共通テスト 数学II・数学B 2023年度追試 第1問 [2] 解説
【必答問題】
(常用対数表は省略しています)
問題編
問題
以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて38、39ページの常用対数表を用いてもよい。
花子さんは、あるスポーツドリンク(以下、商品S)の売上本数が気温にどう影響されるかを知りたいと考えた。そこで、地区Aについて調べたところ、最高気温が22℃、25℃、28℃であった日の商品Sの売上本数をそれぞれ $N_1$, $N_2$, $N_3$ とするとき\[ N_1=285,\ N_2=368,\ N_3=475 \]であった。このとき\[ \frac{N_2-N_1}{25-22} \lt \frac{N_3-N_2}{28-25} \]であり、座標平面上の3点 $(22,N_1)$, $(25,N_2)$, $(28,N_3)$ は一つの直線上にはないので、花子さんは $N_1$, $N_2$, $N_3$ の対数を考えてみることにした。
(1) 常用対数表によると、 $\log_{10}2.85=0.4548$ であるので
\begin{eqnarray} \log_{10} N_1 &=& \log_{10} 285 \\[5pt] &=& 0.4548+\myBox{ネ} \\[5pt] &=& \mybox{ネ}.4548 \end{eqnarray}である。この値の小数第4位を四捨五入したものを $p_1$ とすると\[ p_1=\mybox{ネ}.455 \]である。同じように、 $\log_{10}N_2$ の値の小数第4位を四捨五入したものを $p_2$ とすると\[ p_2=\myBox{ノ}.\myBox{ハヒフ} \]である。さらに、 $\log_{10}N_3$ の値の小数第4位を四捨五入したものを $p_3$ とすると\[ \frac{p_2-p_1}{25-22} = \frac{p_3-p_2}{28-25} \]が成り立つことが確かめられる。したがって\[ \frac{p_2-p_1}{25-22} = \frac{p_3-p_2}{28-25} = k \]とおくとき、座標平面上の3点 $(22,p_1)$, $(25,p_2)$, $(28,p_3)$ は次の方程式が表す直線上にある。\[ y=k(x-22)+p_1 \quad\cdots ① \]
いま、 $N$ を正の実数とし、座標平面上の点 $(x,\log_{10}N)$ が①の直線上にあるとする。このとき、 $x$ と $N$ の関係式として、次の 0 ~ 3 のうち、正しいものは $\dBox{ヘ}$ である。
$\dbox{ヘ}$ の解答群
0: $N=10k(x-22)+p_1$
1: $N=10\{k(x-22)+p_1\}$
2: $N=10^{k(x-22)+p_1}$
3: $N=p_1\cdot 10^{k(x-22)}$(2) 花子さんは、地区Aで最高気温が32℃になる日の商品Sの売上本数を予想することにした。 $x=32$ のときに関係式 $\dbox{ヘ}$ を満たす $N$ の値は $\dBox{ホ}$ の範囲にある。そこで、花子さんは売上本数が $\dbox{ホ}$ の範囲に入るだろうと考えた。
$\dbox{ホ}$ の解答群
0: 440以上 450未満
1: 450以上 460未満
2: 460以上 470未満
3: 470以上 480未満
4: 650以上 660未満
5: 660以上 670未満
6: 670以上 680未満
7: 680以上 690未満
8: 890以上 900未満
9: 900以上 910未満
a: 910以上 920未満
b: 920以上 930未満
考え方
対数の問題で、常用対数表を使います。気温がそれほど高くない場合をもとに、気温が高い場合を予測する、という話で、流れ自体はそれほどむずかしくありません。見た目は難しそうなことをしてますが、よく見ると基本的な対数の計算をしているだけです。
常用対数表の見方がわからないと解けないので、見方がわからない人は確認しておきましょう。
【必答問題】
(常用対数表は省略しています)
解答編
問題
以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて38、39ページの常用対数表を用いてもよい。
花子さんは、あるスポーツドリンク(以下、商品S)の売上本数が気温にどう影響されるかを知りたいと考えた。そこで、地区Aについて調べたところ、最高気温が22℃、25℃、28℃であった日の商品Sの売上本数をそれぞれ $N_1$, $N_2$, $N_3$ とするとき\[ N_1=285,\ N_2=368,\ N_3=475 \]であった。このとき\[ \frac{N_2-N_1}{25-22} \lt \frac{N_3-N_2}{28-25} \]であり、座標平面上の3点 $(22,N_1)$, $(25,N_2)$, $(28,N_3)$ は一つの直線上にはないので、花子さんは $N_1$, $N_2$, $N_3$ の対数を考えてみることにした。
(1) 常用対数表によると、 $\log_{10}2.85=0.4548$ であるので
