共通テスト 数学II・数学B 2022年度追試 第4問 解説
【第3問~第5問から2問選択】
問題編
問題
数列 $\{a_n\}$ は初項が $1$ で\[ a_{n+1}=a_n+4n+2 \quad (n=1,2,3,\cdots) \]を満たすとする。また、数列 $\{b_n\}$ は、初項が $1$ で\[ b_{n+1}=b_n+4n+2+2\cdot(-1)^n \quad(n=1,2,3,\cdots) \]を満たすとする。さらに、 $S_n=\displaystyle \sum_{k=1}^n a_k$ とおく。
(1) $a_2=\myBox{ア}$ である。また、階差数列を考えることにより\[ a_n=\myBox{イ}n^2-\myBox{ウ} \quad (n=1,2,3,\cdots) \]であることがわかる。さらに\[ S_n=\frac{\myBox{エ}n^3+\myBox{オ}n^2-\myBox{カ}n}{\myBox{キ} } \ (n=1,2,3,\cdots) \]を得る。
(2) $b_2=\myBox{ク}$ である。また、すべての自然数 $n$ に対して\[ a_n-b_n=\dBox{ケ} \]が成り立つ。
$\dbox{ケ}$ の解答群
0: $0$
1: $2n$
2: $2n-2$3: $n^2-1$
4: $n^2-n$
5: $1+(-1)^n$6: $1-(-1)^n$
7: $-1+(-1)^n$
8: $-1-(-1)^n$(3) (2)から\[ a_{2021} \dBox{コ} b_{2021},\ a_{2022} \dBox{サ} b_{2022} \]が成り立つことがわかる。また、 $T_n=\displaystyle \sum_{k=1}^n b_k$ とおくと\[ S_{2021} \dBox{シ} T_{2021},\ S_{2022} \dBox{ス} T_{2022} \]が成り立つこともわかる。
$\dbox{コ}$ ~ $\dbox{ス}$ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)
0: $\lt$
1: $=$
2: $\gt$(4) 数列 $\{b_n\}$ の初項を変えたらどうなるかを考えてみよう。つまり、初項が $c$ で\[ c_{n+1}=c_n+4n+2+2\cdot(-1)^n \ (n=1,2,3,\cdots) \]を満たす数列 $\{c_n\}$ を考える。
すべての自然数 $n$ に対して\[ b_n-c_n=\myBox{セ}-\myBox{ソ} \]が成り立つ。
また、 $U_n=\displaystyle \sum_{k=1}^n c_k$ とおく。 $S_4=U_4$ が成り立つとき、 $c=\myBox{タ}$ である。このとき\[ S_{2021} \dBox{チ} U_{2021},\ S_{2022} \dBox{ツ} U_{2022} \]も成り立つ。
ただし、 $\mybox{タ}$ は、文字(a ~ d)を用いない形で答えること。
$\dbox{チ}$, $\dbox{ツ}$ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)0: $\lt$
1: $=$
2: $\gt$
考え方
(1)は基本的な数列の計算問題です。(2)は少し難しいですが、選択肢があるので選ぶのは大変ではないでしょう。
(3)(4)は少しパズルチックです。どちらの和が大きいかは、具体的に和を計算しなくてもわかります。
【第3問~第5問から2問選択】
解答編
問題
数列 $\{a_n\}$ は初項が $1$ で\[ a_{n+1}=a_n+4n+2 \quad (n=1,2,3,\cdots) \]を満たすとする。また、数列 $\{b_n\}$ は、初項が $1$ で\[ b_{n+1}=b_n+4n+2+2\cdot(-1)^n \quad(n=1,2,3,\cdots) \]を満たすとする。さらに、 $S_n=\displaystyle \sum_{k=1}^n a_k$ とおく。
(1) $a_2=\myBox{ア}$ である。また、階差数列を考えることにより\[ a_n=\myBox{イ}n^2-\myBox{ウ} \quad (n=1,2,3,\cdots) \]であることがわかる。さらに\[ S_n=\frac{\myBox{エ}n^3+\myBox{オ}n^2-\myBox{カ}n}{\myBox{キ} } \ (n=1,2,3,\cdots) \]を得る。
解説
