東京大学 文系 2014年度 第1問 解説
問題編
問題
以下の問いに答えよ。
(1) t を実数の定数とする。実数全体を定義域とする関数 $f(x)$ を\[ f(x) = -2x^2 +8tx -12x +t^3-17t^2+39t-18 \]と定める。このとき、関数 $f(x)$ の最大値を t を用いて表せ。
(2) (1)の「関数 $f(x)$ の最大値」を $g(t)$ とする。 t が $\displaystyle t\geqq -\frac{1}{\sqrt{2} }$ の範囲を動くとき、 $g(t)$ の最小値を求めよ。
考え方
(1)は平方完成するだけです。(2)は微分して増減表を書くだけです。最小値の候補は2つありますが、その比較もそんなに難しくありません。
解答編
問題
以下の問いに答えよ。
(1) t を実数の定数とする。実数全体を定義域とする関数 $f(x)$ を\[ f(x) = -2x^2 +8tx -12x +t^3-17t^2+39t-18 \]と定める。このとき、関数 $f(x)$ の最大値を t を用いて表せ。
解答
(1)
\begin{eqnarray}
f(x)
&=&
-2x^2 +8tx-12x +t^3-17t^2+39t-18 \\
&=&
-2\{x^2 +(-4t+6)x\} +t^3-17t^2+39t-18 \\
&=&
-2 (x -2t+3)^2 +2(-2t+3)^2 +t^3-17t^2+39t-18 \\
&=&
-2 (x -2t+3)^2 +t^3-9t^2+15t \\
\end{eqnarray}となるので、 $x=2t-3$ のときに $f(x)$ は最大値 $t^3-9t^2+15t$ をとる。
解説
x の二次関数だと考えて、平方完成をするだけです。
解答編 つづき
問題
(2) (1)の「関数 $f(x)$ の最大値」を $g(t)$ とする。 t が $\displaystyle t\geqq -\frac{1}{\sqrt{2} }$ の範囲を動くとき、 $g(t)$ の最小値を求めよ。
解答
(2) $g(t)=t^3-9t^2+15t$ である。
\begin{eqnarray}
g'(t)
&=&
3t^2 -18t +15 \\
&=&
3(t-1)(t-5) \\
\end{eqnarray}なので、 $g'(t)=0$ となるのは、 $t=1,5$ のときとなる。よって、増減表は次のようになる。
\begin{array}{c|cccccc}
t & -\frac{1}{\sqrt{2} } & \cdots & 1 & \cdots & 5 & \cdots \\
\hline
g'(t) & & + & 0 & - & 0 & + \\
\hline
g(t) & & \nearrow & & \searrow & & \nearrow
\end{array}
ここで、
\begin{eqnarray}
g\left(-\frac{1}{\sqrt{2} }\right) -g(5)
&=&
\left(-\frac{1}{2\sqrt{2} } -\frac{9}{2} -\frac{15}{\sqrt{2} }\right)-(125-225+75) \\
&=&
-\frac{31}{2\sqrt{2} } +\frac{41}{2} \\[5pt]
&=&
\frac{-31\sqrt{2}+82}{4} \\[5pt]
& \gt &
\frac{-31\cdot 2+82}{4} \\[5pt]
& \gt & 0
\end{eqnarray}なので、 $\displaystyle t\geqq -\frac{1}{\sqrt{2} }$ の範囲では、 $g(t)$ は $t=5$ のときに最小値 $-25$ をとる。
解説
最小値を求めたいので、微分して増減表を書きます。最小値をとるのは $\displaystyle t=-\frac{1}{\sqrt{2} }$ のときと $t=5$ のときの可能性がありますが、その比較もそんなに難しくありません。 $-31\sqrt{2}+82$ の符号を考える際、 $-\sqrt{31^2\cdot 2}+\sqrt{82^2}$ を計算してもいいですが、この問題ではそんな計算をするまでもなく符号が分かってしまいます。