共通テスト 数学I・数学A 2024年度 第1問 [2] 解説
【必答問題】
問題編
問題
(三角比の表は省略しています)
以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて37ページの三角比の表を用いてもよい。
水平な地面(以下、地面)に垂直に立っている電柱の高さを、その影の長さと太陽高度を利用して求めよう。
図1のように、電柱の影の先端は坂の斜面(以下、坂)にあるとする。また、坂には傾斜を表す道路標識が設置されていて、そこには 7% と表示されているとする。
電柱の太さと影の幅は無視して考えるものとする。また、地面と坂は平面であるとし、地面と坂が交わってできる直線を $\ell$ とする。
電柱の先端を点 $\mathrm{A}$ とし、根もとを点 $\mathrm{B}$ とする。電柱の影について、地面にある部分を線分 $\mathrm{BC}$ とし、坂にある部分を線分 $\mathrm{CD}$ とする。線分 $\mathrm{BC, CD}$ がそれぞれ $\ell$ と垂直であるとき、電柱の影は坂に向かってまっすぐにのびているということにする。
電柱の影が坂に向かってまっすぐにのびているとする。このとき、4点 $\mathrm{A, B ,C, D}$ を通る平面は $\ell$ と垂直である。その平面において、図2のように、直線 $\mathrm{AD}$ と直線 $\mathrm{BC}$ の交点を $\mathrm{P}$ とすると、太陽高度とは $\angle \mathrm{APB}$ の大きさのことである。
道路標識の 7% という表示は、この坂をのぼったとき、$100\mathrm{m}$ の水平距離に対して $7\mathrm{m}$ の割合で高くなることを示している。 $n$ を $1$ 以上 $9$ 以下の整数とするとき、坂の傾斜角 $\angle \mathrm{DCP}$ の大きさについて\[ n^{\circ} \lt \angle \mathrm{DCP} \lt n^{\circ}+1^{\circ} \]を満たす $n$ の値は $\myBox{シ}$ である。
以下では、 $\angle \mathrm{DCP}$ の大きさは、ちょうど $\mybox{シ}^{\circ}$ であるとする。
ある日、電柱の影が坂に向かってまっすぐにのびていたとき、影の長さを調べたところ $\mathrm{BC}=7\mathrm{m}$、$\mathrm{CD}=4\mathrm{m}$ であり、太陽高度は $\angle \mathrm{APB}=45^{\circ}$ であった。点 $\mathrm{D}$ から直線 $\mathrm{AB}$ に垂直な直線を引き、直線 $\mathrm{AB}$ との交点を $\mathrm{E}$ とするとき\[ \mathrm{BE}=\myBox{ス}\times\dBox{セ} \mathrm{m} \]であり、\[ \mathrm{DE}=\left(\myBox{ソ}+\myBox{タ}\times\dBox{チ}\right) \mathrm{m} \]である。よって、電柱の高さは、小数第2位で四捨五入すると $\dBox{ツ}\mathrm{m}$ であることがわかる。
$\dbox{セ}, \dbox{チ}$ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)
0: $\sin\angle \mathrm{DCP}$
1: $\dfrac{1}{\sin\angle \mathrm{DCP}}$
2: $\cos\angle \mathrm{DCP}$
3: $\dfrac{1}{\cos\angle \mathrm{DCP}}$
4: $\tan\angle \mathrm{DCP}$
5: $\dfrac{1}{\tan\angle \mathrm{DCP}}$
$\dbox{ツ}$ の解答群
0: $10.4$
1: $10.7$
2: $11.0$
3: $11.3$
4: $11.6$
5: $11.9$別の日、電柱の影が坂に向かってまっすぐにのびていたときの太陽高度は $\angle \mathrm{APB}=42^{\circ}$ であった。電柱の高さがわかったので、前回調べた日からの影の長さの変化を知ることができる。電柱の影について、坂にある部分の長さは\[ \mathrm{CD}=\dfrac{\mathrm{AB}-\myBox{テ}\times\dBox{ト}}{\dBox{ナ}+\dBox{ニ}\times\dbox{ト}} \mathrm{m} \]である。 $\mathrm{AB}=\dbox{ツ}\mathrm{m}$ として、これを計算することにより、この日の電柱の影について、坂にある部分の長さは、前回調べた $4\mathrm{m}$ より約 $1.2\mathrm{m}$ だけ長いことがわかる。
$\dbox{ト}$ ~ $\dbox{ニ}$ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)