数列 $\{a_n\}$ の漸化式で $n=1$ とすると
\begin{eqnarray}
a_2 &=& a_1+4\cdot1+2 \\[5pt]
&=& 1+4+2=7
\end{eqnarray}となることがわかります。
また、 $a_{n+1}-a_n=4n+2$ なので $n\geqq 2$ のときは
\begin{eqnarray}
a_n
&=&
a_1+\sum_{k=1}^{n-1} (4k+2) \\[5pt]
&=&
1+4\cdot\frac{n(n-1)}{2}+2(n-1) \\[5pt]
&=&
1+(2n^2-2n)+2n-2 \\[5pt]
&=&
2n^2-1
\end{eqnarray}となります。 $n=1$ のときも成り立つので、\[ a_n=2n^2-1 \]となることがわかります。
これより、
\begin{eqnarray}
S_n
&=&
\sum_{k=1}^n (2k^2-1) \\[5pt]
&=&
2\cdot \frac{n(n+1)(2n+1)}{6}-n \\[5pt]
&=&
\frac{n(2n^2+3n+1)-3n}{3} \\[5pt]
&=&
\frac{2n^3+3n^2+n-3n}{3} \\[5pt]
&=&
\frac{2n^3+3n^2-2n}{3} \\[5pt]
\end{eqnarray}と求められます。
解答
ア:7
イウ:21
エオカキ:2323
解答編 つづき
問題
(2) $b_2=\myBox{ク}$ である。また、すべての自然数 $n$ に対して\[ a_n-b_n=\dBox{ケ} \]が成り立つ。
$\dbox{ケ}$ の解答群
0: $0$
1: $2n$
2: $2n-2$3: $n^2-1$
4: $n^2-n$
5: $1+(-1)^n$6: $1-(-1)^n$
7: $-1+(-1)^n$
8: $-1-(-1)^n$
解説
数列 $\{b_n\}$ の漸化式で $n=1$ とすると
\begin{eqnarray}
b_2
&=&
b_1+4\cdot1+2+2\cdot(-1)^1 \\[5pt]
&=&
1+4+2-2 \\[5pt]
&=&
5
\end{eqnarray}となります。また、 $c_n=a_n-b_n$ とおくと
\begin{eqnarray}
c_{n+1} &=& a_{n+1}-b_{n+1} \\[5pt]
&=& (a_n+4n+2)-\{b_n+4n+2+2\cdot(-1)^n\} \\[5pt]
&=& a_n-b_n-2\cdot(-1)^n \\[5pt]
&=& c_n-2\cdot(-1)^n \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。 $c_1=a_1-b_1=0$, $c_2=a_2-b_2=7-5=2$ であり、上の式からこの後は、「$2$ 減る」「$2$ 増える」「$2$ 減る」「$2$ 増える」…と繰り返されるので、 $0$ と $2$ が交互に現れます。このようになるのは、選択肢の中では 5 です。
もし、選択肢がなければ、少し大変ですが以下のように求めます。まず
\begin{eqnarray}
c_{n+2} &=& c_{n+1}-2\cdot(-1)^{n+1} \\[5pt]
&=& \{ c_n-2\cdot(-1)^n \} -2\cdot(-1)^{n+1} \\[5pt]
&=& c_n-2\cdot(-1)^n\cdot \{1+(-1)\} \\[5pt]
&=& c_n
\end{eqnarray}となるので、奇数番目の項はどれも同じで、偶数番目の項もどれも同じだとわかります。なので、 $c_{n+1},c_n$ は、必ず、どちらかが $2$ でどちらかが $0$ となるため、和は $2$ で一定です。これより
\begin{eqnarray}
c_n
&=&
\frac{(c_{n+1}+c_n)-(c_{n+1}-c_n)}{2} \\[5pt]
&=&
\frac{2 -\{ -2\cdot(-1)^n\} }{2} \\[5pt]
&=&
1+(-1)^n \\[5pt]
\end{eqnarray}なので、選択肢 5 だとわかります。
解答
ク:5
ケ:5
解答編 つづき
問題
(3) (2)から\[ a_{2021} \dBox{コ} b_{2021},\ a_{2022} \dBox{サ} b_{2022} \]が成り立つことがわかる。また、 $T_n=\displaystyle \sum_{k=1}^n b_k$ とおくと\[ S_{2021} \dBox{シ} T_{2021},\ S_{2022} \dBox{ス} T_{2022} \]が成り立つこともわかる。
