共通テスト 数学I・数学A 2024年度 第4問 解説
【第3問~第5問から2問選択】
問題編
問題
T3, T4, T6 を次のようなタイマーとする。
T3: 3進数を 3桁表示するタイマー
T4: 4進数を 3桁表示するタイマー
T6: 6進数を 3桁表示するタイマーなお、 $n$ 進数とは $n$ 進法で表された数のことである。
これらのタイマーは、すべて次の表示方法に従うものとする。
表示方法
(a) スタートした時点でタイマーは 000 と表示されている。
(b) タイマーは、スタートした後、表示される数が1秒ごとに1ずつ増えていき、3桁で表示できる最大の数が表示された1秒後に、表示が 000 に戻る。
(c) タイマーは表示が 000 に戻った後も、(b)と同様に、表示される数が1秒ごとに1ずつ増えていき、3桁で表示できる最大の数が表示された1秒後に、表示が 000 に戻るという動作を繰り返す。例えば、T3 はスタートしてから3進数で $12_{(3)}$ 秒後に 012 と表示される。その後、222 と表示された1秒後に表示が 000 に戻り、その $12_{(3)}$ 秒後に再び 012 と表示される。
(1) T6 は、スタートしてから 10進数で $40$ 秒後に $\myBox{アイウ}$ と表示される。
T4 は、スタートしてから 2進数で $10011_{(2)}$ 秒後に $\myBox{エオカ}$ と表示される。(2) T4 をスタートさせた後、初めて表示が 000 に戻るのは、スタートしてから10進数で $\myBox{キク}$ 秒後であり、その後も $\mybox{キク}$ 秒ごとに表示が 000 に戻る。
同様の考察を T6 に対しても行うことにより、T4 と T6 を同時にスタートさせた後、初めて両方の表示が同時に 000 に戻るのは、スタートしてから10進数で $\myBox{ケコサシ}$ 秒後であることがわかる。
(3) $0$ 以上の整数 $\ell$ に対して、T4 をスタートさせた $\ell$ 秒後に T4 が 012 と表示されることと
$\ell$ を $\myBox{スセ}$ で割った余りが $\myBox{ソ}$ であること
は同値である。ただし、 $\mybox{スセ}$ と $\mybox{ソ}$ は10進法で表されているものとする。
T3 についても同様の考察を行うことにより、次のことがわかる。
T3 と T4 を同時にスタートさせてから、初めて両方が同時に 012 と表示されるまでの時間を $m$ 秒とするとき、$m$ は10進法で $\myBox{タチツ}$ と表される。
また、T4 と T6 の表示に関する記述として、次の 0 ~ 3 のうち、正しいものは $\dBox{テ}$ である。
$\dbox{テ}$ の解答群
0: T4 と T6 を同時にスタートさせてから、 $m$ 秒後より前に初めて両方が同時に 012 と表示される。
1: T4 と T6 を同時にスタートさせてから、ちょうど $m$ 秒後に始めて両方が同時に 012 と表示される。
2: T4 と T6 を同時にスタートさせてから、 $m$ 秒後より後に初めて両方が同時に 012 と表示される。
3: T4 と T6 を同時にスタートさせてから、両方が同時に 012 と表示されることはない。
考え方
$n$ 進数の問題です。 $n$ 進数と時計に表示される数との関係を考えながら解いていきましょう。
(3)の最後は少し難しいですが、T3とT4で考えたことをT4とT6で考えればいいです。
【第3問~第5問から2問選択】
解答編
問題
T3, T4, T6 を次のようなタイマーとする。
T3: 3進数を 3桁表示するタイマー
T4: 4進数を 3桁表示するタイマー
T6: 6進数を 3桁表示するタイマーなお、 $n$ 進数とは $n$ 進法で表された数のことである。
これらのタイマーは、すべて次の表示方法に従うものとする。
表示方法
(a) スタートした時点でタイマーは 000 と表示されている。
(b) タイマーは、スタートした後、表示される数が1秒ごとに1ずつ増えていき、3桁で表示できる最大の数が表示された1秒後に、表示が 000 に戻る。
(c) タイマーは表示が 000 に戻った後も、(b)と同様に、表示される数が1秒ごとに1ずつ増えていき、3桁で表示できる最大の数が表示された1秒後に、表示が 000 に戻るという動作を繰り返す。例えば、T3 はスタートしてから3進数で $12_{(3)}$ 秒後に 012 と表示される。その後、222 と表示された1秒後に表示が 000 に戻り、その $12_{(3)}$ 秒後に再び 012 と表示される。
(1) T6 は、スタートしてから 10進数で $40$ 秒後に $\myBox{アイウ}$ と表示される。
T4 は、スタートしてから 2進数で $10011_{(2)}$ 秒後に $\myBox{エオカ}$ と表示される。
解説
(1)
T6は、6進数で表示されます。10進数の40は、 $40=1\cdot 6^2+0\cdot6+4$ なので、6進数では $104_{(6)}$ となるので、 $104$ と表示されます。
T4は、4進数で表示されます。2進数の $10011_{(2)}$ は、10進数で表すと