0: $\sin\angle \mathrm{DCP}$
1: $\cos\angle \mathrm{DCP}$
2: $\tan\angle \mathrm{DCP}$
3: $\sin\angle 42^{\circ}$
4: $\cos\angle 42^{\circ}$
5: $\tan\angle 42^{\circ}$
考え方
太陽や坂の絵がありますが、図形の問題と思って考えていけばいいです。後半は、使える角と長さに注意して、CD を含む式を作り、CD について解くのですが、結構計算が大変です。計算力が必要です。
【必答問題】
解答編
問題
(三角比の表は省略しています)
以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて37ページの三角比の表を用いてもよい。
水平な地面(以下、地面)に垂直に立っている電柱の高さを、その影の長さと太陽高度を利用して求めよう。
図1のように、電柱の影の先端は坂の斜面(以下、坂)にあるとする。また、坂には傾斜を表す道路標識が設置されていて、そこには 7% と表示されているとする。
電柱の太さと影の幅は無視して考えるものとする。また、地面と坂は平面であるとし、地面と坂が交わってできる直線を $\ell$ とする。
電柱の先端を点 $\mathrm{A}$ とし、根もとを点 $\mathrm{B}$ とする。電柱の影について、地面にある部分を線分 $\mathrm{BC}$ とし、坂にある部分を線分 $\mathrm{CD}$ とする。線分 $\mathrm{BC, CD}$ がそれぞれ $\ell$ と垂直であるとき、電柱の影は坂に向かってまっすぐにのびているということにする。
電柱の影が坂に向かってまっすぐにのびているとする。このとき、4点 $\mathrm{A, B ,C, D}$ を通る平面は $\ell$ と垂直である。その平面において、図2のように、直線 $\mathrm{AD}$ と直線 $\mathrm{BC}$ の交点を $\mathrm{P}$ とすると、太陽高度とは $\angle \mathrm{APB}$ の大きさのことである。
道路標識の 7% という表示は、この坂をのぼったとき、$100\mathrm{m}$ の水平距離に対して $7\mathrm{m}$ の割合で高くなることを示している。 $n$ を $1$ 以上 $9$ 以下の整数とするとき、坂の傾斜角 $\angle \mathrm{DCP}$ の大きさについて\[ n^{\circ} \lt \angle \mathrm{DCP} \lt n^{\circ}+1^{\circ} \]を満たす $n$ の値は $\myBox{シ}$ である。
以下では、 $\angle \mathrm{DCP}$ の大きさは、ちょうど $\mybox{シ}^{\circ}$ であるとする。
解説
$\tan\angle \mathrm{DCP}=0.07$ なので、 $\tan4^{\circ}=0.0699$ と $\tan5^{\circ}=0.0875$ の間にあるから\[ 4^{\circ} \lt \angle\mathrm{DCP} \lt 5^{\circ} \]です。
解答
シ:4 (4点)
解答編 つづき
問題
ある日、電柱の影が坂に向かってまっすぐにのびていたとき、影の長さを調べたところ $\mathrm{BC}=7\mathrm{m}$、$\mathrm{CD}=4\mathrm{m}$ であり、太陽高度は $\angle \mathrm{APB}=45^{\circ}$ であった。点 $\mathrm{D}$ から直線 $\mathrm{AB}$ に垂直な直線を引き、直線 $\mathrm{AB}$ との交点を $\mathrm{E}$ とするとき\[ \mathrm{BE}=\myBox{ス}\times\dBox{セ} \mathrm{m} \]であり、\[ \mathrm{DE}=\left(\myBox{ソ}+\myBox{タ}\times\dBox{チ}\right) \mathrm{m} \]である。よって、電柱の高さは、小数第2位で四捨五入すると $\dBox{ツ}\mathrm{m}$ であることがわかる。
$\dbox{セ}, \dbox{チ}$ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)
0: $\sin\angle \mathrm{DCP}$
1: $\dfrac{1}{\sin\angle \mathrm{DCP}}$
2: $\cos\angle \mathrm{DCP}$
3: $\dfrac{1}{\cos\angle \mathrm{DCP}}$
4: $\tan\angle \mathrm{DCP}$
5: $\dfrac{1}{\tan\angle \mathrm{DCP}}$
$\dbox{ツ}$ の解答群
0: $10.4$
1: $10.7$
2: $11.0$
3: $11.3$
4: $11.6$
5: $11.9$
解説
