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共通テスト 数学I・数学A 2022年度追試 第3問 解説

$\def\myBox#1{\bbox[2px, border:2px solid]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } }$ $\def\mybox#1{\bbox[2px, border:1px solid gray]{ \textsf{ #1 } } }$ $\def\dBox#1{\bbox[3px, border: 2px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \class{bold}{ \textsf{ #1 } } } } }$ $\def\dbox#1{\bbox[4px, border: 1px solid ]{\bbox[0px, border: 1px solid ]{ \textsf{ #1 } } } }$

【第3問~第5問から2問選択】

問題編

問題

 花子さんと太郎さんは、得点に応じた景品を一つもらえる、さいころを使った次のゲームを行う。ただし、得点なしの場合は景品をもらえない。

ゲームのルール
  • 最初にさいころを1回投げる。
  • さいころを1回投げた後に、続けて2回目を投げるかそれとも1回で終えて2回目を投げないかを、自分で決めることができる。
  • 2回目を投げた場合は、出た目の合計を $6$ で割った余りを $A$ とする。2回目を投げなかった場合は、1回目に出た目を $6$ で割った余りを $A$ とする。
  • $A$ が決まった後に、さいころをもう1回投げ、出た目が $A$ 未満の場合は $A$ を得点とし、出た目が $A$ 以上のときは得点なしとする。

(1) 1回目に投げたさいころの目にかかわらず2回目を投げる場合を考える。 $A=4$ となるのは出た目の合計が $\myBox{ア}$ または $\myBox{イウ}$ の場合であるから、 $A=4$ となる確率は $\dfrac{\myBox{エ} }{\myBox{オ} }$ である。また、 $A\geqq 4$ となる確率は $\dfrac{\myBox{カ} }{\myBox{キ} }$ である。

(2) 花子さんは4点以上の景品が欲しいと思い、 $A\geqq 4$ となる確率が最大となるような戦略を考えた。

 例えば、さいころを1回投げたところ、出た目は $5$ であったとする。この条件のもとでは、2回目を投げない場合は確実に $A\geqq 4$ となるが、2回目を投げると $A\geqq 4$ となる確率は $\dfrac{\myBox{ク} }{\myBox{ケ} }$ である。よって、この条件のもとでは2回目を投げない方が $A\geqq 4$ となる確率は大きくなる。

 1回目に出た目が $5$ 以外の場合も、このように2回目を投げない場合と投げる場合を比較すると、花子さんの戦略は次のようになる。

花子さんの戦略  1回目に投げたさいころの目を $6$ で割った余りが $\dBox{コ}$ のときのみ、2回目を投げる。

 1回目に投げたさいころの目が $5$ 以外の場合も考えてみると、いずれの場合も2回目を投げたときに $A\geqq 4$ となる確率は $\dfrac{\mybox{ク} }{\mybox{ケ} }$ である。このことから、花子さんの戦略のもとで $A\geqq 4$ となる確率は $\dfrac{\myBox{サ} }{\myBox{シ} }$ であり、この確率は $\dfrac{\mybox{カ} }{\mybox{キ} }$ より大きくなる。

 $\dbox{コ}$ の解答群

 0: $2$ 以下
 1: $3$ 以下
 2: $4$ 以下

 3: $2$ 以上
 4: $3$ 以上
 5: $4$ 以上

(3) 太郎さんは、どの景品でもよいからもらいたいと思い、得点なしとなる確率が最小となるような戦略を考えた。

 例えば、さいころを1回投げたところ、出た目は $3$ であったとする。この条件のもとでは、2回目を投げない場合、得点なしとなる確率は $\dfrac{\myBox{ス} }{\myBox{セ} }$ であり、2回目を投げる場合、得点なしとなる確率は $\dfrac{\myBox{ソタ} }{\myBox{チツ} }$ である。よって、1回目に投げたさいころの目が $3$ であったときは、 $\dBox{テ}$ 。

 1回目に投げたさいころの目が $3$ 以外の場合についても考えてみると、太郎さんの戦略は次のようになる。

太郎さんの戦略
 1回目に投げたさいころの目を $6$ で割った余りが $\dBox{ト}$ のときのみ、2回目を投げる。

 この戦略のもとで太郎さんが得点なしとなる確率は $\dfrac{\myBox{ナニ} }{\myBox{ヌネ} }$ であり、この確率は、1回目に投げたさいころの目にかかわらず2回目を投げる場合における得点なしとなる確率より小さくなる。

