【応用】15度の三角比
ここでは、 $\sin 15^{\circ}$ などを求めます。直接求めることはできませんが、特殊な図をかくと求めることができるようになります。また、ついでに $\sin 75^{\circ}$ も求めることができます。三角比の範囲では、これらの値を覚えておく必要はありませんが、「今の時点でこういう値も求められる」ということで紹介します。
なお、計算の途中で、【基本】二重根号の外し方の内容を使います。
15度の三角比
下の図について考えてみましょう。
直角三角形 $\mathrm{ ABC }$ で、 $\angle \mathrm{ A } = 15^{\circ}$ です。そして、線分 $\mathrm{ AB }$ 上に、 $\angle \mathrm{ BCD } = 60^{\circ}$ となるように、点 D をとります。また、 $\mathrm{ BC }=1$ とします。
こうすると、 $\angle \mathrm{ ACB }=75^{\circ}$ なので、 $\angle \mathrm{ ACD }=15^{\circ}$ となります。つまり、 $\mathrm{ AD }=\mathrm{ CD }$ となることがわかります。
以上のことから、 $\mathrm{ BD }=\sqrt{3}$, $\mathrm{ CD }=\mathrm{ AD }=2$ となります。
$\mathrm{ AC }^2$ は、三平方の定理から次のように計算できます。
\begin{eqnarray}
\mathrm{ AC }^2
&=&
\mathrm{ AB }^2 + \mathrm{ BC }^2 \\
&=&
(\sqrt{3}+2)^2 + 1^2 \\
&=&
3+4\sqrt{3}+4 + 1 \\
&=&
8+2\sqrt{12} \\
\end{eqnarray}ここで、【基本】二重根号の外し方で見た通り、「足して8、かけて12」となる数字を見つけます。6と2ですね。よって、\[ \mathrm{ AC }=\sqrt{6}+\sqrt{2} \]となります。
この図から、15度の三角比が求められます。
\begin{eqnarray}
\sin 15^{\circ}
&=&
\frac{1}{\sqrt{6}+\sqrt{2} } \\[5pt]
&=&
\frac{\sqrt{6}-\sqrt{2} }{(\sqrt{6}+\sqrt{2})(\sqrt{6}-\sqrt{2})} \\[5pt]
&=&
\frac{\sqrt{6}-\sqrt{2} }{4}
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}
\cos 15^{\circ}
&=&
\frac{2+\sqrt{3} }{\sqrt{6}+\sqrt{2} } \\[5pt]
&=&
\frac{(2+\sqrt{3})(\sqrt{6}-\sqrt{2})}{(\sqrt{6}+\sqrt{2})(\sqrt{6}-\sqrt{2})} \\[5pt]
&=&
\frac{2\sqrt{6}-2\sqrt{2}+3\sqrt{2}-\sqrt{6} }{4} \\[5pt]
&=&
\frac{\sqrt{6}+\sqrt{2} }{4}
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}
\tan 15^{\circ}
&=&
\frac{1}{2+\sqrt{3} } \\[5pt]
&=&
\frac{2-\sqrt{3} }{(2+\sqrt{3})(2-\sqrt{3})} \\[5pt]
&=&
2-\sqrt{3}
\end{eqnarray}となります。
75度の三角比
余角の三角比の式から、75度の三角比も次のようにわかります。
\begin{eqnarray}
\sin 75^{\circ}
&=&
\sin (90^{\circ} -15^{\circ}) \\
&=&
\cos 15^{\circ} \\
&=&
\frac{\sqrt{6}+\sqrt{2} }{4}
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}
\cos 75^{\circ}
&=&
\cos (90^{\circ} -15^{\circ}) \\
&=&
\sin 15^{\circ} \\
&=&
\frac{\sqrt{6}-\sqrt{2} }{4}
\end{eqnarray}
\begin{eqnarray}
\tan 75^{\circ}
&=&
\tan (90^{\circ} -15^{\circ}) \\
&=&
\frac{1}{\tan 15^{\circ} } \\
&=&
\frac{1}{2-\sqrt{3} } \\
&=&
\frac{2+\sqrt{3} }{(2-\sqrt{3})(2+\sqrt{3})} \\
&=&
2+\sqrt{3}
\end{eqnarray}
おわりに
ここでは、15度と75度の三角比を見てきました。直接求めることはできませんが、特殊な図で考えると算出することができましたね。なお、将来「加法定理」というのを学びます(参考:【基本】図で理解する正弦・余弦の加法定理)が、これがあるともっと簡単に求めることができるようになります。