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共通テスト 数学II・数学B 2023年度 第2問 [2] 解説

$\def\myBox#1{\bbox[2px, border:2px solid]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } }$ $\def\mybox#1{\bbox[2px, border:1px solid gray]{ \textsf{ #1 } } }$ $\def\dBox#1{\bbox[3px, border: 2px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } } }$ $\def\dbox#1{\bbox[4px, border: 1px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \textsf{ #1 } } } }$

【必答問題】

問題編

問題

(1) 定積分 $\displaystyle \int_0^{30} \left(\dfrac{1}{5}x+3\right)dx$ の値は $\myBox{タチツ}$ である。

 また、関数 $\dfrac{1}{100}x^2-\dfrac{1}{6}x+5$ の不定積分は\[ \int \left(\dfrac{1}{100}x^2-\dfrac{1}{6}x+5\right) dx =\dfrac{1}{\myBox{テトナ}}x^3-\dfrac{1}{\myBox{ニヌ}}x^2+\myBox{ネ}x+C \]である。ただし、 $C$ は積分定数とする。

(2) ある地域では、毎年3月頃「ソメイヨシノ(桜の種類)の開花予想日」が話題になる。太郎さんと花子さんは、開花日時を予想する方法の一つに、2月に入ってからの気温を時間の関数とみて、その関数を積分した値をもとにする方法があることを知った。ソメイヨシノの開花日時を予想するために、二人は図1の6時間ごとの気温の折れ線グラフを見ながら、次のように考えることにした。

 $x$ の値の範囲を $0$ 以上の実数全体として、2月1日午前0時から 24$x$ 時間経った時点を $x$ 日後とする。(例えば、10.3日後は2月11日午前7時12分を表す。)また、 $x$ 日後の気温を $y$ ℃とする。このとき、 $y$ は $x$ の関数であり、これを $y=f(x)$ とおく。ただし、 $y$ は負にはならないものとする。

 気温を表す関数 $f(x)$ を用いて二人はソメイヨシノの開花日時を次の設定で考えることにした。

設定
 正の実数 $t$ に対して、 $f(x)$ を $0$ から $t$ まで積分した値を $S(t)$ とする。すなわち、 $\displaystyle S(t)=\int_0^t f(x)dx$ とする。この $S(t)$ が $400$ に到達したとき、ソメイヨシノが開花する。

 設定のもと、太郎さんは気温を表す関数 $y=f(x)$ のグラフを図2のように直線とみなしてソメイヨシノの開花日時を考えることにした。

(i) 太郎さんは\[ f(x)=\frac{1}{5}x+3 \quad(x\geqq 0) \]として考えた。このとき、ソメイヨシノの開花日時は2月に入ってから $\dBox{ノ}$ となる。

$\dbox{ノ}$ の解答群

 0: 30日後
 1: 35日後
 2: 40日後
 3: 45日後
 4: 50日後
 5: 55日後
 6: 60日後
 7: 65日後

(ii) 太郎さんと花子さんは、2月に入ってから30日後以降の気温について話をしている。

  • 1次関数を用いてソメイヨシノの開花日時を求めてみたよ。
  • 気温の上がり方から考えて、2月に入ってから30日後以降の気温を表す関数が2次関数の場合も考えてみようか。

 花子さんは気温を表す関数 $f(x)$ を、 $0\leqq x\leqq 30$ のときは太郎さんと同じように\[ f(x)=\frac{1}{5}x+3 \quad \cdots ① \]とし、 $x\geqq 30$ のときは\[ f(x)=\frac{1}{100}x^2-\frac{1}{6}+5 \quad \cdots ② \]として考えた。なお、 $x=30$ のとき①の右辺の値と②の右辺の値は一致する。花子さんの考えた式を用いて、ソメイヨシノの開花日時を考えよう。(1)より\[ \int_0^{30} \left(\frac{1}{5}x+3\right)dx=\mybox{タチツ} \]であり\[ \int_{30}^{40} \left(\frac{1}{100}x^2-\frac{1}{6}+5\right)dx=115 \]となることがわかる。

