、3つ目の式なら
\begin{eqnarray} (ab)^{\frac{m}{n} } &=& \sqrt[n]{(ab)^m} \\ &=& \sqrt[n]{a^m} \times \sqrt[n]{b^m} \\ &=& a^{\frac{m}{n} } \times b^{\frac{m}{n} } \\ &=& a^r b^r \end{eqnarray}となります。

これらの性質を使えば、
\begin{eqnarray} & & (a^{\frac{5}{6} })^3 \times a^{\frac{1}{4} } \div a^2 \\ &=& a^{\frac{5}{6}\times 3} \times a^{\frac{1}{4} } \times a^{-2} \\ &=& a^{\frac{5}{2}+\frac{1}{4}-2} \\ &=& a^{\frac{3}{4} } \\ \end{eqnarray}というような計算ができるようになります。もともとは掛け算・割り算の計算だったのに、最終的には右上の数字の足し算・引き算になっています。

おわりに

ここでは、有理数乗について見てきました。 $\dfrac{1}{n}$ 乗は、 $n$ 乗すると元に戻る、という発想から、 $n$ 乗根で定義します。有理数乗と累乗根の関係をおさえておきましょう。

関連するページ

YouTubeもやってます

チャンネル登録はコチラから (以下は、動画のサンプルです)
【むずかしい】防衛医科大学校2024年度数学第5問 藤田医科大学2024年度後期数学第1問8 岡山大学2024年度数学文理共通第1問 埼玉大学文系2024年度数学第3問 順天堂大学医学部2024年度数学第3問 東北大学2024年度後期数学文理共通第4問