共通テスト 数学I・数学A 2022年度追試 第1問 [2] 解説
【必答問題】
(三角比の表は省略しています)
問題編
問題
以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて33ページの三角比の表を用いてもよい。
火災時にビルの高層階に取り残された人を救出する際、はしご車を使用することがある。
図1のはしご車で考える。はしごの先端を A、はしごの支点を B とする。はしごの角度(はしごと水平面のなす角の大きさ)は $75^{\circ}$ まで大きくすることができ、はしごの長さ AB は $35$ mまで伸ばすことができる。また、はしごの支点 B は地面から $2$ mの高さにあるとする。
以下、はしごの長さ AB は $35$ mに固定して考える。また、はしごは太さを無視して線分とみなし、はしご車は水平な地面上にあるものとする。
(1) はしごの先端 A の最高到達点の高さは、地面から $\myBox{サシ}$ mである。小数第1位を四捨五入して答えよ。
(2) 図1のはしごは、図2のように、点 C で、AC が鉛直方向になるまで下向きに屈折させることができる。AC の長さは $10$ mである。
図3のように、あるビルにおいて、地面から $26$ mの高さにある位置を点 P とする。障害物のフェンスや木があるため、はしご車を BQ の長さが $18$ mとなる場所にとめる。ここで、点 Q は、点 P の真下で、点 B と同じ高さにある位置である。
このとき、はしごの先端 A が点 P に届くかどうかは、障害物の高さや、はしご車と障害物の距離によって決まる。そこで、このことについて、後の(i)、(ii)のように考える。
ただし、はしご車、障害物、ビルは同じ水平な地面上にあり、点 A, B, C, P, Q はすべて同一平面上にあるものとする。
(i) はしごを点 C で屈折させ、はしごの先端 A が点 P に一致したとすると、 $\angle \mathrm{QBC}$ の大きさはおよそ $\dBox{ス}^{\ \circ}$ になる。
$\dbox{ス}$ については、最も適当なものを、次の 0 ~ 6 のうちから一つ選べ。
0: 53
1: 56
2: 59
3: 63
4: 67
5: 71
6: 75(ii) はしご車に最も近い障害物はフェンスで、フェンスの高さは $7$ m以上あり、障害物の中で最も高いものとする。フェンスは地面に垂直で2点 B, Q の間にあり、フェンスと BQ との交点から点 B までの距離は $6$ mであり。また、フェンスの厚みは考えないとする。
このとき、次の 0 ~ 6 のフェンスの高さのうち、図3のように、はしごがフェンスに当たらずに、はしごの先端 A を点 P に一致させることができる最大のものは、 $\dBox{セ}$ である。
$\dbox{セ}$ の解答群
0: $7$ m
1: $10$ m
2: $13$ m
3: $16$ m
4: $19$ m
5: $22$ m
6: $25$ m
考え方
(1)は難しくないですが、(2)(i)は少し難しいです。工夫して求める必要がありますが、CQ に目が行ってしまうと、思いつきにくくなってしまうでしょう。
【必答問題】
(三角比の表は省略しています)
解答編
問題
以下の問題を解答するにあたっては、必要に応じて33ページの三角比の表を用いてもよい。
火災時にビルの高層階に取り残された人を救出する際、はしご車を使用することがある。
図1のはしご車で考える。はしごの先端を A、はしごの支点を B とする。はしごの角度(はしごと水平面のなす角の大きさ)は $75^{\circ}$ まで大きくすることができ、はしごの長さ AB は $35$ mまで伸ばすことができる。また、はしごの支点 B は地面から $2$ mの高さにあるとする。
以下、はしごの長さ AB は $35$ mに固定して考える。また、はしごは太さを無視して線分とみなし、はしご車は水平な地面上にあるものとする。
(1) はしごの先端 A の最高到達点の高さは、地面から $\myBox{サシ}$ mである。小数第1位を四捨五入して答えよ。
解説
はしごの角度を $75^{\circ}$ にしたときが一番高くなります。そのため、最高到達点は $(2+35\sin 75^{\circ})$ mとなります。三角比の表を用いて計算すると\[ 2+35\cdot 0.9659=35.8065 \]となるので、 $36$ mとなります。
解答
サシ:36
解答編 つづき
問題
(2) 図1のはしごは、図2のように、点 C で、AC が鉛直方向になるまで下向きに屈折させることができる。AC の長さは $10$ mである。
図3のように、あるビルにおいて、地面から $26$ mの高さにある位置を点 P とする。障害物のフェンスや木があるため、はしご車を BQ の長さが $18$ mとなる場所にとめる。ここで、点 Q は、点 P の真下で、点 B と同じ高さにある位置である。
このとき、はしごの先端 A が点 P に届くかどうかは、障害物の高さや、はしご車と障害物の距離によって決まる。そこで、このことについて、後の(i)、(ii)のように考える。
