【標準】放物線の平行移動(頂点に着目)
【標準】二次関数y=ax^2+bx+cのグラフ(具体例)や【標準】二次関数y=ax^2+bx+cのグラフの頂点で、二次関数のグラフのかき方、特に頂点の座標の求め方を見てきました。ここでは、このことを踏まえて、平行移動した放物線の方程式を求めたり、2つの放物線を重ねるにはどう平行移動すればいいか、という問題を考えていきます。
平行移動後の放物線の方程式
次の例題を考えてみます。
放物線を平行移動したとき、移動前と後とで「どの点とどの点が対応しているか」を見るのは難しいです。しかし、1点だけわかりやすい点があるんですね。それが頂点です。頂点は、谷の底か山の頂上なので、平行移動してもどのように移動したかがわかります。なので、頂点に着目してみましょう。
二次関数のグラフをかくときに、頂点の座標の求め方はすでに学びました(参考:二次関数y=ax^2+bx+cのグラフの頂点)。さらに、平行移動後の頂点の座標がわかれば、その放物線の方程式もわかります(参考:二次関数y=a(x-p)^2+qのグラフ)。
平行移動しても $x^2$ の係数は変わらないので、頂点がどう移動するかがわかれば解くことができます。
放物線を平行移動する場合は、頂点の座標に着目すればOKです。
- 移動前の頂点を求める
- 移動後の頂点を求める
- 移動後の放物線の方程式を求める
というステップです。
どう平行移動すればいいか
続いて、次の問題を考えてみましょう。
頂点は頂点に移動するので、これも、頂点がどう移動するかだけを考えればいいんですね。
\begin{eqnarray} y &=& -x^2+6x+2 \\ &=& -(x^2-6x)+2 \\ &=& -(x^2-6x+9-9)+2 \\ &=& -(x-3)^2+9+2 \\ &=& -(x-3)^2+11 \\ \end{eqnarray}なので、 $(3,11)$ となる。
放物線 $y=-x^2-2x-4$ の頂点は
\begin{eqnarray} y &=& -x^2-2x-4 \\ &=& -(x^2+2x)-4 \\ &=& -(x^2+2x+1-1)-4 \\ &=& -(x+1)^2+1-4 \\ &=& -(x+1)^2-3 \\ \end{eqnarray}なので、 $(-1,-3)$ となる。
この2つの点が重なるように移動すればいいので、「x 軸方向に $-4$ 、y 軸方向に $-14$ だけ平行移動」すればよい。
(終)
なお、グラフは次のようになります。
ちなみに、 $y=ax^2+bx+c$ は $y=a(x-p)^2+q$ の形に変形できるので、このグラフは $y=ax^2$ のグラフを平行移動したものだ、ということがわかります。つまり、2つの放物線の方程式があって、その $x^2$ の係数が等しければ、片方の放物線を平行移動して、もう片方と重ねることができる、ということです。
おわりに
ここでは、平行移動後の放物線の方程式を求めたり、どう平行移動すれば2つの放物線がかさなるか、という問題を見てきました。放物線の中で一番特徴的な点、「頂点」に着目すればいいんでしたね。
平行移動後の放物線の方程式は、別の方法でも求めることができるのですが、それは【標準】放物線の平行移動(変数の置き換え)で取り上げることにします。