\begin{eqnarray} \log_{10} N_1 &=& \log_{10} 285 \\[5pt] &=& 0.4548+\myBox{ネ} \\[5pt] &=& \mybox{ネ}.4548 \end{eqnarray}である。この値の小数第4位を四捨五入したものを $p_1$ とすると\[ p_1=\mybox{ネ}.455 \]である。同じように、 $\log_{10}N_2$ の値の小数第4位を四捨五入したものを $p_2$ とすると\[ p_2=\myBox{ノ}.\myBox{ハヒフ} \]である。
解説
(1)
\begin{eqnarray}
\log_{10} N_1
&=&
\log_{10} 285 \\[5pt]
&=&
\log_{10} 100\cdot 2.85 \\[5pt]
&=&
\log_{10} 100+\log_{10} 2.85 \\[5pt]
&=&
2+0.4548 =2.4548
\end{eqnarray}となります。また、常用対数表より、 $\log_{10}3.68=0.5658$ なので
\begin{eqnarray}
\log_{10} N_2
&=&
\log_{10} 368 \\[5pt]
&=&
2+0.5658 =2.5658
\end{eqnarray}だから、 $p_2=2.566$ となります。
解答
ネ:2 (3点)
ノハヒフ:2566 (3点)
解答編 つづき
問題
さらに、 $\log_{10}N_3$ の値の小数第4位を四捨五入したものを $p_3$ とすると\[ \frac{p_2-p_1}{25-22} = \frac{p_3-p_2}{28-25} \]が成り立つことが確かめられる。したがって\[ \frac{p_2-p_1}{25-22} = \frac{p_3-p_2}{28-25} = k \]とおくとき、座標平面上の3点 $(22,p_1)$, $(25,p_2)$, $(28,p_3)$ は次の方程式が表す直線上にある。\[ y=k(x-22)+p_1 \quad\cdots ① \]
いま、 $N$ を正の実数とし、座標平面上の点 $(x,\log_{10}N)$ が①の直線上にあるとする。このとき、 $x$ と $N$ の関係式として、次の 0 ~ 3 のうち、正しいものは $\dBox{ヘ}$ である。
$\dbox{ヘ}$ の解答群
0: $N=10k(x-22)+p_1$
1: $N=10\{k(x-22)+p_1\}$
2: $N=10^{k(x-22)+p_1}$
3: $N=p_1\cdot 10^{k(x-22)}$
解説
常用対数表より $\log_{10}4.75=0.6767$ なので
\begin{eqnarray}
\log_{10} N_3
&=&
\log_{10} 475 \\[5pt]
&=&
2+0.6767 =2.6767
\end{eqnarray}だから、 $p_3=2.677$ となります。
なので、 $p_2-p_1=2.677-2.566=0.111$, $p_3-p_2=2.677-2.566=0.111$ だから、たしかに、\[ \frac{p_2-p_1}{25-22} = \frac{p_3-p_2}{28-25}=0.037 \]が成り立つことがわかります。よって、問題文中の $k$ は $0.037$ です。
$(x,\log_{10}N)$ が $y=k(x-22)+p_1$ 上にあるとすると
\begin{eqnarray}
\log_{10}N &=& k(x-22)+p_1 \\[5pt]
N &=& 10^{k(x-22)+p_1} \\[5pt]
\end{eqnarray}が成り立ちます。
解答
ヘ:2 (4点)
解答編 つづき
問題
(2) 花子さんは、地区Aで最高気温が32℃になる日の商品Sの売上本数を予想することにした。 $x=32$ のときに関係式 $\dbox{ヘ}$ を満たす $N$ の値は $\dBox{ホ}$ の範囲にある。そこで、花子さんは売上本数が $\dbox{ホ}$ の範囲に入るだろうと考えた。
$\dbox{ホ}$ の解答群
0: 440以上 450未満
1: 450以上 460未満
2: 460以上 470未満
3: 470以上 480未満
4: 650以上 660未満
5: 660以上 670未満
6: 670以上 680未満
7: 680以上 690未満
8: 890以上 900未満
9: 900以上 910未満
a: 910以上 920未満
b: 920以上 930未満
解説
(2)
$x=32$ を $N = 10^{k(x-22)+p_1}$ に代入することは、 $\log_{10} N = k(x-22)+p_1$ に代入することと同じなので、後者に $x=32$ を代入すると
\begin{eqnarray}
\log_{10} N &=& k(32-22)+p_1 \\[5pt]
&=& 10k+p_1 \\[5pt]
&=& 10\cdot 0.037+2.455 \\[5pt]
&=& 2.825 \\[5pt]
&=& 2 + 0.825 \\[5pt]
&=& \log_{10} 100 + 0.825 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。常用対数表から、 $\log_{10}a$ が $0.825$ となるような $a$ は、$6.68$ から $6.69$ の間だとわかるので、 $668 \lt N \lt 669$ とわかります。なので、選択肢の中では、 $660$以上 $670$未満が適切だとわかります。
解答
ホ:5 (4点)