$\mathrm{BE}$ は $\mathrm{CD} \sin\angle\mathrm{DCP}$ と一致するので、 $\mathrm{BE}=4\sin\angle\mathrm{DCP}$ です。
また、$\mathrm{DE}$ は $\mathrm{BC}+\mathrm{CD} \cos\angle\mathrm{DCP}$ と一致するので、 $\mathrm{DE}=7+4\cos\angle\mathrm{DCP}$ です。
太陽高度が $45^{\circ}$ なので、 $\mathrm{AE=DE}$ だから、電柱の高さは $\mathrm{BE+DE}$ となります。
\begin{eqnarray}
& &
4\sin\angle\mathrm{DCP} +7+4\cos\angle\mathrm{DCP} \\[5pt]
&=&
4\sin 4^{\circ} +7+4\cos4^{\circ} \\[5pt]
&=&
4 \cdot 0.0698 +7+4 \cdot 0.9976 \\[5pt]
&=&
11.26
\end{eqnarray}となるので、小数第2位を四捨五入して $11.3$ となります。
解答
スセ:40 (4点)
ソタチ:742 (4点)
ツ:3 (4点)
解答編 つづき
問題
別の日、電柱の影が坂に向かってまっすぐにのびていたときの太陽高度は $\angle \mathrm{APB}=42^{\circ}$ であった。電柱の高さがわかったので、前回調べた日からの影の長さの変化を知ることができる。電柱の影について、坂にある部分の長さは\[ \mathrm{CD}=\dfrac{\mathrm{AB}-\myBox{テ}\times\dBox{ト}}{\dBox{ナ}+\dBox{ニ}\times\dbox{ト}} \mathrm{m} \]である。 $\mathrm{AB}=\dbox{ツ}\mathrm{m}$ として、これを計算することにより、この日の電柱の影について、坂にある部分の長さは、前回調べた $4\mathrm{m}$ より約 $1.2\mathrm{m}$ だけ長いことがわかる。
$\dbox{ト}$ ~ $\dbox{ニ}$ の解答群(同じものを繰り返し選んでもよい。)
0: $\sin\angle \mathrm{DCP}$
1: $\cos\angle \mathrm{DCP}$
2: $\tan\angle \mathrm{DCP}$
3: $\sin\angle 42^{\circ}$
4: $\cos\angle 42^{\circ}$
5: $\tan\angle 42^{\circ}$
解説
$\mathrm{AB}$ は $\mathrm{AE+EB}$ とかけます。これはいつでも成り立ちます。
太陽高度が $42^{\circ}$ なので、 $\tan 42^{\circ}=\dfrac{\mathrm{AE}}{\mathrm{DE}}$ だから $\mathrm{AE}=\mathrm{DE}\tan 42^{\circ}$ となります。さらに、 $\mathrm{DE}=\mathrm{BC}+\mathrm{CD} \cos\angle\mathrm{DCP}$ であり、 $\mathrm{BC}=7$ も変わらないので、\[ \mathrm{AE}=(7+\mathrm{CD} \cos\angle\mathrm{DCP})\tan 42^{\circ} \]が成り立ちます。
また、$\mathrm{EB}=\mathrm{CD}\sin\angle\mathrm{DCP}$ が成り立ちます。
これらから
\begin{eqnarray}
\mathrm{AB} &=& \mathrm{AE+EB} \\[5pt]
\mathrm{AB} &=& (7+\mathrm{CD} \cos\angle\mathrm{DCP})\tan 42^{\circ} + \mathrm{CD}\sin\angle\mathrm{DCP} \\[5pt]
\mathrm{AB} &=& 7\tan 42^{\circ}+\mathrm{CD} \cos\angle\mathrm{DCP}\tan 42^{\circ} + \mathrm{CD}\sin\angle\mathrm{DCP} \\[5pt]
\mathrm{AB}-7\tan 42^{\circ} &=& \mathrm{CD} (\cos\angle\mathrm{DCP}\tan 42^{\circ}+\sin\angle\mathrm{DCP}) \\[5pt]
\mathrm{CD} &=& \frac{\mathrm{AB}-7\tan 42^{\circ}} {\sin\angle\mathrm{DCP}+\cos\angle\mathrm{DCP}\tan 42^{\circ}} \\[5pt]
\end{eqnarray}と求められます。実際に代入して計算すると、 $5.16\cdots$ となり、たしかに、 $4$ より約 $1.2$ だけ大きな値になることがわかります。
解答
テトナニ:7501 (4点)