【基本】確率変数の期待値
ここでは、確率変数の期待値について見ていきます。以前、確率で学んだ内容とほぼ同じです。
確率変数の期待値
確率の分野で学んだ【基本】期待値では、変量の期待値について見ましたが、確率変数の期待値も同様に定義されます。
1個のさいころを投げて、出る目の期待値を考えましょう。期待値とは、各値とその確率を掛けて、すべて足し合わせれば求められるので
\begin{eqnarray}
&&
1\times\frac{1}{6} +2\times\frac{1}{6}+ 3\times\frac{1}{6}
+4\times\frac{1}{6} +5\times\frac{1}{6}+6\times\frac{1}{6} \\[5pt]
&=&
\frac{21}{6} = \frac{7}{2}
\end{eqnarray}となります。
この場合のさいころの目を $X$ とおくと、上の計算から、平均的に期待できる値が $\dfrac{7}{2}$ だということができます。
一般に、確率変数 $X$ の確率分布が以下のようになっていたとします。
\begin{eqnarray} \begin{array}{c|cccc|c} X & x_1 & x_2 & \cdots & x_n & \textsf{計} \\ \hline P & p_1 & p_2 & \cdots & p_n & 1 \end{array} \end{eqnarray}このとき、値と確率を掛けて足し合わせたもの、つまり、\[ \sum_{k=1}^n x_kp_k =x_1p_1+x_2p_2+\cdots +x_np_n \]のことを、 $X$ の期待値(expectation, expected value) と言ったり、平均(mean) と言ったりします。
また、$X$ の期待値のことを、記号で $E(X)$ と表します。この $E$ は、 expectation や expected value の頭文字です。
\begin{eqnarray} E(X)=\sum_{k=1}^n x_k p_k \end{eqnarray}
「平均」という言葉は、「足して、足した個数で割ったもの」を表す場合にも使いますが、上の定義からもわかる通り、確率変数の平均の場合は、各値に確率を掛けてから足しています。このような計算を、「確率の重みをつけた加重平均」ということがあります。
例題
表が $n$ 枚出る確率は $\dfrac{ {}_6\mathrm{C}_n}{2^6}$ なので、次のように計算できます。
\begin{eqnarray}
&&
0\times\frac{ {}_6\mathrm{C}_0}{2^6} +
100\times\frac{ {}_6\mathrm{C}_1}{2^6} +200\times\frac{ {}_6\mathrm{C}_2}{2^6}+ 300\times\frac{ {}_6\mathrm{C}_3}{2^6} \\[5pt]
&&
\quad +400\times\frac{ {}_6\mathrm{C}_4}{2^6} +500\times\frac{ {}_6\mathrm{C}_5}{2^6}+600\times\frac{ {}_6\mathrm{C}_6}{2^6} \\[5pt]
&=&
\frac{100\times(0\cdot1 +1\cdot 6 +2\cdot 15 +3\cdot 20+4\cdot 15 +5\cdot 6 +6\cdot 1)}{2^6} \\[5pt]
&=&
\frac{100(0 +6 +30 +60+60 +30 +6)}{64} \\[5pt]
&=& \frac{19200}{64} = 300
\end{eqnarray}なので、300円です。最終的に足し合わせるので、約分は途中ではなく最後にまとめてやった方がいいです。また、分子を $100$ でくくることで、計算を少し見やすくしています。
この結果はイメージで考えると自然なことに感じられるはずです。コインは 1/2 の確率で表になるのだから、6枚投げれば半分の3枚が表になると期待できます。なので、期待値が $300$ になることは納得感があります。
イメージとあっているだけでなく、実は数学的にも正しいことが、後でわかります(参考:【基本】確率変数の和の期待値)。
おわりに
ここでは、確率変数の期待値について見てきました。まだ、確率で学んだ内容から大きくははみ出しておらず、復習的な内容です。