京都大学 理系 2014年度 第2問 解説
問題編
問題
2つの粒子が時刻0において、 $\triangle \mathrm{ ABC }$ の頂点 A に位置している。これらの粒子は独立に運動し、それぞれ1秒ごとに隣の頂点に等確率で移動していくとする。たとえば、ある時刻で点 C にいる粒子は、その1秒後には点 A または点 B にそれぞれ $\displaystyle \frac{1}{2}$ の確率で移動する。この2つの粒子が、時刻0の n 秒後に同じ点にいる確率 $p(n)$ を求めよ。
考え方
具体的に見てみましょう。
まず、 $n=1$ のときを考えてみると、片方の粒子がBかCに移動して、もう片方もBかCなので、このときに同じ点にいる確率は $\dfrac{1}{2}$ となることがわかります。
次に、 $n=2$ のときに同じ点にいるときを考えてみます。
$n=1$ のときに片方がBにいたとき、もう片方が $n=1$ のときにBにいたときは、同じ点にいるのは、ともにAに移動・ともにCに移動のどちらかの場合です。 $n=1$ のときに片方がBにいたとき、もう片方が $n=1$ のときにCにいたときは、ともにAに移動した場合だけです。
また、 $n=1$ のときに片方がCにいたとき、もう片方が $n=1$ のときにBにいたときは、ともにAに移動する場合だけ。 $n=1$ のときに片方がCにいたとき、もう片方も $n=1$ のときにCにいたときは、ともにAに移動・ともにBに移動の場合です。
このことからわかるのは、 $n=2$ のときに同じ点にいるかどうかは、 $n=1$ のときの状況によって違ってくる、ということです。もう少し考えると、 $n=1$ のときに同じ点にいた場合、 $n=2$ のときにも同じ点にいるのは、2つの粒子が同じ動きをするときです(ともにBからともにCに移動など)。一方、 $n=1$ のときに同じ点にいない場合、 $n=2$ のときに同じ点にいるのは、2つの粒子が空いている点に移動するときです(BとCのそれぞれからともにAに移動)。
1秒前の状況によって、そのときの状況が決まるので、 $p(n+1)$ と $p(n)$ との関係式を作り、漸化式を解けばいいことがわかります。また、「2つの粒子がそれぞれどの点にいるか」は重要ではなく、「2つの粒子が同じ点にいるかどうか」だけに注目すればいい、という点にも注意して、式を作りましょう。
解答編
問題
2つの粒子が時刻0において、 $\triangle \mathrm{ ABC }$ の頂点 A に位置している。これらの粒子は独立に運動し、それぞれ1秒ごとに隣の頂点に等確率で移動していくとする。たとえば、ある時刻で点 C にいる粒子は、その1秒後には点 A または点 B にそれぞれ $\displaystyle \frac{1}{2}$ の確率で移動する。この2つの粒子が、時刻0の n 秒後に同じ点にいる確率 $p(n)$ を求めよ。
解答
n 秒後に2つの粒子が同じ点にいるとき、 $n+1$ 秒後に2つの粒子が同じ点にいるのは、2つの粒子が同じ方向に移動するときなので、そうなる確率は $\dfrac{2}{2\times2}=\dfrac{1}{2}$ である。
また、 n 秒後に2つの粒子が同じ点にいないとき、 $n+1$ 秒後に2つの粒子が同じ点にいるのは、 n 秒後にどちらの粒子もいない点に移動するときなので、そうなる確率は $\dfrac{1}{4}$ となる。
n 秒後に2つの粒子が同じ点にいない確率は $1-p(n)$ なので、次の式が成り立つ。
\begin{eqnarray}
p(n+1) &=& \frac{1}{2} \times p(n) +\frac{1}{4} \times (1-p(n)) \\[5pt]
p(n+1) &=& \frac{p(n)}{4} +\frac{1}{4}
\end{eqnarray}ここで $a = \dfrac{a}{4} +\dfrac{1}{4}$ とすると $a=\dfrac{1}{3}$ なので
\begin{eqnarray}
p(n+1)-\frac{1}{3} &=& \frac{1}{4}\left( p(n)-\frac{1}{3} \right) \\[5pt]
p(n)-\frac{1}{3} &=& \frac{1}{4^n}\left( p(0)-\frac{1}{3} \right) \\[5pt]
p(n) &=& \frac{1}{4^n}\left( 1-\frac{1}{3} \right)+\frac{1}{3} \\[5pt]
&=& \frac{2}{3\cdot 4^n}+\frac{1}{3} \\[5pt]
\end{eqnarray}となる。
よって、 $p(n)=\dfrac{2}{3\cdot 4^n}+\dfrac{1}{3}$ 。
(終)
解説
移動する点は3点ありますが、粒子がどの点にいるか、を考え出すと式が複雑すぎて大変になってしまいます。ここでは、 n 秒後の時点で粒子が同じ点にいるかどうかだけが、 $n+1$ 秒後の状況に影響する、という点に気づく必要があります。ただ、これに気づくのは、問題文を読み、状況を把握すればそれほど難しいことではないでしょう。漸化式自体は難しくありません。漸化式が作れるかどうかがポイントです。