 $\dbox{テ}$ の解答群

 0: 2回目を投げない方が得点なしとなる確率は小さい
 1: 2回目を投げた方が得点なしとなる確率は小さい
 2: 2回目を投げても投げなくても得点なしとなる確率は変わらない

 $\dbox{ト}$ の解答群

 0: $2$ 以下
 1: $3$ 以下
 2: $4$ 以下

 3: $2$ 以上
 4: $3$ 以上
 5: $4$ 以上

考え方

ゲームをやって、勝つことや負けないことを考える、という内容です。興味深い内容ですが、ボリュームは多いです。

まずはゲームの内容をきちんと把握しましょう。花子さんは得点の確率は考えず、太郎さんは得点の確率を考えるなど、細かく設定を読む必要があります。

出る目に応じて場合分けが必要な場面が出てきます。ただ、よく考えると場合分けをせずに計算できるものもあります。確率の問題にかなり慣れていないと、てこずってしまうかもしれません。


【第3問~第5問から2問選択】

解答編

問題

 花子さんと太郎さんは、得点に応じた景品を一つもらえる、さいころを使った次のゲームを行う。ただし、得点なしの場合は景品をもらえない。

ゲームのルール
  • 最初にさいころを1回投げる。
  • さいころを1回投げた後に、続けて2回目を投げるかそれとも1回で終えて2回目を投げないかを、自分で決めることができる。
  • 2回目を投げた場合は、出た目の合計を $6$ で割った余りを $A$ とする。2回目を投げなかった場合は、1回目に出た目を $6$ で割った余りを $A$ とする。
  • $A$ が決まった後に、さいころをもう1回投げ、出た目が $A$ 未満の場合は $A$ を得点とし、出た目が $A$ 以上のときは得点なしとする。

(1) 1回目に投げたさいころの目にかかわらず2回目を投げる場合を考える。 $A=4$ となるのは出た目の合計が $\myBox{ア}$ または $\myBox{イウ}$ の場合であるから、 $A=4$ となる確率は $\dfrac{\myBox{エ} }{\myBox{オ} }$ である。また、 $A\geqq 4$ となる確率は $\dfrac{\myBox{カ} }{\myBox{キ} }$ である。

解説

2回目を投げて $A=4$ になるということは、2回の目の和を $6$ で割ると $4$ になるということなので、出た目の合計が $4$ か $10$ になるということです。

出た目の合計が $4$ となるのは、 $(1,3)$, $(2,2)$, $(3,1)$ の3通り、 $10$ となるのは $(4,6)$, $(5,5)$, $(6,4)$ の3通りなので、ぜんぶで6通りです。なので、 $A=4$ となる確率は\[ \dfrac{6}{6^2}=\frac{1}{6} \]となります。

$A$ は $6$ で割った余りなので、 $0$ 以上 $5$ 以下の整数です。なので、 $A\geqq 4$ とは、 $A=4$ または $A=5$ ということです。

$A=5$ になるということは、出た目の合計が $5$ か $11$ ということです。出た目の合計が $5$ となるのは、 $(1,4)$, $(2,3)$, $(3,2)$, $(4,1)$ の4通り、 $11$ となるのは $(5,6)$, $(6,5)$ の2通りなので、ぜんぶで6通りです。

以上から、 $A\geqq 4$ となる確率は\[ \frac{6+6}{6^2}=\frac{1}{3} \]と求められます。

解答

ア:4
イウ:10
エオ:16
カキ:13

解答編 つづき

問題

(2) 花子さんは4点以上の景品が欲しいと思い、 $A\geqq 4$ となる確率が最大となるような戦略を考えた。

 例えば、さいころを1回投げたところ、出た目は $5$ であったとする。この条件のもとでは、2回目を投げない場合は確実に $A\geqq 4$ となるが、2回目を投げると $A\geqq 4$ となる確率は $\dfrac{\myBox{ク} }{\myBox{ケ} }$ である。よって、この条件のもとでは2回目を投げない方が $A\geqq 4$ となる確率は大きくなる。

解説

$A\geqq 4$ となるのは、2回の目の合計が $4, 5, 10, 11$ のどれかになる場合です。1回目が $5$ であった場合、2回目は $5,6$ の2通りのケースが考えられるので、 $A\geqq 4$ となる確率は $\dfrac{2}{6}=\dfrac{1}{3}$ となります。

