センター試験 数学II・数学B 2017年度 第3問 解説
問題編
問題
以下において考察する数列の項は、すべて実数であるとする。
(1) 等比数列 $\{s_n\}$ の初項が $1$, 公比が $2$ であるとき\[ s_1s_2s_3=\myBox{ア}, s_1+s_2+s_3=\myBox{イ} \]である。
(2) $\{s_n\}$ を初項 x, 公比 r の等比数列とする。 a, b を実数(ただし $a\ne 0$ )とし、 $\{s_n\}$ の最初の3項が
\begin{eqnarray} & & s_1s_2s_3 = a^3 \quad \cdots ① \\ & & s_1+s_2+s_3 = b \quad \cdots ② \\ \end{eqnarray}を満たすとする。このとき \begin{eqnarray} xr=\myBox{ウ} \quad \cdots ③ \\ \end{eqnarray}である。さらに、②, ③を用いて r, a, b の満たす関係式を求めると \begin{eqnarray} \myBox{エ}r^2+(\myBox{オ}-\myBox{カ})r+\myBox{キ}=0 \quad \cdots ④ \\ \end{eqnarray}を得る。④を満たす実数 r が存在するので \begin{eqnarray} \myBox{ク}a^2+\myBox{ケ}ab-b^2 \leqq 0 \quad \cdots ⑤ \\ \end{eqnarray}である。逆に、 a, b が⑤を満たすとき、③, ④を用いて r, x の値を求めることができる。
(3) $a=64$, $b=336$ のとき、(2)の条件①, ②を満たし、公比が $1$ より大きい等比数列 $\{s_n\}$ を考える。③, ④を用いて $\{s_n\}$ の公比 r と初項 x を求めると、 $r=\myBox{コ}$, $x=\myBox{サシ}$ である。
$\{s_n\}$ を用いて、数列 $\{t_n\}$ を\[ t_n=s_n\log_{\mybox{コ}} s_n \quad (n=1,2,3,\cdots) \]と定める。このとき、 $\{t_n\}$ の一般項は $t_n=(n+\myBox{ス})\cdot \mybox{コ}^{n+\myBox{セ}}$ である。 $\{t_n\}$ の初項から第 n 項までの和 $U_n$ は、 $U_n-\mybox{コ}U_n$ を計算することにより\[ U_n=\frac{\myBox{ソ}n+\myBox{タ}}{\myBox{チ}} \cdot \mybox{コ}^{n+\myBox{ツ}} -\frac{\myBox{テト}}{\myBox{ナ}} \]であることがわかる。
考え方
(1)はサービス問題です。(2)は数列を使った計算問題です。一般項で書き直して式変形を繰り返していく問題で、あまり数列の問題っぽさはありません。
(3)は、見た目で戦意を喪失させてきます。 $\log$ が出てきてめんどくさそうですが、きれいな「等比×等差」の式が出てきます。最後はこの和を計算する問題です。計算は面倒ですが、手順はオーソドックスです。見た目ほど怖くはありません。
解答編
問題
以下において考察する数列の項は、すべて実数であるとする。
(1) 等比数列 $\{s_n\}$ の初項が $1$, 公比が $2$ であるとき\[ s_1s_2s_3=\myBox{ア}, s_1+s_2+s_3=\myBox{イ} \]である。
解説
$s_1=1$, $s_2=2$, $s_3=4$ なので
\begin{eqnarray}
s_1s_2s_3 &=& 1\times 2\times 4=8 \\
s_1+s_2+s_3 &=& 1+ 2+ 4=7 \\
\end{eqnarray}となります。
解答
アイ:87
解答編 つづき
問題
(2) $\{s_n\}$ を初項 x, 公比 r の等比数列とする。 a, b を実数(ただし $a\ne 0$ )とし、 $\{s_n\}$ の最初の3項が
\begin{eqnarray} & & s_1s_2s_3 = a^3 \quad \cdots ① \\ & & s_1+s_2+s_3 = b \quad \cdots ② \\ \end{eqnarray}を満たすとする。このとき \begin{eqnarray} xr=\myBox{ウ} \quad \cdots ③ \\ \end{eqnarray}である。
解説
$s_1=x$, $s_2=xr$, $s_3=xr^2$ なので
\begin{eqnarray}
s_1s_2s_3 &=& a^3 \\
x\cdot xr \cdot xr^2 &=& a^3 \\
x^3r^3 &=& a^3 \\
\end{eqnarray}xr は実数なので $xr=a$ となります。
解答
ウ:a
解答編 つづき
問題
さらに、②, ③を用いて r, a, b の満たす関係式を求めると
\begin{eqnarray} \myBox{エ}r^2+(\myBox{オ}-\myBox{カ})r+\myBox{キ}=0 \quad \cdots ④ \\ \end{eqnarray}を得る。
解説
②より\begin{eqnarray} x+xr+xr^2 = b \end{eqnarray}となります。また、③から $\displaystyle x=\frac{a}{r}$ が得られるので、これを上に代入すると \begin{eqnarray} \frac{a}{r}(1+r+r^2) &=& b \\[5pt] a(1+r+r^2) &=& br \\[5pt] ar^2 +(a-b)r +a &=& 0 \\[5pt] \end{eqnarray}が得られます。
解答
エオカキ:aaba
解答編 つづき
問題
