【応用】二次曲線と接線
ここでは、二次曲線のうち、楕円と双曲線に対して、一般の形での接線の方程式を考えていきます。
楕円の接線の方程式
楕円 $\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1$ の接線の方程式について考えてみましょう。接点を $\mathrm{ P }(p,q)$ として、この点での接線を考えましょう。基本的には、【基本】二次曲線と直線で見た内容を応用して、二次方程式が重解をもつ条件に帰着させて考えます。
まずは、接線が y 軸と平行ではないときを考えます。このとき、接線の傾きを m とすると、接線の方程式は\[ y=m(x-p)+q \]と書くことができます。また、このとき、 $q\ne0$ であることもわかります。
これが楕円と接するため、次の二次方程式が重解を持つことがわかります。
\begin{eqnarray}
\frac{x^2}{a^2}+\frac{(mx-mp+q)^2}{b^2} &=& 1 \\[5pt]
b^2x^2+a^2(mx-mp+q)^2 &=& a^2b^2 \\[5pt]
\end{eqnarray}最後の式で、 $x^2$ の係数は $(b^2+a^2m^2)$ であり、 $x$ の係数は $2a^2m(-mp+q)$ となります。この二次方程式の重解は $x=p$ なので、次が成り立ちます。(参考:【基本】二次方程式の解の個数と判別式)
\begin{eqnarray}
-\frac{2a^2m(-mp+q)}{2(b^2+a^2m^2)} &=& p \\[5pt]
-a^2m(-mp+q) &=& p(b^2+a^2m^2) \\[5pt]
-a^2mq &=& b^2p \\[5pt]
m &=& -\frac{b^2p}{a^2q} \\[5pt]
\end{eqnarray}傾きはこのように書くことができます。
これを接線の方程式に代入すれば
\begin{eqnarray}
y &=& -\frac{b^2p}{a^2q}(x-p)+q \\[5pt]
a^2qy &=& -b^2px+b^2p^2+a^2q^2 \\[5pt]
b^2px+a^2qy &=& b^2p^2+a^2q^2 \\[5pt]
\frac{px}{a^2}+\frac{qy}{b^2} &=& \frac{p^2}{a^2}+\frac{q^2}{b^2} \\[5pt]
\end{eqnarray}となります。
ここで、点 $(p,q)$ は楕円上の点なので、右辺は $1$ です。以上から、接線の方程式は、接点 $(p,q)$ の座標を使って\[ \frac{px}{a^2}+\frac{qy}{b^2}=1 \]と書くことができます。
また、接線が $y$ 軸と平行なときは、 $(-a,0)$, $(a,0)$ での接線であり、このときの接線の方程式は、それぞれ $x=-a$, $x=a$ となります。これは、さきほど求めた式に含まれています。
以上から、楕円の接線が求められました。
【基本】円の接線の方程式で見た通り、形の上では、円の接線の方程式とほとんど同じです。 $x^2$, $y^2$ の文字を一つだけ接点の座標に置き換えた式になります。
双曲線の接線の方程式
双曲線の接線の方程式は、先ほどの楕円のときとほとんど同じ計算により導くことができます。一部の符号が変わるだけで、次のようになることが確かめられます。
放物線の接線の方程式
ちなみに、放物線の方程式は、すでに二次関数のところで見ています(参考:【標準】二次関数のグラフと直線との共有点)し、微分の手法を使う方法も見ています(参考:【基本】微分と接線の方程式)。
上と同じように、標準形の形から接線の方程式を書く方法もありますが、式自体は覚えにくいので、この時点では見る必要はないでしょう。 $x,y$ をひっくり返して、今まで見たことのある形 $y=ax^2$ にしてから考えたほうがわかりやすいと思います。一応、結果だけ書いておくと次のようになります。
おわりに
ここでは、二次曲線の接線の方程式について見てきました。楕円、双曲線については、わかりやすい式になるので、結果も覚えやすいでしょう。
ここで挙げた式は、覚えていなくても、重解を利用する方法が分かっていれば問題ないでしょう。スピードが要求される試験を受ける場合でもなければ、無理して覚えなくても、導ければ特段問題ないはずです。