【基本】比例の性質
ここでは、比例の性質を見ていきます。対応表は普通は横向きになっていることが多いですが、このページでは、レイアウトの都合上、縦向きとしています。
比例と値の対応表
【基本】比例を表す式では、比例について見ました。 $y$ が $x$ に比例するのは、\[ y=ax \]と表せるときを言うのでした。ここでは、具体的な値を代入して、値の対応表を作ってみます。
上のリンク先では、速さと距離の関係について見ましたが、ここでは、向きも勘案して考えていきます(ここが算数と違うところでもあります)。東の方向を正の方向とします。
ある人が、東に分速80mで歩いているとしましょう。このとき、 $x$ 分後に今いる地点から東に $y$ mのところにいるとします。このとき、\[ y=80x \]と書くことができるので、 $y$ は $x$ に比例する、と言えます。この状況では、 $x$ には、自然数だけでなく、小数や負の数を考えることもできます。負の数とは、○分前や、西に○mのところ、をあらわすということですね。 $x$ にいくつか値を入れてみると、 $y$ の値とは次のように対応します。
$x$ | $y$ |
---|---|
-3 | -240 |
-2 | -160 |
-1 | -80 |
0 | 0 |
1 | 80 |
2 | 160 |
3 | 240 |
もちろん、これら以外の値を $x$ にいれることもできます。 $y=80x$ に代入すれば、その $x$ に対応する $y$ が求められます。
また、別の人が、西に分速70mで歩いているとします。このとき、 $x$ 分後に今いる地点から東に $y$ mのところにいるとしましょう(東を正の方向にしていました)。このとき、 $y=-70x$ と書くことができるので、 $y$ は $x$ に比例します。このときは、対応表は次のようになります。
$x$ | $y$ |
---|---|
-3 | 210 |
-2 | 140 |
-1 | 70 |
0 | 0 |
1 | -70 |
2 | -140 |
3 | -210 |
これも、表をつくるだけなら、 $y=-70x$ に代入して計算していくだけです。
$y=ax$ の $a$ のことを比例定数と言いますが、1つ目の例は比例定数が正のとき、2つ目の例は負のときですね。比例定数が正のときは、 $x$ の値が増えるほど $y$ の値も減りますが、比例定数が負の場合は、逆に $y$ の値が減っていくことがわかります。
2倍、3倍としたときの性質
$y=80x$ のとき、 $x=6,-6$ とすると、次のような表になります。
$x$ | $y$ |
---|---|
-6 | -480 |
6 | 480 |
これらを使うと、 $x=1$ から $x=2$, $x=3$ から $x=6$ などとしたとき、 $x$ を2倍にすれば、 $y$ も2倍になることがわかります。また、 $x=2$ から $x=6$ などとしたとき、 $x$ を3倍にすれば、 $y$ も3倍になることがわかります。
これは、比例を表す式 $y=ax$ を見てもわかるでしょう。 $x$ に $a$ を掛けたものが $y$ なのだから、 $x$ を2倍にすると $y$ も2倍に、 $x$ を3倍にすると $y$ も3倍に、というように、ともなって変わっていくことがわかります。小学校ではこの性質を比例の定義に使っていたかもしれませんが、この性質は大切です。
また、比例を表す式からも明らかですが、 $y$ が $x$ に比例するとき、 $x$ が $0$ でないなら、 $\dfrac{y}{x}$ の値は一定です。比の値は一定になる、ということです。この性質も大切です。
比例と変域
比例の式 $y=ax$ では、 $x,y$ がどんな値もとるとは限りません。もし $x$ が年齢を表していれば、0以上の整数の値しかとらないでしょうし、 $x$ が水槽に入れた水の高さなら、0以上水槽の高さ以下の値しかとらないですね。
このように、変数のとり得る値の範囲のことを、変域と言います。変域は、\[ 0\leqq x \leqq 10 \]というように、不等式で表すことが多いです。今後、考える問題によっては、変域を考える必要が出てくるので、意識しておくようにしましょう。
おわりに
ここでは、比例の性質を見ました。 $y$ が $x$ に比例するとき、値の対応はどうなっているかは、式に代入すれば求めることができます。また、 $x$ を2倍、3倍、…とすると $y$ も2倍、3倍、…と変化していくという性質、 $\dfrac{y}{x}$ の値が一定であるという性質も重要なので、覚えておきましょう。