【基本】定積分の基本的な計算
ここでは、基本的な定積分の計算を見ていきます。不定積分が直接計算できるものを取り上げていきます。
定積分の基本的な計算その1
\begin{eqnarray} & & (1) \int_1^2 \dfrac{1}{x^3} dx \\[5pt] & & (2) \int_1^e \dfrac{1}{y} dy \\[5pt] & & (3) \int_0^\frac{\pi}{3} \dfrac{1}{\cos^2 \theta} d\theta \\[5pt] \end{eqnarray}
定積分の計算は、【基本】定積分の復習でも見た通り、まずは不定積分を求めて、次に積分区間の両端の値を入れて計算していきます。
(1)は、 $\dfrac{1}{x^3}=x^{-3}$ の不定積分は、積分定数を無視すると、 $\dfrac{1}{-2}\cdot x^{-2}$ となります。定積分の計算では、積分定数の影響はなくなるので、はじめから $0$ と計算して構わないのでしたね(上のリンク先参照)。よって、
\begin{eqnarray}
& &
\int_1^2 \dfrac{1}{x^3} dx \\[5pt]
&=&
\Big[ -\frac{1}{2x^2} \Big]_1^2 \\[5pt]
&=&
-\frac{1}{2\cdot 2^2}-\left(-\frac{1}{2\cdot 1^2}\right) \\[5pt]
&=&
\frac{3}{8} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
(2)は積分変数が $y$ になっていますが、やることは同じです。 $y$ で微分して $\dfrac{1}{y}$ となるものを考えると、 $\log |y|$ ですね(積分定数は無視しています。以下も $0$ として計算していきます)。ここに、 $y=e$ としたものとから $y=1$ としたものを引けばいいので
\begin{eqnarray}
& &
\int_1^e \dfrac{1}{y} dy \\[5pt]
&=&
\Big[ \log |y| \Big]_1^e \\[5pt]
&=&
\log e-\log 1 \\[5pt]
&=&
1
\end{eqnarray}となります。
(3)は、微分して $\dfrac{1}{\cos^2\theta}$ になるものを考えます。これは、【基本】三角関数・指数関数の不定積分でも見た通り、 $\tan \theta$ ですね。なので、
\begin{eqnarray}
& &
\int_0^\frac{\pi}{3} \dfrac{1}{\cos^2 \theta} d\theta \\[5pt]
&=&
\Big[ \tan \theta \Big]_0^\frac{\pi}{3} \\[5pt]
&=&
\tan \frac{\pi}{3}-\tan 0 \\[5pt]
&=&
\sqrt{3}
\end{eqnarray}となります。
定積分の基本的な計算その2
和・差・定数倍の定積分は、分解してから計算しても構いません。(1)であれば、微分して $\dfrac{x-2}{x^2}$ となるものをいきなり見つけるのは大変なので、次のように分解してから考える方がいいでしょう。
\begin{eqnarray}
& &
\int_1^2 \dfrac{x-2}{x^2} dx \\[5pt]
&=&
\int_1^2 \left(\dfrac{1}{x}-\dfrac{2}{x^2}\right) dx \\[5pt]
&=&
\int_1^2 \dfrac{1}{x} dx-\int_1^2 \dfrac{2}{x^2} dx \\[5pt]
&=&
\Big[ \log|x| \Big]_1^2-\Big[ -\frac{2}{x} \Big]_1^2 \\[5pt]
&=&
\log 2 -1 \\[5pt]
\end{eqnarray}もちろん、 $\dfrac{1}{x}-\dfrac{2}{x^2}$ と分解した後は、次のようにまとめて積分しても構いません。
\begin{eqnarray}
& &
\int_1^2 \left(\dfrac{1}{x}-\dfrac{2}{x^2}\right) dx \\[5pt]
&=&
\Big[ \log|x| +\frac{2}{x} \Big]_1^2 \\[5pt]
&=&
\log 2 -1 \\[5pt]
\end{eqnarray}
おわりに
ここでは、定積分の基本的な計算について見てきました。不定積分の計算ができないと定積分の計算で困ることが多いので、不定積分の計算を復習しながら進んでいきましょう。