【標準】放物線と2接線の間の面積と積分
ここでは、放物線と2つの接線で囲まれた部分の面積を、積分を使って求める方法を見ていきます。
放物線と2接線の間の面積
まずは、グラフをかくことから考えましょう。
そのために、最初に、接線の方程式を求めておきます(参考:【基本】微分と接線の方程式)。 $y=x^2$ を微分すると $y'=2x$ となるので、点 $(1,1)$ における接線の方程式は
\begin{eqnarray}
y-1 &=& 2(x-1) \\[5pt]
y &=& 2x-1 \\[5pt]
\end{eqnarray}となり、点 $(-2,4)$ における接線の方程式は、
\begin{eqnarray}
y-4 &=& -4(x+2) \\[5pt]
y &=& -4x-4 \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。グラフをかくと、次のようになります。
色のついた部分の面積を求めればいいですね。【標準】2曲線間の面積と積分で見たように、上から下を引いて積分すればいいのですが、少し問題があります。上にあるグラフは、 $y=x^2$ のグラフだとわかりますが、下にあるグラフは x の値によって変わります。
こういう場合は、状況が変わるところで分けて考えてみましょう。
上のように、左の青い部分と右の赤い部分に分けてみます。そうすると、左側では $(-2,4)$ における接線が下にきて、右側では $(1,1)$ における接線が下にきます。そのため、どのように積分すればいいのかがわかりますね。この境目がどこなのかは、2つの接線の交点を求めればわかります。接線の交点の x 座標は
\begin{eqnarray}
2x-1 &=& -4x-4 \\[5pt]
6x &=& -3 \\[5pt]
x &=& -\frac{1}{2} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。なので、 $x=-\dfrac{1}{2}$ で分ければいいということがわかります。
以上から、左側の面積は
\begin{eqnarray}
& &
\int_{-2}^{-\frac{1}{2} } \{ x^2-(-4x-4) \} dx \\[5pt]
&=&
\int_{-2}^{-\frac{1}{2} } (x^2+4x+4) dx \\[5pt]
&=&
\left[ \frac{1}{3}x^3+2x^2+4x \right]_{-2}^{-\frac{1}{2} } \\[5pt]
&=&
\left( \frac{1}{3}\cdot \frac{-1}{8}+2\cdot\frac{1}{4}+4\cdot \frac{-1}{2} \right) \\[5pt]
& &
-\left\{ \frac{1}{3}\cdot(-8)+2\cdot 4+4\cdot(-2) \right\} \\[5pt]
&=&
\left( -\frac{1}{24}+\frac{1}{2}-2 \right) -\left( -\frac{8}{3}+8-8 \right) \\[5pt]
&=&
-\frac{1}{24}+\frac{1}{2}-2+\frac{8}{3} \\[5pt]
&=&
\frac{-1+12-48+64}{24} \\[5pt]
&=&
\frac{27}{24} \\[5pt]
&=&
\frac{9}{8} \\[5pt]
\end{eqnarray}となり、右側の面積は
\begin{eqnarray}
& &
\int_{-\frac{1}{2} }^1 \{ x^2-(2x-1) \} dx \\[5pt]
&=&
\int_{-\frac{1}{2} }^1 (x^2-2x+1) dx \\[5pt]
&=&
\left[ \frac{1}{3}x^3-x^2+x \right]_{-\frac{1}{2} }^1 \\[5pt]
&=&
\left( \frac{1}{3}-1+1 \right) \\[5pt]
& &
-\left( \frac{1}{3}\cdot \frac{-1}{8}-\frac{1}{4}-\frac{1}{2} \right) \\[5pt]
&=&
\frac{1}{3} -\left( -\frac{1}{24}-\frac{1}{4}-\frac{1}{2} \right) \\[5pt]
&=&
\frac{1}{3} +\frac{1}{24}+\frac{1}{4}+\frac{1}{2} \\[5pt]
&=&
\frac{8+1+6+12}{24} \\[5pt]
&=&
\frac{27}{24} \\[5pt]
&=&
\frac{9}{8} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
以上から、求める面積は\[ \frac{9}{8}+\frac{9}{8}=\frac{9}{4} \]となります。これが答えです。
おわりに
ここでは、放物線と2つの接線で囲まれた部分の面積を求める方法を見ました。ここで重要なことは、面積を求めるために、図形を分解して考える、ということです。一度で面積を求めることができない場合は、分解して求められないか、考えるようにしましょう。