🏠 Home / 大学入学共通テスト / 共通テストIIB

共通テスト 数学II・数学B 2023年度追試 第1問 [1] 解説

$\def\myBox#1{\bbox[2px, border:2px solid]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } }$ $\def\mybox#1{\bbox[2px, border:1px solid gray]{ \textsf{ #1 } } }$ $\def\dBox#1{\bbox[3px, border: 2px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } } }$ $\def\dbox#1{\bbox[4px, border: 1px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \textsf{ #1 } } } }$

【必答問題】

問題編

問題

 $P(x)$ を係数が実数である $x$ の整式とする。方程式 $P(x)=0$ は虚数 $1+\sqrt{2}i$ を解にもつとする。

(1) 虚数 $1-\sqrt{2}i$ も $P(x)=0$ の解であることを示そう。

 $1\pm\sqrt{2}i$ を解とする $x$ の2次方程式で $x^2$ の係数が $1$ であるものは\[ x^2-\myBox{ア}x+\myBox{イ}=0 \]である。 $S(x)=x^2-\mybox{ア}x+\myBox{イ}$ とし、 $P(x)$ を $S(x)$ で割ったときの商を $Q(x)$、余りを $R(x)$ とすると、次が成り立つ。\[ P(x)=\dBox{ウ} \]また、 $S(x)$ は2次式であるから、 $m,n$ を実数として、 $R(x)$ は\[ R(x)=mx+n \]と表せる。ここで、 $1+\sqrt{2}i$ が二つの方程式 $P(x)=0$ と $S(x)=0$ の解であることを用いれば $R(1+\sqrt{2}i)=\myBox{エ}$ となるので、 $x=1+\sqrt{2}i$ を $R(x)=mx+n$ に代入することにより、 $m=\myBox{オ}$, $n=\myBox{カ}$ であることがわかる。したがって、 $\dBox{キ}$ であることがわかるので、 $1-\sqrt{2}i$ も $P(x)=0$ の解である。

$\dbox{ウ}$ の解答群

 0: $S(x)Q(x)R(x)$
 1: $S(x)R(x)+Q(x)$
 2: $R(x)Q(x)+S(x)$
 3: $S(x)Q(x)+R(x)$

$\dbox{キ}$ の解答群

 0: $P(x)=S(x)R(x)$
 1: $P(x)=Q(x)R(x)$
 2: $Q(x)=0$
 3: $R(x)=0$
 4: $S(x)=Q(x)R(x)$
 5: $Q(x)=S(x)R(x)$

(2) $k,\ell$ を実数として\[ P(x)=3x^4+2x^3+kx+\ell \]の場合を考える。このとき、 $P(x)$ を(1)の $S(x)$ で割ったときの商を $Q(x)$、余りを $R(x)$ とすると
\begin{eqnarray} Q(x)&=&\myBox{ク}x^2+\myBox{ケ}x+\myBox{コ} \\[5pt] R(x)&=&\left(k-\myBox{サシ}\right)x+\ell-\myBox{スセ} \\[5pt] \end{eqnarray}となる。$P(x)=0$ は $1+\sqrt{2}i$ を解にもつので、(1)の考察を用いると\[ k=\myBox{ソタ},\ \ell=\myBox{チツ} \]である。また、 $P(x)=0$ の $1+\sqrt{2}i$ 以外の解は\[ x=\myBox{テ}-\sqrt{\myBox{ト}}i, \ \dfrac{-\myBox{ナ}\pm\sqrt{\myBox{ニ}}i}{\myBox{ヌ}} \]であることがわかる。

考え方

あまり共通テスト・センター試験では高次方程式の問題は出ないんですが、めずらしく出ました。逆に、三角関数が出ませんでした。

前半は、事実だけは知っている人もいると思いますが、ちゃんと証明まで見たことがある人は多くないかもしれません。少し抽象的な話ですが、結論はわかっているので、それほどむずかしくはないでしょう。

後半は少し計算はありますが、そんなに大変なわけではありません。出題頻度が低いところも、ちゃんと勉強しておきましょう。


【必答問題】

解答編

問題

 $P(x)$ を係数が実数である $x$ の整式とする。方程式 $P(x)=0$ は虚数 $1+\sqrt{2}i$ を解にもつとする。

(1) 虚数 $1-\sqrt{2}i$ も $P(x)=0$ の解であることを示そう。

 $1\pm\sqrt{2}i$ を解とする $x$ の2次方程式で $x^2$ の係数が $1$ であるものは\[ x^2-\myBox{ア}x+\myBox{イ}=0 \]である。 $S(x)=x^2-\mybox{ア}x+\myBox{イ}$ とし、 $P(x)$ を $S(x)$ で割ったときの商を $Q(x)$、余りを $R(x)$ とすると、次が成り立つ。\[ P(x)=\dBox{ウ} \]また、 $S(x)$ は2次式であるから、 $m,n$ を実数として、 $R(x)$ は\[ R(x)=mx+n \]と表せる。ここで、 $1+\sqrt{2}i$ が二つの方程式 $P(x)=0$ と $S(x)=0$ の解であることを用いれば $R(1+\sqrt{2}i)=\myBox{エ}$ となるので、 $x=1+\sqrt{2}i$ を $R(x)=mx+n$ に代入することにより、 $m=\myBox{オ}$, $n=\myBox{カ}$ であることがわかる。したがって、 $\dBox{キ}$ であることがわかるので、 $1-\sqrt{2}i$ も $P(x)=0$ の解である。

$\dbox{ウ}$ の解答群

 0: $S(x)Q(x)R(x)$
 1: $S(x)R(x)+Q(x)$
 2: $R(x)Q(x)+S(x)$
 3: $S(x)Q(x)+R(x)$

$\dbox{キ}$ の解答群

 0: $P(x)=S(x)R(x)$
 1: $P(x)=Q(x)R(x)$
 2: $Q(x)=0$
 3: $R(x)=0$
 4: $S(x)=Q(x)R(x)$
 5: $Q(x)=S(x)R(x)$