 また、 $x\geqq 30$ の範囲において $f(x)$ は増加する。よって\[ \int_{30}^{40} f(x)dx \ \dBox{ハ} \ \int_{40}^{50} f(x)dx \]であることがわかる。以上より、ソメイヨシノの開花日時は2月に入ってから $\dBox{ヒ}$ となる。

$\dbox{ハ}$ の解答群

 0: $\lt$
 1: $=$
 2: $\gt$

$\dbox{ヒ}$ の解答群

 0: 30日後より前
 1: 30日後
 2: 30日後より後、かつ40日後より前
 3: 40日後
 4: 40日後より後、かつ50日後より前
 5: 50日後
 6: 50日後より後、かつ60日後より前
 7: 60日後
 8: 60日後より後

考え方

折れ線グラフが出てきて、どうやって積分するのかと思ったら、上下の振れをほとんど無視した関数を積分するという問題でした。

後半は、ほとんど計算することなく答えを出すことができます。積分の計算方法をただ覚えるだけでなく、積分によって何が計算できているかという理解が問われています。


【必答問題】

解答編

問題

(1) 定積分 $\displaystyle \int_0^{30} \left(\dfrac{1}{5}x+3\right)dx$ の値は $\myBox{タチツ}$ である。

 また、関数 $\dfrac{1}{100}x^2-\dfrac{1}{6}x+5$ の不定積分は\[ \int \left(\dfrac{1}{100}x^2-\dfrac{1}{6}x+5\right) dx =\dfrac{1}{\myBox{テトナ}}x^3-\dfrac{1}{\myBox{ニヌ}}x^2+\myBox{ネ}x+C \]である。ただし、 $C$ は積分定数とする。

解説

(1)
\begin{eqnarray} & & \int_{0}^{30} \left(\frac{1}{5}x+3\right) dx \\[5pt] &=& \left[\frac{x^2}{10}+3x\right]_0^{30} \\[5pt] &=& \frac{30^2}{10}+3\cdot30 \\[5pt] &=& 180 \\[5pt] \end{eqnarray}です。また、 \begin{eqnarray} & & \int \left(\frac{1}{100}x^2-\frac{1}{6}x+5\right) dx \\[5pt] &=& \frac{1}{300}x^3-\frac{1}{12}x^2+5x \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

解答

タチツ:180 (3点)
テトナニヌネ:300125 (3点)

解答編 つづき

問題

(2) ある地域では、毎年3月頃「ソメイヨシノ(桜の種類)の開花予想日」が話題になる。太郎さんと花子さんは、開花日時を予想する方法の一つに、2月に入ってからの気温を時間の関数とみて、その関数を積分した値をもとにする方法があることを知った。ソメイヨシノの開花日時を予想するために、二人は図1の6時間ごとの気温の折れ線グラフを見ながら、次のように考えることにした。

 $x$ の値の範囲を $0$ 以上の実数全体として、2月1日午前0時から 24$x$ 時間経った時点を $x$ 日後とする。(例えば、10.3日後は2月11日午前7時12分を表す。)また、 $x$ 日後の気温を $y$ ℃とする。このとき、 $y$ は $x$ の関数であり、これを $y=f(x)$ とおく。ただし、 $y$ は負にはならないものとする。

 気温を表す関数 $f(x)$ を用いて二人はソメイヨシノの開花日時を次の設定で考えることにした。

設定
 正の実数 $t$ に対して、 $f(x)$ を $0$ から $t$ まで積分した値を $S(t)$ とする。すなわち、 $\displaystyle S(t)=\int_0^t f(x)dx$ とする。この $S(t)$ が $400$ に到達したとき、ソメイヨシノが開花する。

