【基本】高次方程式と重解

ここでは、重解を持つような高次方程式について見ていきます。また、代数学の基本定理の紹介もします。

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因数定理を使った高次方程式の解き方の復習

【基本】高次方程式の解き方で見た内容と重なりますが、次の例題を解いてみましょう。

例題
次の方程式を解きなさい。\[ x^4 +x^3 -3x^2 -5x -2 = 0 \]

因数定理を用いて、因数分解をしていきます。 $x=\pm1,\pm2$ を順番に代入して、左辺が $0$ になる場合を調べていきましょう。

$x=1$ のときはダメですが、 $x=-1$ のときは左辺が $0$ になります。このことから、左辺を $x+1$ で割って
\begin{eqnarray}
x^4 +x^3 -3x^2 -5x -2 &=& 0 \\[5pt] (x+1)(x^3-3x-2) &=& 0 \\[5pt] \end{eqnarray}と変形できることがわかります。

2つ目のカッコ内も因数分解します。 $x=1$ はダメだとわかっているので試す必要はありませんが、 $x=-1$ はもう一度試す必要があります。実際に試してみると、2つ目のカッコ内も $0$ になります。つまり、2つ目のカッコ内も、 $x+1$ で割り切れることがわかるため、
\begin{eqnarray}
(x+1)(x^3-3x-2) &=& 0 \\[5pt] (x+1)(x+1)(x^2-x-2) &=& 0 \\[5pt] \end{eqnarray}と変形できます。さらに3つ目のカッコ内は因数分解することができて、
\begin{eqnarray}
(x+1)(x+1)(x+1)(x-2) &=& 0 \\[5pt] (x+1)^3 (x-2) &=& 0 \\[5pt] \end{eqnarray}となることがわかります。このことから、この方程式の解は\[ x=-1,2 \]となることがわかります。

重解

上の例題では\[ x^4 +x^3 -3x^2 -5x -2 = 0 \]という方程式を\[ (x+1)^3 (x-2) = 0 \]と変形することができました。このように、因数分解したときに $(x+1)^3$ のようになるとき、 $x=-1$ を重解(じゅうかい、multiple root)といいます。また、2乗になる場合は2重解、3重になる場合は3重解といいます。もう少し厳密に書くと、次のようになります。

重解
n 次式 $f(x)$ が、\[ f(x) = (x-\alpha)^k g(x) \]と変形できるとする。ここで、 $g(x)$ は $(n-k)$ 次式で $g(\alpha)\ne0$ であり、 k は2以上の自然数とする。
このとき、 $x=\alpha$ は、方程式 $f(x)=0$ の重解という。 k 重解ともいう。

二次方程式の場合も、 $(x-1)^2=0$ というように変形できる場合に重解と言っていましたが、高次方程式の場合は、3乗や4乗もありえるので、3重解や4重解などと言って区別することがあります。この数字の部分を、重複度(ちょうふくど、multiplicity)と呼びます。

代数学の基本定理

【基本】二次方程式の解と複素数で見たように、二次方程式の場合、判別式が正なら異なる2つの実数解、負なら異なる2つの虚数解を持ち、 $0$ なら重解を持つのでしたね。この重解を重複度を込みで考える、つまり、解がたまたま重なっているだけで同じ解を2つ持っている、と考えると、二次方程式は、「(複素数の世界では)常に2個の解を持つ」ということができます。

これは、他の場合でも成り立ちます。重複度を込みで考えると、三次方程式も解は3個あり、四次方程式も解は4個あります。このことはより一般的な場合でも成り立ち、「代数学の基本定理」という名前で知られています。

代数学の基本定理
複素数を係数に持つ n 次の方程式は、重複を含めて n 個の複素数解を持つ。

実数は複素数に含まれるので、複素数係数は実数係数と置き換えても構いません。いずれにせよ、 n 個の解を持つことは変わりません。

この証明は高校の範囲では難しいためここでは行いませんが、高校の教科書や参考書などでも証明なしで紹介されているはずです。この事実を直接使って解く問題は少ないでしょうが、これが数の範囲を複素数まで広げることのメリットの一つにもなっており、数学の世界で重要な意味を持っている、ということは知っておいた方がいいでしょう。

おわりに

ここでは、高次方程式の重解、そして、代数学の基本定理について見てきました。重解はいろんな場面でよく出てくる用語なので、意味をしっかり押さえておきましょう。