【標準】n乗同士の差
ここでは、 n 乗同士の差の因数分解について見ていきます。また、n 乗の余りについても見ていきます。
n乗引くn乗
$(x+y)^2$ や $(x+y)^3$ を一般化した $(x+y)^n$ では、二項定理が出てきましたね(参考:【標準】n乗の展開と二項定理)。ただ、展開や因数分解の公式の中には、「2乗引く2乗」や「3乗引く3乗」の形をしたものもありました。
念のために書くと、2乗引く2乗は
\begin{eqnarray}
x^2-y^2 = (x-y)(x+y)
\end{eqnarray}であり、
\begin{eqnarray}
x^3-y^3 = (x-y)(x^2+xy+y^2)
\end{eqnarray}でしたね。
ここで、最後の式の右辺を展開して、【基本】n乗の展開とパスカルの三角形でやったように、同類項を縦に並べてみます。
\begin{eqnarray}
& x^3 & +x^2y & +xy^2 & \\
& & -x^2y & -xy^2 & -y^3\\
\end{eqnarray}真ん中の部分がきれいに消えます。これにより、 $x^3-y^3$ だけが残るんですね。
同じように、真ん中がきれいに消えることを見越して\[ (x-y)(x^3+x^2y+xy^2+y^3) \]を考えると、「4乗引く4乗」を作ることもできます。実際、計算してみると次のようになります。
\begin{eqnarray}
& x^4 & +x^3y & +x^2y^2 & +xy^3 & \\
& & -x^3y & -x^2y^2 & -xy^3 & -y^4\\
\end{eqnarray}やはり、真ん中の部分がきれいに消えますね。
一般的に、「n 乗引く n 乗」の因数分解については、次の式が成り立ちます。
右辺を展開すると、真ん中の部分がすべて消えて、 $x^n -y^n$ だけが残ることがわかります。
n乗の余り
ここで、 n 乗の余りについて、ある性質が成り立つことを見ておきましょう。
2つの整数 a, b を、ある自然数 p で割ったときの余りが等しいとしましょう。言い換えれば、 $a-b$ が p の倍数である、ということです。
このとき、「n 乗引く n 乗」の因数分解を使えば
\begin{eqnarray}
& &
a^n-b^n
&=&
(a-b)(a^{n-1} +a^{n-2}b +\cdots +ab^{n-2}+b^{n-1})
\end{eqnarray}となります。ここで、1つ目のカッコの中は p の倍数であり、2つ目のカッコの中は整数です。よって、 $a^n-b^n$ も p の倍数であることがわかります。
これは、次のようにまとめることができます。
このとき、 $a^n$ と $b^n$ を p で割ったときの余りは等しくなる。
なお、この結果は、整数問題を解くときに使われることがあります。
おわりに
ここでは、 n 乗引く n 乗の因数分解を見ました。また、余りが等しければ、 n 乗の余りも等しくなる、ということも見ました。整数問題で使われることもあるので、覚えておきましょう。