【標準】一次不等式と整数
ここでは、一次不等式と整数や自然数が絡んだ問題を見ていきます。
例題1
(2) 次の不等式を満たす最大の整数 $x$ を答えなさい。\[ \frac{x-2}{2}-\frac{5x+1}{3} \gt 8 \]
まずは不等式を解いて、その次に、条件を満たす整数を考えます。
(1)の不等式を解くと、次のようになります。
\begin{eqnarray}
\frac{x}{3}-2+x & \geqq & 4 \\[5pt]
x+3(-2+x) & \geqq & 3\cdot 4 \\[5pt]
x-6+3x & \geqq & 12 \\[5pt]
4x & \geqq & 18 \\[5pt]
x & \geqq & \frac{9}{2} \\[5pt]
\end{eqnarray}$\dfrac{9}{2}$ とは、 $4.5$ のことなので、この値以上で最小の整数は $5$ です。なので、 $x=5$ が答えです。
(2)も、まずは不等式を解きます。
\begin{eqnarray}
\frac{x-2}{2}-\frac{5x+1}{3} & \gt & 8 \\[5pt]
3(x-2)-2(5x+1) & \gt & 6\cdot 8 \\[5pt]
3x-6-10x-2 & \gt & 48 \\[5pt]
-7x & \gt & 56 \\[5pt]
x & \lt & -8 \\[5pt]
\end{eqnarray}$-8$ より小さい数の中で一番大きい整数は、 $-9$ です。なので、 $x=-9$ が答えです。 $-8$ は範囲に入っていないので、これは答えではない点に注意しましょう。
例題2
次は、不等式を満たす整数や自然数の個数を答える問題です。
(2) 次の不等式を満たす自然数 $x$ の個数を答えなさい。\[ 2x+1 > \sqrt{5}x -3 \]
これらも、基本的にはまず不等式を解いてから考えます。
(1)は連立一次不等式です(参考:【標準】連立一次不等式 )。左側の不等式を解くと
\begin{eqnarray}
x-4 & \lt & 3x+2 \\[5pt]
-2x & \lt & 6 \\[5pt]
x & \gt & -3 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。右側を解くと $x\leqq 2$ が得られるので、合わせると\[ -3 \lt x \leqq 2 \]となります。これを満たす整数は、 $-2$ から $2$ までの5つとなります。よって、答えは $5$ 個となります。
(2)の不等式は次のように解きます。
\begin{eqnarray}
2x+1 & \gt & \sqrt{5}x-3 \\[5pt]
(2-\sqrt{5}) x & \gt & -3-1 \\[5pt]
x & \lt & -\frac{4}{2-\sqrt{5}} \\[5pt]
\end{eqnarray}2行目から3行目の変形では、 $2-\sqrt{5}$ で両辺を割っています。$2-\sqrt{5}$ は $0$ より小さいので、割ったときに不等号の向きが変わる点に注意しましょう。
さて、これを満たす自然数ですが、最後の式の右辺がどのような値なのかわからないと答えられないですね。そこで、次のように有理化をしましょう。
\begin{eqnarray}
& &
-\frac{4}{2-\sqrt{5}} \\[5pt]
&=&
-\frac{4(2+\sqrt{5})}{(2-\sqrt{5})(2+\sqrt{5})} \\[5pt]
&=&
-\frac{8+4\sqrt{5}}{-1} \\[5pt]
&=&
8+4\sqrt{5} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。 $4\sqrt{5}$ は $\sqrt{80}$ なので、 $8\lt 4\sqrt{5} \lt 9$ だとわかります。このことから、\[ x \lt -\frac{4}{2-\sqrt{5}} = 8+4\sqrt{5} \]を満たす自然数 $x$ は、 $1$ から $16$ までの $16$ 個だとわかります。
おわりに
ここでは、一次不等式と整数が絡んだ問題、自然数と絡んだ問題を見てきました。
応用問題でも、「利益を〇円以上にするには、商品を何個売らないといけないか?」というように、不等式と自然数が自然と絡んでくることがあります。
まずは不等式を解いてから、条件を満たすものを考えるようにしましょう。