京都大学 文系 2017年度 第1問 解説
問題編
問題
曲線 $y=x^3-4x+1$ を C とする。直線 l は C の接線であり、点 $\mathrm{ P }(3,0)$ を通るものとする。また、 l の傾きは負であるとする。このとき、 C と l で囲まれた部分の面積 S を求めよ。
考え方
接線が点 $(3,0)$ を通るという条件から、接点の候補は3つ出てきます。接線の傾きが負になることから1つにしぼることができます。接線がわかれば、あとは積分するだけです。
条件を1つ1つ考えていきましょう。
解答編
問題
曲線 $y=x^3-4x+1$ を C とする。直線 l は C の接線であり、点 $\mathrm{ P }(3,0)$ を通るものとする。また、 l の傾きは負であるとする。このとき、 C と l で囲まれた部分の面積 S を求めよ。
解答
$f(x)=x^3-4x+1$ とし、直線 l と C との接点を $(t,f(t))$ とする。このとき\[ f'(x)=3x^2-4 \]なので、直線 l の方程式は
\begin{eqnarray}
y
&=&
(3t^2-4)(x-t)+t^3-4t+1 \\
&=&
(3t^2-4)x -3t^3+4t+t^3-4t+1 \\
&=&
(3t^2-4)x -2t^3+1 \\
\end{eqnarray}となる。これが点 $(3,0)$ を通るので、
\begin{eqnarray}
(3t^2-4)\cdot 3 -2t^3+1 &=& 0 \\
9t^2-12 -2t^3+1 &=& 0 \\
2t^3 -9t^2 +11 &=& 0 \\
(t+1)(2t^2-11t+11) &=& 0 \\
t &=& -1, \frac{11 \pm \sqrt{33} }{4}
\end{eqnarray}が成り立つ。
ここで、 l の傾き $3t^2-4$ が負なので\[ -\frac{2}{\sqrt{3} } \lt t \lt \frac{2}{\sqrt{3} } \]を満たす必要がある。上の解のうち、 $t=-1$ がこれを満たすことはわかる。また、
\begin{eqnarray}
\frac{11 - \sqrt{33} }{4}
& \gt &
\frac{11 - \sqrt{36} }{4} \\[5pt]
& = &
\frac{5}{4} \\[5pt]
\end{eqnarray}であり、
\begin{eqnarray}
\left(\frac{5}{4}\right)^2 -\left(\frac{2}{\sqrt{3} }\right)^2
&=&
\frac{25}{16}-\frac{4}{3} \\[5pt]
&=&
\frac{75-64}{48} \\[5pt]
&\gt&
0
\end{eqnarray}なので、他の解は $\dfrac{2}{\sqrt{3} }$ より大きいため、「傾きが負」という条件を満たさない。
以上から、 $t=-1$ であることがわかり、接線の方程式は
\begin{eqnarray}
y
&=&
(3t^2-4)x -2t^3+1 \\
&=&
-x+3 \\
\end{eqnarray}となることがわかる。
また、この接線と曲線との共有点の x 座標は
\begin{eqnarray}
x^3-4x+1 &=& -x+3 \\
x^3-3x-2 &=& 0 \\
(x+1)(x^2-x-2) &=& 0 \\
(x+1)^2(x-2) &=& 0 \\
\end{eqnarray}から、 $x=-1,2$ であることがわかる。
求める面積は、\[ y = x^3-3x-2 = (x+1)^2(x-2)\]と x 軸で囲まれた部分の面積に等しい。このグラフは $x=-1$ で x 軸と接し、 $x=2$ で x 軸と交わることから、囲まれた部分は x 軸より下にあることがわかる。よって
\begin{eqnarray}
S
&=&
-\int_{-1}^2 (x^3-3x-2) dx \\[5pt]
&=&
-\left[ \frac{1}{4}x^4 -\frac{3}{2}x^2-2x \right]_{-1}^2 \\[5pt]
&=&
-(4-6-4) +\left(\frac{1}{4}-\frac{3}{2}+2\right) \\[5pt]
&=&
6 +\frac{3}{4} \\[5pt]
&=&
\frac{27}{4} \\[5pt]
\end{eqnarray}と求められる。
(終)
解説
接点を文字でおいて考えるのはよくある手法です。「接線がある点を通る」という条件から、接点の候補を出します。
傾きが負になることをチェックするのは少し面倒です。 $-1$ 以外は見た目から答えじゃなさそうだというあたりをつけて考えましょう。比較しやすい値で比較するようにしましょう。
他の共有点を求められれば、後は積分するだけです。