共通テスト 数学II・数学B 2023年度 第1問 [2] 解説
【必答問題】
問題編
問題
(1) $a\gt 0$, $a\ne 1$, $b\gt 0$ のとき、 $\log_a b= x$ とおくと、 $\dBox{ツ}$ が成り立つ。
$\dbox{ツ}$ の解答群
0: $x^a=b$
1: $x^b=a$2: $a^x=b$
3: $b^x=a$4: $a^b=x$
5: $b^a=x$(2) 様々な対数の値が有理数か無理数かについて考えよう。
(i) $\log_5 25=\myBox{テ}$, $\log_9 27=\dfrac{\myBox{ト}}{\myBox{ナ}}$ であり、どちらも有理数である。
(ii) $\log_2 3$ が有理数と無理数のどちらであるかを考えよう。
$\log_2 3$ が有理数であると仮定すると、 $\log_2 3\gt 0$ であるので、二つの自然数 $p,q$ を用いて $\log_2 3=\dfrac{p}{q}$ と表すことができる。このとき、(1)により $\log_2 3=\dfrac{p}{q}$ は $\dBox{ニ}$ と変形できる。いま、2は偶数であり3は奇数であるので、 $\dbox{ニ}$ を満たす自然数 $p,q$ は存在しない。
したがって、 $\log_2 3$ は無理数であることがわかる。
(iii) $a,b$ を2以上の自然数とするとき、(ii) と同様に考えると、「$\dBox{ヌ}$ ならば $\log_a b$ はつねに無理数である」ことがわかる。
$\dbox{ニ}$ の解答群
0: $p^2=3q^2$
1: $q^2=p^3$
2: $2^q=3^p$3: $p^3=2q^3$
4: $p^2=q^3$
5: $2^p=3^q$$\dbox{ヌ}$ の解答群
0: $a$ が偶数
1: $b$ が偶数2: $a$ が奇数
3: $b$ が奇数4: $a$ と $b$ がともに偶数、または $a$ と $b$ がともに奇数
5: $a$ と $b$ のいずれか一方が偶数で、もう一方が奇数
考え方
$\sqrt{2}$ が無理数であることを示すのは見たことがある人も多いでしょうが、ある対数が無理数になることを示す問題はあまり見たことがないかもしれません。ただ、証明の流れは書いてくれているので、どうやって矛盾を導きだせばいいかを考えましょう。
【必答問題】
解答編
問題
(1) $a\gt 0$, $a\ne 1$, $b\gt 0$ のとき、 $\log_a b= x$ とおくと、 $\dBox{ツ}$ が成り立つ。
$\dbox{ツ}$ の解答群
0: $x^a=b$
1: $x^b=a$2: $a^x=b$
3: $b^x=a$4: $a^b=x$
5: $b^a=x$
解説
(1)
$\log_a b=x$ は、 $a^x=b$ ということです。
解答
ツ:2 (3点)
解答編 つづき
問題
(2) 様々な対数の値が有理数か無理数かについて考えよう。
(i) $\log_5 25=\myBox{テ}$, $\log_9 27=\dfrac{\myBox{ト}}{\myBox{ナ}}$ であり、どちらも有理数である。
解説
(2)
(i)
$\log_5 25=2$ です。
また、底の変換公式より
\begin{eqnarray}
\log_9 27 =\frac{\log_3 27}{\log_3 9}=\frac{3}{2}
\end{eqnarray}となります。
解答
テ:2 (2点)
トナ:32 (2点)
解答編 つづき
問題
(ii) $\log_2 3$ が有理数と無理数のどちらであるかを考えよう。
$\log_2 3$ が有理数であると仮定すると、 $\log_2 3\gt 0$ であるので、二つの自然数 $p,q$ を用いて $\log_2 3=\dfrac{p}{q}$ と表すことができる。このとき、(1)により $\log_2 3=\dfrac{p}{q}$ は $\dBox{ニ}$ と変形できる。いま、2は偶数であり3は奇数であるので、 $\dbox{ニ}$ を満たす自然数 $p,q$ は存在しない。
したがって、 $\log_2 3$ は無理数であることがわかる。
(iii) $a,b$ を2以上の自然数とするとき、(ii) と同様に考えると、「$\dBox{ヌ}$ ならば $\log_a b$ はつねに無理数である」ことがわかる。
$\dbox{ニ}$ の解答群
0: $p^2=3q^2$
1: $q^2=p^3$
2: $2^q=3^p$3: $p^3=2q^3$
4: $p^2=q^3$
5: $2^p=3^q$$\dbox{ヌ}$ の解答群
0: $a$ が偶数
1: $b$ が偶数2: $a$ が奇数
3: $b$ が奇数4: $a$ と $b$ がともに偶数、または $a$ と $b$ がともに奇数
5: $a$ と $b$ のいずれか一方が偶数で、もう一方が奇数
解説
(ii)
$\log_2 3=\dfrac{p}{q}$ と表せるとすると、 $2^{p/q}=3$ と変形できます。両辺を $q$ 乗すると $2^p=3^q$ となります。左辺は偶数で右辺は奇数だから、 $\log_2 3$ は有理数でないことがわかります。
(iii)
$\log_a b=\dfrac{p}{q}$ と書けるとすると、 $a^{p/q}=b$ より、 $a^p=b^q$ が成り立ちます。(ii)と同様に、 $a,b$ のどちらかが偶数でもう片方が奇数ならば、両辺のうち、片方が偶数でもう片方が奇数となるので、矛盾することがわかります。なので、この場合には $\log_a b$ は無理数だと言えます。
他のケースは、いずれも、 $a=b$ としたときに $\log_a b=1$ となることから、つねに無理数であるとはいえないことがわかります。
解答
ニ:5 (2点)
ヌ:5 (3点)