 設定のもと、太郎さんは気温を表す関数 $y=f(x)$ のグラフを図2のように直線とみなしてソメイヨシノの開花日時を考えることにした。

(i) 太郎さんは\[ f(x)=\frac{1}{5}x+3 \quad(x\geqq 0) \]として考えた。このとき、ソメイヨシノの開花日時は2月に入ってから $\dBox{ノ}$ となる。

$\dbox{ノ}$ の解答群

 0: 30日後
 1: 35日後
 2: 40日後
 3: 45日後
 4: 50日後
 5: 55日後
 6: 60日後
 7: 65日後

解説

(2)(i)
$t$ 日後に開花すると仮定すると
\begin{eqnarray} \int_0^t \left(\frac{1}{5}x+3\right) dx &=& 400 \\[5pt] \left[\frac{1}{10}x^2+3x\right]_0^t &=& 400 \\[5pt] \frac{t^2}{10}+3t-400 &=& 0 \\[5pt] t^2+30t-4000 &=& 0 \\[5pt] (t-50)(t+80) &=& 0 \\[5pt] t &=& 50,-80 \end{eqnarray}となるので、50日後だとわかります。

解答

ノ:4 (3点)

解答編 つづき

問題

(ii) 太郎さんと花子さんは、2月に入ってから30日後以降の気温について話をしている。

  • 1次関数を用いてソメイヨシノの開花日時を求めてみたよ。
  • 気温の上がり方から考えて、2月に入ってから30日後以降の気温を表す関数が2次関数の場合も考えてみようか。

 花子さんは気温を表す関数 $f(x)$ を、 $0\leqq x\leqq 30$ のときは太郎さんと同じように\[ f(x)=\frac{1}{5}x+3 \quad \cdots ① \]とし、 $x\geqq 30$ のときは\[ f(x)=\frac{1}{100}x^2-\frac{1}{6}+5 \quad \cdots ② \]として考えた。なお、 $x=30$ のとき①の右辺の値と②の右辺の値は一致する。花子さんの考えた式を用いて、ソメイヨシノの開花日時を考えよう。(1)より\[ \int_0^{30} \left(\frac{1}{5}x+3\right)dx=\mybox{タチツ} \]であり\[ \int_{30}^{40} \left(\frac{1}{100}x^2-\frac{1}{6}+5\right)dx=115 \]となることがわかる。

 また、 $x\geqq 30$ の範囲において $f(x)$ は増加する。よって\[ \int_{30}^{40} f(x)dx \ \dBox{ハ} \ \int_{40}^{50} f(x)dx \]であることがわかる。以上より、ソメイヨシノの開花日時は2月に入ってから $\dBox{ヒ}$ となる。

$\dbox{ハ}$ の解答群

 0: $\lt$
 1: $=$
 2: $\gt$

$\dbox{ヒ}$ の解答群

 0: 30日後より前
 1: 30日後
 2: 30日後より後、かつ40日後より前
 3: 40日後
 4: 40日後より後、かつ50日後より前
 5: 50日後
 6: 50日後より後、かつ60日後より前
 7: 60日後
 8: 60日後より後

解説

(2)(ii)
問題文にある通り、 $f(x)$ は $x\geqq 30$ の範囲で増加するため、対応する面積は増加していきます。値は負にならないことから、積分区間の長さが同じなら、積分した値は大きくなるので、\[ \int_{30}^{40} f(x)dx \lt \int_{40}^{50} f(x)dx \]となります。

また、問題文にあることから、\[ \int_0^{30} f(x)dx=180,\ \int_{30}^{40} f(x)dx=115 \]なので、\[ \int_0^{40} f(x)dx=295 \]となります。また、先ほどの不等式から、\[ \int_0^{50} f(x)dx \gt 295+115 \gt 400 \]なので、開花日時は、「40日後より後で、50日後より前」となります。

解答

ハ:0 (3点)
ヒ:4 (3点)

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