京都大学 文系 2006年度後期 第2問 解説
問題編
【問題】
$\triangle \mathrm{ ABC }$の内心をPとする。$\overrightarrow{ \mathrm{ PA } } + \overrightarrow{ \mathrm{ PB } } + \overrightarrow{ \mathrm{ PC } } = \overrightarrow{ \mathrm{ 0 } }$が成り立っているとき、この三角形は正三角形であることを示せ。
【考え方】
すべてをベクトルだけで処理しようとすると大変です。図形的な性質を使って処理できるところは、積極的に使っていきましょう。
解答編
【問題】
$\triangle \mathrm{ ABC }$の内心をPとする。$\overrightarrow{ \mathrm{ PA } } + \overrightarrow{ \mathrm{ PB } } + \overrightarrow{ \mathrm{ PC } } = \overrightarrow{ \mathrm{ 0 } }$が成り立っているとき、この三角形は正三角形であることを示せ。
【解答】
条件式の両辺に$3\overrightarrow{ \mathrm{ AP } }$を足して2で割ると\[ \frac{\overrightarrow{ \mathrm{ AB } } + \overrightarrow{ \mathrm{ AC } } }{2} = \frac{3}{2} \overrightarrow{ \mathrm{ AP } } \]が得られる。
よって、直線APと辺BCの交点をDとすると、$\mathrm{ BD }:\mathrm{ CD }=1:1$である。APは$\angle \mathrm{ BAC }$の二等分線なので、$\mathrm{ AB }:\mathrm{ AC }=\mathrm{ BD }:\mathrm{ CD }$となる。よって、$\mathrm{ AB }=\mathrm{ AC }$が得られる。同様にすると、3辺の長さがすべて等しいことがわかるので、$\triangle \mathrm{ ABC }$は正三角形となる。
【解答終】
【解説】
条件式を3で割れば、Pが重心であることがわかります。「重心と内心が一致していたら正三角形」を示すことと同じですね。角の二等分線の性質を使って、辺の比に持って行くと処理しやすくなります。