\begin{eqnarray}
2^4+2^1+2^0=16+2+1=19
\end{eqnarray}であり、これは $1\cdot 4^2+0\cdot 4+3$ なので、4進数では $103_{(4)}$ となるので、 $103$ と表示されます。
解答
アイウ:104 (2点)
エオカ:103 (3点)
解答編 つづき
問題
(2) T4 をスタートさせた後、初めて表示が 000 に戻るのは、スタートしてから10進数で $\myBox{キク}$ 秒後であり、その後も $\mybox{キク}$ 秒ごとに表示が 000 に戻る。
同様の考察を T6 に対しても行うことにより、T4 と T6 を同時にスタートさせた後、初めて両方の表示が同時に 000 に戻るのは、スタートしてから10進数で $\myBox{ケコサシ}$ 秒後であることがわかる。
解説
(2)
T4が再び 000 と表示されるのは、 $4^3$ 秒後なので、 $64$ 秒後です。 T6が再び 000 と表示されるのは $6^3=216$ 秒後です。なので、2つがどちらも 000 となるタイミングを求めるには、 $64$ と $216$ の最小公倍数を求めればいいです。
$64=2^6$ であり、 $216=2^3\cdot 3^3$ なので、最小公倍数は $2^6\cdot 3^3=1728$ となります。
解答
キク:64 (2点)
ケコサシ:1728 (3点)
解答編 つづき
問題
(3) $0$ 以上の整数 $\ell$ に対して、T4 をスタートさせた $\ell$ 秒後に T4 が 012 と表示されることと
$\ell$ を $\myBox{スセ}$ で割った余りが $\myBox{ソ}$ であること
は同値である。ただし、 $\mybox{スセ}$ と $\mybox{ソ}$ は10進法で表されているものとする。
T3 についても同様の考察を行うことにより、次のことがわかる。
T3 と T4 を同時にスタートさせてから、初めて両方が同時に 012 と表示されるまでの時間を $m$ 秒とするとき、$m$ は10進法で $\myBox{タチツ}$ と表される。
解説
(3)
T4に表される数は、 $4^3$ で割った余りを4進数で表したものなので、T4が $\ell$ 秒後に 012 と表示されることは、 $\ell$ を $64$ で割ったときの余りが $4+2=6$ であることと同値です。
同様に、T3に表される数は、 $3^3$ で割った余りを3進数で表したものなので、T3が $\ell$ 秒後に 012 と表示されることは、 $\ell$ を $27$ で割ったときの余りが $3+2=5$ であることと同値です。
こうして、 $\ell$ 秒後にT3とT4が同時に012と表示されることは、\[ \ell=64a+6=27b+5 \]を満たす $0$ 以上の整数 $a,b$ が存在することと同値です。求める $m$ はこのような $\ell$ のうち、一番小さな正の整数です。なので、 $64a+1=27b$ について考えます。
特殊解を見つけると、$a=8,b=19$ が見つかります。なので、
\begin{eqnarray}
64a+1&=&27b \\[5pt]
64\cdot 8+1&=&27\cdot 19 \\[5pt]
\end{eqnarray}を辺々引いて\[ 64(a-8)=27(b-19) \]が得られます。 $64,27$ は互いに素なので、 $a-8=27k$ 、つまり、 $a=27k+8$ と書け、 $b=64k+19$ とかけます。よって、 $k=0$ のときに最小になるので、 $m=64\cdot 8+6=518$ となります。
解答
スセソ:646 (3点)
タチツ:518 (4点)
解答編 つづき
問題
また、T4 と T6 の表示に関する記述として、次の 0 ~ 3 のうち、正しいものは $\dBox{テ}$ である。
$\dbox{テ}$ の解答群
0: T4 と T6 を同時にスタートさせてから、 $m$ 秒後より前に初めて両方が同時に 012 と表示される。
1: T4 と T6 を同時にスタートさせてから、ちょうど $m$ 秒後に始めて両方が同時に 012 と表示される。
2: T4 と T6 を同時にスタートさせてから、 $m$ 秒後より後に初めて両方が同時に 012 と表示される。
3: T4 と T6 を同時にスタートさせてから、両方が同時に 012 と表示されることはない。
解説
T6に表される数は、 $6^3$ で割った余りを6進数で表したものなので、T6が $\ell$ 秒後に 012 と表示されることは、 $\ell$ を $216$ で割ったときの余りが $6+2=8$ であることと同値です。
なので、 $\ell$ 秒後にT4とT6が同時に012と表示されることは、\[ \ell=64a+6=216b+8 \]を満たす $0$ 以上の整数 $a,b$ が存在することと同値です。しかし、 $216b+8$ は4の倍数で $64a+6$ は4で割り切れないので、両者が一致することはありません。なので、T4とT6が同時に012となることはありません。
解答
テ:3 (3点)