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東京大学 理系 2015年度 第3問 解説

問題編

【問題】
aを正の実数とし、pを正の有理数とする。

座標平面上の2つの曲線$y=ax^p\ (x \gt 0)$と$y=\log x \ (x \gt 0)$を考える。この2つの曲線の共有点が1点のみであるとし、その共有点をQとする。

以下の問いに答えよ。必要であれば、$\displaystyle\lim_{x \to \infty} \frac{x^p}{\log x} = \infty$を証明なしに用いてよい。

(1) aおよび点Qx座標をpを用いて表せ。
(2) この2つの曲線とx軸で囲まれる図形を、x軸のまわりに1回転してできる立体の体積をpを用いて表せ。
(3) (2)で得られる立体の体積が$2\pi$になるときのpの値を求めよ。

【考え方】
「共有点が1点」という条件しかありませんが、2つの関数のy座標だけでなく、微分係数も等しいという条件が出てくるので、aの値などが求められます。

(2)は計算問題ですが、$\log$の積分は部分積分を使う典型的なもので、それほど難しいわけではありません。(3)にいたっては、何を求めさせたいのかよくわかりません。簡単すぎて、(2)の答えが間違っているんじゃないかと不安になるレベルです。

基本的には、言われるがままに計算していけば解ける内容です。


解答編

【問題】
aを正の実数とし、pを正の有理数とする。

座標平面上の2つの曲線$y=ax^p\ (x \gt 0)$と$y=\log x \ (x \gt 0)$を考える。この2つの曲線の共有点が1点のみであるとし、その共有点をQとする。

以下の問いに答えよ。必要であれば、$\displaystyle\lim_{x \to \infty} \frac{x^p}{\log x} = \infty$を証明なしに用いてよい。

(1) aおよび点Qx座標をpを用いて表せ。
(2) この2つの曲線とx軸で囲まれる図形を、x軸のまわりに1回転してできる立体の体積をpを用いて表せ。
(3) (2)で得られる立体の体積が$2\pi$になるときのpの値を求めよ。

【解答】
(1)
$f(x)=ax^p-\log x$とする。

$f'(x)=apx^{p-1}-\frac{1}{x}$なので、$f'(x)=0$のとき、$x=\left( \frac{1}{ap} \right)^{1/p}$となる。また、$\displaystyle\lim_{x \to +0} f(x) = \infty$であり、$\displaystyle\lim_{x \to \infty} \frac{x^p}{\log x} = \infty$から$\displaystyle\lim_{x \to \infty} f(x) = \infty$である。よって、増減表は次のようになる。

\begin{array}{c|ccccc} x & 0 & \cdots & \left( \frac{1}{ap} \right)^{1/p} & \cdots & \infty \\ \hline f'(x) & & - & 0 & + & \\ \hline f(x) & \infty & \searrow & & \nearrow & \infty \end{array}

このことから、$f(x)=0$となる解が1つならば、$f\left( \left( \frac{1}{ap} \right)^{1/p} \right)=0$でなければならない。よって、
\begin{eqnarray} a \left( \frac{1}{ap} \right)^{1/p \times p} - \log \left( \frac{1}{ap} \right)^{1/p} = 0 \\[5pt] \frac{1}{p} + \frac{1}{p} \log ap = 0 \\[5pt] \log ap = -1 \\ ap = \frac{1}{e} \\[5pt] a = \frac{1}{ep} \\ \end{eqnarray} となる。

Qx座標は、$f(x)=0$となるxであり、その値は$\left( \frac{1}{ap} \right)^{1/p}$である。aの値を代入すると、Qx座標は、$ e ^{1/p}$となる。

よって、aは$\displaystyle\frac{1}{ep}$、Qx座標は$e ^{1/p}$。

(2)
回転させる図形は、下の色付きの部分である。

これをx軸について回転させたときの体積は、
\begin{eqnarray} \int _0^{e^{1/p} } (ax^p)^2 \pi dx - \int _1^{e^{1/p} } (\log x)^2 \pi dx \end{eqnarray}となる。

ここで、
\begin{eqnarray} \int _0^{e^{1/p} } (ax^p)^2 \pi dx &=& \int _0^{e^{1/p} } a^2 x^{2p} \pi dx \\[5pt] &=& a^2 \pi \left[\frac{1}{2p+1}x^{2p+1} \right]_0^{e^{1/p} } \\[5pt] &=& \left( \frac{1}{ep} \right)^2 \pi \cdot \frac{1}{2p+1} e^{\frac{2p+1}{p} } \\[5pt] &=& \frac{1}{p^2(2p+1)}e^{\frac{1}{p} } \pi \end{eqnarray} であり、
\begin{eqnarray} & & \int _1^{e^{1/p} } (\log x)^2 \pi dx \\[5pt] &=& \left[ x \cdot (\log x)^2 \pi \right]_1^{e^{1/p} } - \int _1^{e^{1/p} } x \cdot 2 \log x \cdot \frac{1}{x} \pi dx \\[5pt] &=& e^{1/p} \cdot \frac{1}{p^2} \pi \ - \int _1^{e^{1/p} } 2 \pi \log x dx \\[5pt] &=& \frac{1}{p^2} e^{\frac{1}{p} } \pi \ - \left[ 2 \pi x \cdot \log x \right]_1^{e^{1/p} } + \int _1^{e^{1/p} } 2 \pi x \cdot \frac{1}{x} dx \\[5pt] &=& \frac{1}{p^2} e^{\frac{1}{p} } \pi \ - 2 \pi e^{\frac{1}{p} } \frac{1}{p} + \int _1^{e^{1/p} } 2 \pi dx \\[5pt] &=& \frac{1}{p^2} e^{\frac{1}{p} } \pi \ - 2 \pi e^{\frac{1}{p} } \frac{1}{p} + 2 \pi ( e^{1/p} - 1 ) \end{eqnarray} である。

よって、求める体積は、
\begin{eqnarray} & & \frac{1}{p^2(2p+1)}e^{\frac{1}{p} } \pi \ - \ \left\{ \frac{1}{p^2} e^{\frac{1}{p} } \pi \ - 2 \pi e^{\frac{1}{p} } \frac{1}{p} + 2 \pi ( e^{1/p} - 1 ) \right\} \\ \\ &=& \pi e^{\frac{1}{p} } \frac{1-(2p+1)+2p(2p+1)-2p^2(2p+1)}{p^2(2p+1)} + 2\pi \\[5pt] &=& \pi e^{\frac{1}{p} } \frac{ 2p^2-4p^3 }{p^2(2p+1)} + 2\pi \\[5pt] &=& \pi e^{\frac{1}{p} } \frac{ 2-4p }{2p+1} + 2\pi \\[5pt] \end{eqnarray} となる。

(3)
(2)の答えが$2\pi$となるとき、$2-4p=0$なので、$p=\frac{1}{2}$となる。これは正の有理数なので、これが求める値である。

【解答終】

【解説】
計算量はありますが、東大にしてはそんなに大変ではありません。また、方針が立たないということもないでしょう。$\log$の積分も、標準的な難易度です。落ち着いてしっかり計算できれば解ける問題だと思います。

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