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【基本】因数定理

ここでは、【基本】剰余の定理からすぐにわかる、「因数定理」について見ていきます。

📘 目次

剰余の定理を使った例題

因数定理について見る前に、剰余の定理を使った例題を考えてみましょう。

例題
整式 $P(x)=x^3-2x^2+ax-1$ を $x-1$ で割り切れるとき、 a の値を求めなさい。

【基本】剰余の定理を使えば、整式を一次式で割った余りが簡単に出るんでしたね。 $x-1$ で割ったときの余りは次のように求められます。
\begin{eqnarray} P(1) &=& 1^3-2\cdot 1^2+a-1 \\[5pt] &=& a-2 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。割り切れるときというのは、余りが $0$ ということなので、 $a=2$ だとわかります。割ることなく余りが求められる、というのは強力ですね。

本当に割り切れるのか試しに計算してみると、
\begin{eqnarray} x^3-2x^2+2x-1 &=& (x^2-x+1)(x-1) \end{eqnarray}となるため、 $x-1$ で割り切れることがわかります。

因数定理

上の例題では、「割り切れる」や「余りが $0$ 」について考えましたが、割った後の式は、因数分解をした後の式、と考えることもできます。

つまり、こういうことです。整式 $P(x)$ に対して、 $P(k)=0$ を満たす k があったとします。これは、剰余の定理から「 $P(x)$ を $x-k$ で割った余りが $0$ (=割り切れる)」と見ることもできます。一方で、「 $P(x)$ は $x-k$ を因数に持つ」ということもできます(因数とは、因数分解したときのそれぞれのパーツのことです。参考:【基本】因数分解)。こうして、余りが $0$ の割り算を、因数分解と考えることができるわけです。

また、逆も当然なりたちます。因数分解した式は、割った余りが $0$ であると見ることもできます。

このことを因数定理(factor theorem)と呼びます。

因数定理
整式 $P(x)$ が $x-k$ を因数に持つことと、 $P(k)=0$ が成り立つことは同値である。

これは、高次の整式を因数分解をしたいときに役立ちます。例えば\[ 2x^3-7x^2+9 \]という式があったとしましょう。これをいきなり因数分解するのは難しいですが、 $x=-1$ を代入すると $0$ になることがわかります(この $-1$ は試行錯誤してみつけます)。これが分かれば、 $x+1$ を因数に持つことがわかるので、これを使って変形すると
\begin{eqnarray} & & 2x^3-7x^2+9 \\[5pt] &=& (x+1)(2x^2-9x+9) \\[5pt] &=& (x+1)(2x-3)(x-3) \\[5pt] \end{eqnarray}となります。ちなみに、元の式に $x=3$ や $x=\dfrac{3}{2}$ を代入しても、 $0$ になることがわかります。

因数を見つけるには、試行錯誤するしかありません。ただ、因数分解できる場合は、「定数部分の約数 ÷ 一番次数の高い係数の約数」であることが多いです。上の例であれば、 $9$ の約数を $2$ の約数で割ったものが候補です。プラスマイナスもあるので候補は多いですが、まずは簡単な数から試していくといいでしょう。

おわりに

ここでは、因数定理を見ました。余りが $0$ になる条件から、因数分解できる条件につなげていくことで、高次の整式が因数分解できることもあります。対象の式が扱いやすくなるので、よく覚えておきましょう。

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