【標準】n乗の展開と二項定理
ここでは、二項定理を用いて、 n 乗を展開したときの係数を求める問題を見ていきます。
二項定理の復習
【基本】n乗の展開と二項定理で見たように、二項定理とは $(x+y)^n$ を展開したときの係数に関する定理です。
$(x+y)^n$ を展開すると、 $x^k y^{n-k}$ の項が出てきて、その係数は ${}_n \mathrm{ C }_k$ になる、という内容です。 n 個のカッコから、 k 個の x と $n-k$ 個の y を選ぶ組合せ、と考えています。
具体的な式で書くと、次のようになります。
\begin{eqnarray}
& &
(x+y)^n \\[5pt]
&=&
{}_n \mathrm{ C }_n x^n
+{}_n \mathrm{ C }_{n-1} x^{n-1} y
+{}_n \mathrm{ C }_{n-2} x^{n-2} y^2
+\cdots \\[5pt]
& & \cdots
+{}_n \mathrm{ C }_{k} x^k y^{n-k}
+\cdots
+{}_n \mathrm{ C }_1 x y^{n-1}
+{}_n \mathrm{ C }_0 y^n
\end{eqnarray}
例えば、5乗の場合を考えると
\begin{eqnarray}
& &
(x+2)^5 \\[5pt]
&=&
{}_5 \mathrm{ C }_5 x^5
+{}_5 \mathrm{ C }_4 x^4 \cdot 2^1
+{}_5 \mathrm{ C }_3 x^3 \cdot 2^2
\\
& &
+{}_5 \mathrm{ C }_2 x^2 \cdot 2^3
+{}_5 \mathrm{ C }_1 x^1 \cdot 2^4
+{}_5 \mathrm{ C }_0 \cdot 2^5
\\[5pt]
&=&
x^5
+10 x^4
+40 x^3
+80 x^2
+80 x
+32
\end{eqnarray}と計算できます。
例題
二項定理を使って、次のような問題を考えてみましょう。
(2) $(2a-3)^6$ を展開したとき、 $a^3$ の係数を答えなさい。
(3) $\left( x+\dfrac{1}{x} \right)^6$ を展開したとき、 $x^2$ の係数を答えなさい。
二項定理を知らない状態であれば展開するしかありませんが、二項定理があれば展開しなくても係数を求めることができます。
(1)は、7つのカッコから x を4つ選ぶと考えて、\[ {}_7 \mathrm{ C }_3 = \dfrac{7\cdot 6\cdot 5\cdot 4}{4\cdot 3\cdot 2\cdot 1}=35 \]が係数である、と分かります。
(2)は、二項定理の使い方に注意しましょう。 $(x+y)^6$ を展開したときの $x^3y^3$ の係数が ${}_6 \mathrm{ C }_3$ となります。この式で $x=2a$, $y=-3$ とすると、 $x^3y^3$ に対応する部分は
\begin{eqnarray}
& &
{}_6 \mathrm{ C }_3 \cdot (2a)^3 \cdot (-3)^3 \\
&=&
20 \cdot 8a^3 \cdot (-27) \\
&=&
-4320 a^3 \\
\end{eqnarray}となります。よって、係数は $-4320$ となります。
(3)は、 x をいくつ選べばいいのかを考えましょう。展開すると x と $\dfrac{1}{x}$ が合わせて6つでてくるので、 $x^k \cdot \dfrac{1}{x^{6-k} }$ が $x^2$ になる場合を考えます。すると、 $k=4$ であることがわかります。つまり、 x を4個、 $\dfrac{1}{x}$ を2個選べばいいということですね。
このことから、 $x^2$ の係数は ${}_6 \mathrm{ C }_4=15$ であることがわかります。
おわりに
ここでは、二項定理を用いて、n 乗を展開したときの係数を求める問題を見ました。展開したときにその項を作るためには、複数のカッコからどのように文字を選べばいいか、を考えながら係数を求めましょう。