【標準】数学的帰納法と漸化式

ここでは、漸化式から一般項を求めるときに、一般項を推測してから数学的帰納法を使う方法を見ていきます。

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一般項を推測する問題

例題
数列 $\{a_n\}$ は、 $a_1=2$ であり、すべての自然数 n に対して\[ a_{n+1}=2-\frac{1}{a_n} \]を満たしているとする。

(1) $a_2,a_3,a_4$ を求めなさい。
(2) (1)から $\{a_n\}$ の一般項を推測し、数学的帰納法を用いてその推測が正しいことを示しなさい。

漸化式から一般項を求める問題は、【基本】漸化式などで、いろいろ見てきました。どれも、特性方程式を使ったりして、漸化式をうまく変形していきましたね。

ただ、いつもうまく式変形できるとは限りません。たまに、式変形はできないけれど、数列の一部分から一般項を推測できる場合があります。この問題はそういう問題です。

まず、(1)で言われているとおり、第4項までを求めてみましょう。
\begin{eqnarray}
a_2 &=& 2-\frac{1}{2} =\frac{3}{2} \\[5pt] a_3 &=& 2-\frac{2}{3} =\frac{4}{3} \\[5pt] a_4 &=& 2-\frac{3}{4} =\frac{5}{4} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。分母も分子も1ずつ増えていますね。そう考えると、初項も $a_1=\dfrac{2}{1}$ と考えられます。これらから、\[ a_n=\dfrac{n+1}{n} \]となるのではないか、と推測できますね。しかし、あくまでも推測であって、これが答えかどうかはわかりません。

この推測があっていることを言うためには、証明が必要です。つまり、「 $a_n=\dfrac{n+1}{n}$ になること」を示さないといけないわけですね。

漸化式が分かっているので、これを用いて数学的帰納法を使って示してみましょう。

(i) $n=1$ のとき
このとき、 $\dfrac{1+1}{1}=2$ なので、「 $a_n=\dfrac{n+1}{n}$ 」が成り立ちます。

(ii) $n=k$ のとき $a_k=\dfrac{k+1}{k}$ とします。このときに $a_{k+1}=\dfrac{k+2}{k+1}$ となることが示せればいいんですね。

漸化式があれば、 $a_k$ の仮定を使って $a_{k+1}$ のことを示すのは簡単ですね。代入して変形していけばいいです。
\begin{eqnarray}
a_{k+1}
&=&
2-\frac{1}{a_k} \\[5pt] &=&
2-\frac{k}{k+1} \\[5pt] &=&
\frac{k+2}{k+1} \\[5pt] \end{eqnarray}となります。1つ目の等号は漸化式から、2つ目の等号は数学的帰納法の仮定から成り立つものです。この式から、 $a_{k+1}=\dfrac{k+2}{k+1}$ となることが示せました。

(i)(ii)より、数学的帰納法から、一般項が $a_n=\dfrac{n+1}{n}$ となることが示せました。

このように、漸化式を使って数列の一部を求め、それから数列の一般項を推測し、その推測した内容を数学的帰納法で示すことで、一般項を求める、という方法があります。特性方程式などを使わずに漸化式から一般項を求めることができるので、この方法は最後の手段として使う場合があります。ただ、いつも推測できるわけではないので、万能ツールではありませんが。

直接求める方法

先ほどの問題で、直接、一般項を求めることもできます。

まず、漸化式を次のように変形します。\[ a_{n+1}-1=1-\frac{1}{a_n} \]この逆数を取れば\[ \frac{1}{a_{n+1}-1}=\frac{a_n}{a_n-1}=1+\frac{1}{a_n-1} \]となります。この式をよく見ると、数列 $\left\{\dfrac{1}{a_n-1}\right\}$ は公差が $1$ の等差数列であることがわかります。 $a_1=2$ だから、この数列の初項は $1$ なので\[ \dfrac{1}{a_n-1}=n \]です。これを変形して\[ a_n=\dfrac{n+1}{n} \]が得られます。

この変形が思いつければいいですが、普通は推測して解くことになるでしょう。推測して解く問題の多くは、「推測して解きなさい」となっています。もしなっていなくて、今まで見たパターンの漸化式でもない場合は、いくつか項を計算してみて、推測できるかどうかを確かめてみましょう。推測できる場合は、上のように数学的帰納法で示しましょう。推測できない場合は、計算間違いをしていないか注意したうえで、漸化式をうまく変形できないか考えるしかないでしょう。

おわりに

ここでは、漸化式から一般項を求めるときに、一般項を推測して数学的帰納法を使ってその推測が正しいことを示す問題を見ました。一般項を求める最後の手段として使われることがあるので、覚えておきましょう。