解説

(1)
$1\pm\sqrt{2}i$ を解とする $x$ の2次方程式で $x^2$ の係数が $1$ であるものは\[ \{x-(1+\sqrt{2}i)\} \{x-(1-\sqrt{2}i)\}=0 \]です。これを展開して、\[ x^2-2x+3=0 \]となることがわかります(解と係数の関係を使ってもいいです)。

$P(x)$ を $S(x)$ で割ったときの商が $Q(x)$ で、余りが $R(x)$ なので\[ P(x)=S(x)Q(x)+R(x) \]という関係式が成り立ちます。

$1+\sqrt{2}i$ が $P(x)=0$ と $S(x)=0$ の解であることから、 $x$ に $1+\sqrt{2}i$ を代入すれば、どちらも $0$ になることがわかります。よって、 $R(1+\sqrt{2}i)=0$ もわかります。

$S(x)$ が2次式だから、余りである $R(x)$ は1次式であり、問題文にあるとおり、 $R(x)=mx+n$ とおいたとすると、 $R(x)=0$ に $x=1+\sqrt{2}i$ を代入すれば
\begin{eqnarray} m(1+\sqrt{2}i)+n &=& 0 \\[5pt] m+n &=& \sqrt{2}mi \\[5pt] \end{eqnarray}となります。 $m\ne 0$ なら、左辺は実数、右辺は虚数となってしまうので、 $m=0$ だとわかります。これより、 $n=0$ もわかります。よって、\[ R(x)=0 \]だとわかります。つまり、余りは $0$ であり、 $P(x)$ は $S(x)$ で割り切れることがわかり\[ P(x)=S(x)Q(x) \]が成り立つことがわかります。 $x=1-\sqrt{2}i$ は $Q(x)=0$ の解なので、上の式に代入すれば $P(1-\sqrt{2}i)=0$ がわかるので、 $1-\sqrt{2}i$ も $P(x)=0$ の解であることがわかります。

解答

アイ:23 (2点)
ウ:3 (1点)
エ:0 (1点)
オカ:00 (1点)
キ:3 (2点)

解答編 つづき

問題

(2) $k,\ell$ を実数として\[ P(x)=3x^4+2x^3+kx+\ell \]の場合を考える。このとき、 $P(x)$ を(1)の $S(x)$ で割ったときの商を $Q(x)$、余りを $R(x)$ とすると
\begin{eqnarray} Q(x)&=&\myBox{ク}x^2+\myBox{ケ}x+\myBox{コ} \\[5pt] R(x)&=&\left(k-\myBox{サシ}\right)x+\ell-\myBox{スセ} \\[5pt] \end{eqnarray}となる。$P(x)=0$ は $1+\sqrt{2}i$ を解にもつので、(1)の考察を用いると\[ k=\myBox{ソタ},\ \ell=\myBox{チツ} \]である。また、 $P(x)=0$ の $1+\sqrt{2}i$ 以外の解は\[ x=\myBox{テ}-\sqrt{\myBox{ト}}i, \ \dfrac{-\myBox{ナ}\pm\sqrt{\myBox{ニ}}i}{\myBox{ヌ}} \]であることがわかる。

解説

(2)
$P(x)=3x^4+2x^3+kx+\ell$ を、 $S(x)=x^2-2x+3$ で割ると、次のようになります。
\begin{eqnarray} & & 3x^4+2x^3+kx+\ell \\[5pt] &=& 3x^2(x^2-2x+3)-3x^4+6x^3-9x^2 \\ & & +3x^4+2x^3+kx+\ell \\[5pt] &=& 3x^2(x^2-2x+3)+8x^3-9x^2+kx+\ell \\[5pt] &=& (3x^2+8x)(x^2-2x+3)-8x^3+16x^2-24x \\ & & +8x^3-9x^2+kx+\ell \\[5pt] &=& (3x^2+8x)(x^2-2x+3)+7x^2+(k-24)x+\ell \\[5pt] &=& (3x^2+8x+7)(x^2-2x+3)-7x^2+14x-21 \\ & & +7x^2+(k-24)x+\ell \\[5pt] &=& (3x^2+8x+7)(x^2-2x+3)+(k-10)x+\ell-21 \end{eqnarray}

(1)で見たように、余りは $0$ だから、 $k=10$, $\ell=21$ だとわかります。\[ P(x)=(3x^2+8x+7)(x^2-2x+3) \]であり、(1)で見たように、 $x=1-\sqrt{2}i$ も $P(x)=0$ の解となります。また、 $3x^2+8x+7=0$ の解は
\begin{eqnarray} x &=& \frac{-8\pm\sqrt{8^2-4\cdot3\cdot7}}{2\cdot 3} \\[5pt] &=& \frac{-4\pm\sqrt{4^2-3\cdot7}}{3} \\[5pt] &=& \frac{-4\pm\sqrt{5}i}{3} \\[5pt] \end{eqnarray}なので、これらも解だとわかります。

解答

クケコ:387 (2点)
サシスセ:1021 (2点)
ソタチツ:1021 (2点)
テト:12 (1点)
ナニヌ:453 (2点)

関連するページ

YouTubeもやってます

チャンネル登録はコチラから (以下は、動画のサンプルです)
慶應義塾大学薬学部2024年度数学第1問5 同志社大学文系2024年度数学第1問3 昭和大学医学部I期2024年度数学第2問 兵庫医科大学2024年度数学第3問 共通テスト2B2024年度第3問2のヒントについて 久留米大学医学部推薦2024年度数学第4問