問題文にある通り、1回目が $5$ の場合は、2回目を投げない場合は $A\geqq 4$ となる確率が $1$ で、2回目を投げると確率は $\dfrac{1}{3}$ に下がるので、2回目を投げない方がいいことがわかります。

解答

クケ:13

解答編 つづき

問題

 1回目に出た目が $5$ 以外の場合も、このように2回目を投げない場合と投げる場合を比較すると、花子さんの戦略は次のようになる。

花子さんの戦略  1回目に投げたさいころの目を $6$ で割った余りが $\dBox{コ}$ のときのみ、2回目を投げる。

 1回目に投げたさいころの目が $5$ 以外の場合も考えてみると、いずれの場合も2回目を投げたときに $A\geqq 4$ となる確率は $\dfrac{\mybox{ク} }{\mybox{ケ} }$ である。このことから、花子さんの戦略のもとで $A\geqq 4$ となる確率は $\dfrac{\myBox{サ} }{\myBox{シ} }$ であり、この確率は $\dfrac{\mybox{カ} }{\mybox{キ} }$ より大きくなる。

 $\dbox{コ}$ の解答群

 0: $2$ 以下
 1: $3$ 以下
 2: $4$ 以下

 3: $2$ 以上
 4: $3$ 以上
 5: $4$ 以上

解説

まずは、花子さんの戦略について考えます。

先ほど見たように、1回目の余りが $5$ なら、2回目を投げない方がいいです。余りが $4$ の場合も、2回目を投げない場合は確実に $A\geqq 4$ となるので、投げない方がいいです。

しかし、余りが $3$ 以下の場合は、2回目を投げないと、 $A\geqq 4$ になることはありません。この場合は、2回目を投げたほうがいいです。

そのため、花子さんの戦略は「1回目に投げたさいころの目を $6$ で割った余りが $3$ 以下 のときのみ、2回目を投げる」となります。

1回目に出たそれぞれの目に対して、$A\geqq 4$ となるような2回目のさいころの目は次のようになります。

1回目:1 ⇒ 2回目: 3, 4
1回目:2 ⇒ 2回目: 2, 3
1回目:3 ⇒ 2回目: 1, 2
1回目:4 ⇒ 2回目: 6, 1
1回目:5 ⇒ 2回目: 5, 6
1回目:6 ⇒ 2回目: 4, 5

よって、1回目が何でもあっても、2回目を投げたときに $A\geqq 4$ となるケースは2通りあり、こうなる確率は、問題文にある通り、 $\dfrac{2}{6}=\dfrac{1}{3}$ となります。

なので、花子さんの戦略を使うと、 $A\geqq 4$ となるケースは、「1回目の余りが $3$ 以下 かつ 2回目が2通り」または「1回目の余りが $4$ 以上」なので、確率は、
\begin{eqnarray} \frac{4\cdot 2}{6^2}+\frac{2}{6}=\frac{5}{9} \end{eqnarray}と求められます。(余りが $3$ 以下となるのは、1回目が $1,2,3,6$ の4通りあることに注意しましょう)

問題文にある通り、これは(1)で求めた $\dfrac{1}{3}$ よりも大きいため、花子さんの戦略を使った方が、 $A\geqq 4$ となる確率を上げられることがわかります。

解答

コ:1
サシ:59

解答編 つづき

問題

(3) 太郎さんは、どの景品でもよいからもらいたいと思い、得点なしとなる確率が最小となるような戦略を考えた。

 例えば、さいころを1回投げたところ、出た目は $3$ であったとする。この条件のもとでは、2回目を投げない場合、得点なしとなる確率は $\dfrac{\myBox{ス} }{\myBox{セ} }$ であり、2回目を投げる場合、得点なしとなる確率は $\dfrac{\myBox{ソタ} }{\myBox{チツ} }$ である。よって、1回目に投げたさいころの目が $3$ であったときは、 $\dBox{テ}$ 。

 1回目に投げたさいころの目が $3$ 以外の場合についても考えてみると、太郎さんの戦略は次のようになる。

太郎さんの戦略
 1回目に投げたさいころの目を $6$ で割った余りが $\dBox{ト}$ のときのみ、2回目を投げる。

 この戦略のもとで太郎さんが得点なしとなる確率は $\dfrac{\myBox{ナニ} }{\myBox{ヌネ} }$ であり、この確率は、1回目に投げたさいころの目にかかわらず2回目を投げる場合における得点なしとなる確率より小さくなる。