ただし、はしご車、障害物、ビルは同じ水平な地面上にあり、点 A, B, C, P, Q はすべて同一平面上にあるものとする。
(i) はしごを点 C で屈折させ、はしごの先端 A が点 P に一致したとすると、 $\angle \mathrm{QBC}$ の大きさはおよそ $\dBox{ス}^{\ \circ}$ になる。
$\dbox{ス}$ については、最も適当なものを、次の 0 ~ 6 のうちから一つ選べ。
0: 53
1: 56
2: 59
3: 63
4: 67
5: 71
6: 75
解説
図のままだと考えづらいので、座標平面上で考えることにしましょう。点 B から地面に下した垂線と地面との交点を O とし、 $1$ m を 1目盛りとして考えることにします。
上の図は、わかりやすいように、縮尺を変えています。
上の図で、BQ, PQ と $\angle \mathrm{ Q }$ から、三角形 BPQ の形状が決まります。また、三角形 BCP の三辺の長さがわかるので、この三角形も形状が決まります。そのため、はしごの先端 A が P に一致したとすると、四角形 PCBQ の形状が1つに決まることがわかります。
さて、 $\angle \mathrm{ QBC }$ を求めるには、この角を含む $\triangle \mathrm{ QBC }$ を考えたくなります。しかし、 CQ の長さがわからないため、求めるのは難しいです。そのため、直接求めるのではなく工夫して求めます。
BP で分けて考えます。つまり、\[ \angle \mathrm{ QBC }=\angle \mathrm{ PBQ }+\angle \mathrm{ CBP } \]と分けて考えることにします。
三角形 BPQ は直角三角形であり、 $\tan \angle\mathrm{ PBQ }=\dfrac{24}{18}=\dfrac{4}{3}$ です。三角比の表で、 $\tan$ が $1.3333$ に近い角度を探すと、 $53^{\circ}$ が見つかります。
残りの $\angle \mathrm{ CBP }$ を考えます。三角形 BCP は三辺の長さが決まっているので、余弦定理が使えそうです。 $\mathrm{BQ}:\mathrm{PQ}=18:24=3:4$ なので、 $\mathrm{ BP }=30$ だから
\begin{eqnarray}
\cos \angle \mathrm{ CBP }
&=&
\frac{\mathrm{ CB }^2+\mathrm{ BP }^2-\mathrm{ CP }^2}{2\mathrm{ CB }\cdot \mathrm{ BP } } \\[5pt]
&=&
\frac{25^2+30^2-10^2}{2\cdot 25\cdot 30} \\[5pt]
&=&
\frac{5^2+6^2-2^2}{2\cdot 30} \\[5pt]
&=&
\frac{57}{60} \\[5pt]
&=&
0.95 \\[5pt]
\end{eqnarray}と求められます。三角比の表から $\cos$ が $0.95$ に近い角を探すと、 $18^{\circ}$ が見つかります。
こうして、$\angle \mathrm{ QBC }$ のおおよその大きさは\[ 53^{\circ}+18^{\circ}=71^{\circ} \]となることがわかります。
解答
ス:5
解答編 つづき
問題
(ii) はしご車に最も近い障害物はフェンスで、フェンスの高さは $7$ m以上あり、障害物の中で最も高いものとする。フェンスは地面に垂直で2点 B, Q の間にあり、フェンスと BQ との交点から点 B までの距離は $6$ mであり。また、フェンスの厚みは考えないとする。
このとき、次の 0 ~ 6 のフェンスの高さのうち、図3のように、はしごがフェンスに当たらずに、はしごの先端 A を点 P に一致させることができる最大のものは、 $\dBox{セ}$ である。
$\dbox{セ}$ の解答群
0: $7$ m
1: $10$ m
2: $13$ m
3: $16$ m
4: $19$ m
5: $22$ m
6: $25$ m
解説
フェンスにギリギリ当たる場合を考えてみます。このときよりもフェンスを低くすれば、フェンスには当たらないことがわかります。
フェンスとはしご車は、水平距離で $6$ m離れているので、ビルとフェンスは水平距離で $12$ m離れています。 AC の長さは $10$ mなので、はしご車とフェンスがギリギリ当たる場合を考えるには、BC とフェンスが当たる場合を考えればいいです。このときの当たる点を D とおきます。
D から地面に引いた垂線と BQ との交点を E とします。このとき、 $\angle \mathrm{ DBE }=\angle \mathrm{ QBC }$ なので、先ほど求めた通り、およそ $71^{\circ}$ だとわかります。よって、DE のおおよその長さは\[ 6\tan71^{\circ}=6\times 2.9042=17.4252 \]と求められます。よって、 D の $y$ 座標は、およそ $19.4252$ なので、はしごが当たらないフェンスの最大の長さは $19$ mと求められます。
解答
セ:4