センター試験 数学I・数学A 2014年度追試 第1問 [2] 解説
【必答問題】
問題編
問題
$\def\myBox#1{\bbox[3px, border:2px solid]{\ \bf{ #1 }\ } }\def\mybox#1{\bbox[4px, border:1px solid gray]{\ #1\ } }$実数 a, b に関する条件 p, q を次のように定める。
\begin{eqnarray} p &:& |a+b| = |a|+b \\ q &:& ab^2\geqq 0 \end{eqnarray}(1) 次の 0 ~ 4 のうち、 q の否定 $\bar{q}$ と同値である条件は $\myBox{サ}$ である。
$\mybox{サ}$ に当てはまるものを、次の 0 ~ 4 のうちから一つ選べ。0: $a\lt 0$
1: $a\lt 0$ かつ $b\lt 0$
2: $a\lt 0$ または $b\lt 0$
3: $a\lt 0$ かつ $b\ne 0$
4: $a\lt 0$ または $b\ne 0$(2) 下の $\mybox{シ}$, $\mybox{ス}$, $\mybox{セ}$ に当てはまるものを、次の 0 ~ 4 のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。
0: $\gt$ 1: $\geqq$ 2: $=$ 3: $\leqq$ 4: $\lt$
(i) p を満たす a, b について、 $a+b\geqq 0$ ならば $a\myBox{シ}0$ である。
(ii) p を満たす a, b について、 $a\geqq 0$ ならば $a+b\myBox{ス}0$ である。
(iii) $a+b\lt 0$ を満たす a, b について、 $b\myBox{セ}0$であることと p を満たすことは同値である。(3) p は q であるための $\myBox{ソ}$ 。
$\mybox{ソ}$ に当てはまるものを、次の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。0: 必要十分条件である
1: 十分条件であるが、必要条件ではない
2: 必要条件であるが、十分条件ではない
3: 必要条件でも十分条件でもない
考え方
与えられた条件式が少し考えにくい形をしています。絶対値がある場合は、中身の符号に応じてわけて考えるのが鉄則ですが、この問題では条件が多くなって考えづらくなっています。どれが前提でどれが結論かをきちんと整理して考えないと間違ってしまいます。
(3)は、反例がパッと出てこないかもしれません。(1)(2)でわかったことを利用すれば示せるかもしれませんが、なかなかハードルは高いです。 p が成り立たないようにするには、右辺をマイナスにすればいい、という発想になれば思いつきやすくなります。
【必答問題】
解答編
問題
$\def\myBox#1{\bbox[3px, border:2px solid]{\ \bf{ #1 }\ } }\def\mybox#1{\bbox[4px, border:1px solid gray]{\ #1\ } }$実数 a, b に関する条件 p, q を次のように定める。
\begin{eqnarray} p &:& |a+b| = |a|+b \\ q &:& ab^2\geqq 0 \end{eqnarray}(1) 次の 0 ~ 4 のうち、 q の否定 $\bar{q}$ と同値である条件は $\myBox{サ}$ である。
$\mybox{サ}$ に当てはまるものを、次の 0 ~ 4 のうちから一つ選べ。0: $a\lt 0$
1: $a\lt 0$ かつ $b\lt 0$
2: $a\lt 0$ または $b\lt 0$
3: $a\lt 0$ かつ $b\ne 0$
4: $a\lt 0$ または $b\ne 0$
解説
q の否定とは、 $ab^2\lt 0$ ということです。よって、これが成り立つことと「a と $b^2$ が異符号である」が成り立つことは同値です。この条件をさらに詳しく見ていきます。
$b^2$ は $b\ne 0$ のときは、正です。よって、このとき、 $\bar{q}$ が成り立つことは、 $a\lt 0$ が成り立つことと同値です。
$b=0$ のときは、 $ab^2=0$ なので、 $\bar{q}$ が成り立つことはありません。
よって、「 $b\ne 0$ かつ $a\lt 0$ 」が $\bar{q}$ と同値であることがわかります。