 $\dbox{テ}$ の解答群

 0: 2回目を投げない方が得点なしとなる確率は小さい
 1: 2回目を投げた方が得点なしとなる確率は小さい
 2: 2回目を投げても投げなくても得点なしとなる確率は変わらない

 $\dbox{ト}$ の解答群

 0: $2$ 以下
 1: $3$ 以下
 2: $4$ 以下

 3: $2$ 以上
 4: $3$ 以上
 5: $4$ 以上

解説

1回目が $3$ のときは、次に $3$ 以上が出ると得点がなしになります。なのでこうなる確率は $\dfrac{4}{6}=\dfrac{2}{3}$ です。

2回目を投げる場合、目によって $A$ の値と、$A$ が決まった後にさいころを投げて得点がなしになる確率は以下のようになります。

  • 2回目:1 ⇒ $A=4$, 得点なしの確率 $\dfrac{3}{6}$
  • 2回目:2 ⇒ $A=5$, 得点なしの確率 $\dfrac{2}{6}$
  • 2回目:3 ⇒ $A=0$, 得点なしの確率 $\dfrac{6}{6}$
  • 2回目:4 ⇒ $A=1$, 得点なしの確率 $\dfrac{6}{6}$
  • 2回目:5 ⇒ $A=2$, 得点なしの確率 $\dfrac{5}{6}$
  • 2回目:6 ⇒ $A=3$, 得点なしの確率 $\dfrac{4}{6}$

以上から、2回目を投げる場合に得点なしとなる確率は
\begin{eqnarray} \frac{1}{6}\cdot \frac{3+2+6+6+5+4}{6} =\frac{26}{36} =\frac{13}{18} \end{eqnarray}となります。

$\dfrac{2}{3}\lt \dfrac{13}{18}$ だから、2回目を投げないほうが確率が小さくなります。なので、1回目に投げたさいころの目が $3$ であったときは、2回目を投げない方が得点なしとなる確率は小さいことがわかります。

次に、太郎さんの戦略について考えます。まず、2回目を投げる場合を考えます。上の「1回目が $3$ の場合」を見てもわかりますが、1回目が何であっても、2回目を投げたときの $A$ の値は $0$ から $5$ までが1回ずつ現れます。なので、1回目がどの場合でも、2回目を投げてその後に得点なしとなる確率は $\dfrac{13}{18}$ となります。

一方、2回目を投げない場合、1回目に出た目によって、得点なしとなる確率を考えると、以下のようになります。

  • 1回目:1 ⇒ $A=1$, 得点なしの確率 $\dfrac{6}{6}$
  • 1回目:2 ⇒ $A=2$, 得点なしの確率 $\dfrac{5}{6}$
  • 1回目:3 ⇒ $A=3$, 得点なしの確率 $\dfrac{4}{6}$
  • 1回目:4 ⇒ $A=4$, 得点なしの確率 $\dfrac{3}{6}$
  • 1回目:5 ⇒ $A=5$, 得点なしの確率 $\dfrac{2}{6}$
  • 1回目:6 ⇒ $A=0$, 得点なしの確率 $\dfrac{6}{6}$

1回目に出た目を $6$ で割った余りが $2$ 以下の場合だけ $\dfrac{13}{18}$ より大きくなるので、この場合に2回目を投げる、という戦略をとればいいです。

1回目が 1, 2, 6 なら2回目を投げ、1回目が 3, 4, 5 なら1回目で終わります。1回目が 1, 2, 6 の場合、それぞれについて、得点がなしになる確率は $\dfrac{13}{18}$ です。1回目が 3, 4, 5 の場合、得点がなしになる確率は上で求めたので、太郎さんの戦略によると、得点なしとなる確率は
\begin{eqnarray} & & \frac{1}{6} \cdot \frac{13+13+12+9+6+13}{18} \\[5pt] &=& \frac{11}{18} \end{eqnarray}と求められます。問題文にあるとおり、この確率は、1回目に投げたさいころのめにかかわらず2回目を投げる場合に得点なしになる確率は $\dfrac{13}{18}$ より小さくなることがわかります、太郎さんの戦略を使った方がいいことがわかります。

解答

スセ:23
ソタチツ:1318
テ:0
ト:0
ナニヌネ:1118

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