④を満たす実数 r が存在するので
\begin{eqnarray} \myBox{ク}a^2+\myBox{ケ}ab-b^2 \leqq 0 \quad \cdots ⑤ \\ \end{eqnarray}である。逆に、 a, b が⑤を満たすとき、③, ④を用いて r, x の値を求めることができる。
解説
先ほど求めた関係式\[ ar^2 +(a-b)r +a = 0 \]が実数解を持つので、判別式が0以上となります。よって
\begin{eqnarray}
(a-b)^2 -4a\cdot a & \geqq & 0 \\
a^2 -2ab +b^2 -4a^2 & \geqq & 0 \\
3a^2 +2ab -b^2 & \leqq & 0 \\
\end{eqnarray}が成り立ちます。
解答
クケ:32
解答編 つづき
問題
(3) $a=64$, $b=336$ のとき、(2)の条件①, ②を満たし、公比が $1$ より大きい等比数列 $\{s_n\}$ を考える。③, ④を用いて $\{s_n\}$ の公比 r と初項 x を求めると、 $r=\myBox{コ}$, $x=\myBox{サシ}$ である。
解説
先ほど求めた条件式\[ 3a^2 +2ab -b^2 \leqq 0 \]を満たすので、 r が存在します。②より
\begin{eqnarray}
64r^2 +(64-336)r +64 &=& 0 \\
64r^2 -272r +64 &=& 0 \\
4r^2 -17r +4 &=& 0 \\
(4r-1)(r-4) &=& 0 \\
\end{eqnarray}から、 $\displaystyle r=4,\frac{1}{4}$ が得られます。今考えるのは公比が $1$ より大きいものなので、 $r=4$ となります。
③より
\begin{eqnarray}
xr &=& a \\
4x &=& 64 \\
x &=& 16
\end{eqnarray}と求められます。
解答
コ:4サシ:16
解答編 つづき
問題
$\{s_n\}$ を用いて、数列 $\{t_n\}$ を\[ t_n=s_n\log_{\mybox{コ}} s_n \quad (n=1,2,3,\cdots) \]と定める。このとき、 $\{t_n\}$ の一般項は $t_n=(n+\myBox{ス})\cdot \mybox{コ}^{n+\myBox{セ}}$ である。
解説
$x=16$, $r=4$ より $s_n=16\cdot 4^{n-1}=4^{n+1}$ となります。よって
\begin{eqnarray}
t_n
&=&
s_n \log_4 s_n \\
&=&
4^{n+1} \log_4 4^{n+1} \\
&=&
(n+1)\cdot 4^{n+1} \\
\end{eqnarray}となります。
解答
スセ:11
解答編 つづき
問題
$\{t_n\}$ の初項から第 n 項までの和 $U_n$ は、 $U_n-\mybox{コ}U_n$ を計算することにより\[ U_n=\frac{\myBox{ソ}n+\myBox{タ}}{\myBox{チ}} \cdot \mybox{コ}^{n+\myBox{ツ}} -\frac{\myBox{テト}}{\myBox{ナ}} \]であることがわかる。
解説
等差×等比の和です。公比をかけてずらして差を求める、というやり方で求めます。
まずは $n\geqq 2$ とします。
\[ U_n = 2\cdot 4^2+3\cdot 4^3+\cdots +(n+1)\cdot 4^{n+1} \]であり、これに公比を掛けた $4U_n$ を計算すると
\[ 4U_n = 2\cdot 4^3+3\cdot 4^4+\cdots +n\cdot 4^{n+1} +(n+1)\cdot 4^{n+2} \]となります。辺々引くと、右辺は次のようになります。 $4^k$ の部分があうように引きます。
\begin{eqnarray}
& &
2\cdot 4^2 +(4^3+4^4+\cdots +4^{n+1}) -(n+1)\cdot 4^{n+2} \\[5pt]
&=&
32 +\frac{4^3(4^{n-1}-1)}{4-1} -(n+1)\cdot 4^{n+2} \\[5pt]
&=&
32 +\frac{4^{n+2}-4^3}{3} -(n+1)\cdot 4^{n+2} \\[5pt]
&=&
32 -\frac{4^3}{3} +\frac{4^{n+2} }{3} -(n+1)\cdot 4^{n+2} \\[5pt]
&=&
\frac{96-64}{3} +4^{n+2}\left\{\frac{1}{3} -(n+1)\right\} \\[5pt]
&=&
\frac{32}{3} +4^{n+2} \cdot \frac{-3n-2}{3} \\[5pt]
\end{eqnarray}また、左辺は $-3U_n$ なので
\begin{eqnarray}
-3U_n &=& \frac{32}{3} +4^{n+2} \cdot \frac{-3n-2}{3} \\[5pt]
U_n &=& -\frac{32}{9} +4^{n+2} \cdot \frac{3n+2}{9} \\[5pt]
&=& \frac{3n+2}{9} \cdot 4^{n+2} -\frac{32}{9} \\[5pt]
\end{eqnarray}と求められます。
$n=1$ とするとこの式の右辺は
\begin{eqnarray}
\frac{3+2}{9} \cdot 4^{1+2} -\frac{32}{9}
&=&
\frac{5 \cdot 64-32}{9} \\[5pt]
&=&
32
\end{eqnarray}となり、 $t_1$ と一致するので、これが求める一般項となります。
解答
ソタチ:329
ツ:2
テトナ:329