$\dbox{コ}$ ~ $\dbox{ス}$ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)
0: $\lt$
1: $=$
2: $\gt$
解説
(2)で見た通り、 $a_n-b_n=1+(-1)^n$ なので、この値は $n$ が奇数なら $0$ で、偶数なら $2$ です。よって、 $a_{2021}=b_{2021}$ であり、 $a_{2022}\gt b_{2022}$ です。
また、 $2021$ 項目まで・ $2022$ 項目までの和を考えると、どちらの場合も $a_n$ を足したほうが大きくなることがわかります。よって、\[ S_{2021} \gt T_{2021} \ , \ S_{2022}\gt T_{2022} \]となります。
解答
コサ:12
シス:22
解答編 つづき
問題
(4) 数列 $\{b_n\}$ の初項を変えたらどうなるかを考えてみよう。つまり、初項が $c$ で\[ c_{n+1}=c_n+4n+2+2\cdot(-1)^n \ (n=1,2,3,\cdots) \]を満たす数列 $\{c_n\}$ を考える。
すべての自然数 $n$ に対して\[ b_n-c_n=\myBox{セ}-\myBox{ソ} \]が成り立つ。
また、 $U_n=\displaystyle \sum_{k=1}^n c_k$ とおく。 $S_4=U_4$ が成り立つとき、 $c=\myBox{タ}$ である。このとき\[ S_{2021} \dBox{チ} U_{2021},\ S_{2022} \dBox{ツ} U_{2022} \]も成り立つ。
ただし、 $\mybox{タ}$ は、文字(a ~ d)を用いない形で答えること。
$\dbox{チ}$, $\dbox{ツ}$ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)0: $\lt$
1: $=$
2: $\gt$
解説
\begin{eqnarray} & & b_{n+1}-c_{n+1} \\[5pt] &=& \{ b_n+4n+2+2\cdot(-1)^n \} \\ & & -\{ c_n+4n+2+2\cdot(-1)^n \} \\[5pt] &=& b_n-c_n \end{eqnarray}なので、 $b_n-c_n$ は $n$ によって変わらないことがわかります。つまり、 $b_1-c_1$ と等しく、 $1-c$ だとわかります。 \begin{eqnarray} a_n-c_n &=& (a_n-b_n)+(b_n-c_n) \\[5pt] &=& 1+(-1)^n+1-c \\[5pt] &=& 2+(-1)^n-c \\[5pt] \end{eqnarray}です。 $S_4=U_4$ とは、 $\displaystyle \sum_{k=1}^4 (a_k-c_k)=0$ ということなので \begin{eqnarray} \sum_{k=1}^4 (a_k-c_k) &=& 0 \\[5pt] \sum_{k=1}^4 \{ 2+(-1)^k-c \} &=& 0 \\[5pt] 4(2-c)-1+1-1+1 &=& 0 \\[5pt] 4(2-c) &=& 0 \\[5pt] \end{eqnarray}なので、$c=2$ だとわかります。このとき、 $a_n-c_n=(-1)^n$ が成り立ちます。 \begin{eqnarray} S_{2021}-U_{2021} &=& \sum_{k=1}^{2021}a_k-\sum_{k=1}^{2021}c_k \\[5pt] &=& \sum_{k=1}^{2021}(a_k-c_k) \\[5pt] &=& \sum_{k=1}^{2021}(-1)^k \\[5pt] &=& -1 \end{eqnarray}となります。なお、上の計算では $(-1)^k$ の奇数番目と偶数番目を足すと $0$ になることを使っています。このことから $S_{2021}\lt U_{2021}$ だとわかります。同様にすると、
\begin{eqnarray}
S_{2022}-U_{2022}
&=&
\sum_{k=1}^{2022} (-1)^k \\[5pt]
&=&
0
\end{eqnarray}となるので、 $S_{2022}= U_{2022}$ となることがわかります。
解答
セソ:1c
タ:2
チツ:01