【標準】平均値から和を求める
平均値は、「数値の和を数値の個数で割ったもの」です。実際の試験では、定義に沿って平均値を求めることもありますが、逆に平均値から和を出すこともあります。ここでは、そういった問題を見ていきます。
平均値から和を出す
例えば、 $x_1,x_2,\cdots,x_n$ という n 個の数値の平均値は $\bar{x}$ は次のようになります。\[ \bar{x}=\frac{x_1+x_2+\cdots+x_n}{n} \]平均値は、 $\bar{x}$ というように頭にバーをつけて表すことがあります。
この式の両辺に n をかけると、次の式が得られます。\[ x_1+x_2+\cdots+x_n = n\bar{x} \]とても基本的な変形ですが、よく使います。
例題1
5科目の平均点というのは、「5科目の合計点÷5」で求められます。これが85点以上になるためには、合計点は\[ 85\times 5=425 \]点以上でないといけません。
国語以外の点数を求めたいのですが、「4科目の平均点が82点」ということしかわかりません。これでは各科目の点数はわかりませんが、合計点はわかります。今の場合、合計点さえわかればいいのでこれで問題ありませんね。4科目の合計点は\[ 82\times4=328 \]となります。
以上から、328点に国語の点数を足して425点以上にしないといけない、ということがわかるので、\[ 425-328=97 \]点以上でないといけない、ということがわかります。
このような解き方でも構いませんが、合計を出さずに求めることもできます。4科目の平均点が82点で5科目の平均点を85点以上にしようとしてるんでしたね。「4科目が目標点に平均的に3点以上足らない」ことから、国語でこの不足分をカバーするしかありません。
国語は目標の平均点85点に加え、4科目で足りなかった4×3点をカバーして\[ 85+4\times3=97 \]点以上とらないといけません。このように求めることもできます。
例題2
$\displaystyle \frac{168.3+157.1}{2}$ とやってしまう人がいますが、これは正しくありません。極端な例を考えれば、おかしいことに気づきます。
例えば、クラスに180cmの男子が1人と160cmの女子が9人いたとしましょう。男子・女子の平均身長は、180cmと160cmですが、この状況で全体の平均を170cmという人はいないでしょう。10cm高い人が1人と10cm低い人が9人いることになるので、バランスがとれるはずがありません。
男子と女子の平均身長から全体の平均身長を出すような、「部分の平均から全体の平均を出す」場合は、平均ではなく和に戻してから考えるようにしましょう。
平均を求める式から考えて、男子の身長の和は\[ 168.3\times19=3197.7 \]であり、女子の身長の和は\[ 157.1\times16=2513.6 \]となります。クラス全体の平均身長は、クラス全員の身長の和を人数で割ったものなので\[ \frac{3197.7+2513.6}{19+16}=163.18 \]となります。よって、平均身長は、163.18cmと求められます。
おわりに
ここでは、平均値から和を出す方法や、それを使った問題を考えてみました。「平均値×個数=和」という関係式はよく使うので覚えておきましょう。