解答
サ:3
解答編 つづき
問題
(2) 下の $\mybox{シ}$, $\mybox{ス}$, $\mybox{セ}$ に当てはまるものを、次の 0 ~ 4 のうちから一つずつ選べ。ただし、同じものを繰り返し選んでもよい。
0: $\gt$ 1: $\geqq$ 2: $=$ 3: $\leqq$ 4: $\lt$
(i) p を満たす a, b について、 $a+b\geqq 0$ ならば $a\myBox{シ}0$ である。
(ii) p を満たす a, b について、 $a\geqq 0$ ならば $a+b\myBox{ス}0$ である。
(iii) $a+b\lt 0$ を満たす a, b について、 $b\myBox{セ}0$であることと p を満たすことは同値である。
解説
(i)を考えます。 p を満たし、 $a+b\geqq 0$ も満たすとすると、 p の左辺は\[ |a+b|=a+b \]となります。これが右辺の $|a|+b$ と一致することから\[ |a|=a \]であることがわかります。これが成り立つのは、 $a\geqq 0$ のときなので、シには、1が入ります。
(ii)を考えます。 p を満たし、 $a\geqq 0$ も満たすとすると、 p の右辺は\[ |a|+b=a+b \]となります。これが左辺の $|a+b|$ と一致することから\[ |a+b|=a+b \]であることがわかります。これが成り立つのは、 $a+b\geqq 0$ のときなので、スには、1が入ります。
(iii)を考えます。 $a+b\lt 0$ を満たすとき、 p の左辺は\[ |a+b|=-a-b \]となります。よって、 p は次のように変形できます。
\begin{eqnarray}
-a-b &=& |a|+b \\
-2b &=& |a|+a \\
\end{eqnarray}この左辺の絶対値が外れるときで場合分けをします。 $a\geqq 0$ のときは、 $a=-b$ となりますが、このときはそもそもの前提 $a+b\lt 0$ を満たしません。そのため、 $a\geqq 0$ となることはありません。よって、 $a\lt 0$ となることがわかります。このとき、上の式の右辺は $0$ になるので $b=0$ となることがわかります。
このことから、 $a+b\lt 0$ を満たすとき、 p が成り立ては $b=0$ となることがわかります。また、逆に、 $b=0$ とすると、 p が成り立つことはすぐにわかります。よって、セには、2が入ることがわかります。
解答
シスセ:112
解答編 つづき
問題
(3) p は q であるための $\myBox{ソ}$ 。
$\mybox{ソ}$ に当てはまるものを、次の 0 ~ 3 のうちから一つ選べ。0: 必要十分条件である
1: 十分条件であるが、必要条件ではない
2: 必要条件であるが、十分条件ではない
3: 必要条件でも十分条件でもない
解説
p が成り立つときに q が成り立つか、そしてこの逆が成り立つかを見ていきます。
p が成り立つとして、 $a+b$ の値に応じて場合分けをします。 $a+b\geqq 0$ とすると、(2)の(i)より、 $a\geqq 0$ なので、 $ab^2\geqq 0$ が成り立つことがわかります。また、 $a+b\lt 0$ とすると、(2)の(iii)より、 $b=0$ なので、 $ab^2\geqq 0$ が成り立つことがわかります。以上から、 p が成り立つときに q が成り立つことがわかります。
次に、 q が成り立つときに p が成り立つかどうかを考えます。(1)の解答「 $a\lt 0$ かつ $b\ne 0$ 」の否定を考えると「 $a\geqq 0$ または $b=0$ 」となります。これは q と同値なので、これをもとに考えます。
$b=0$ なら p は成り立ちます。一方、 $a\geqq 0$ が成り立つときを考えてみると、 p は\[ |a+b|=a+b \]となりますが、これは $a+b\geqq 0$ のときしか成り立ちません。今考えている条件からは、これが常に成り立つわけではありません。実際、 $a=1$, $b=-2$ などとしてみると、 q は成り立ちますが、 p は成り立たないことがわかります。
以上から、 $p\implies q$ は成り立ちますが、逆は成り立たないことがわかります。よって、 p は q であるための十分条件であることがわかります。
解答
ソ:1