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【応用】一次不等式と整数

ここでは、一次不等式と整数が絡んだ問題を見ていきます。

📘 目次

例題

例題
次の不等式を満たす整数 $x$ がちょうど5個存在するような定数 $a$ の値の範囲を求めなさい。\[ x-4 \lt 3x+2 \leqq 2x+a \]

この問題は、【標準】一次不等式と整数の例題2と似ています。リンク先の問題は、「不等式を満たす整数は何個あるか?」で、上の問題は「整数が5個となるのはどのような場合か」となっている点が異なります。

左側の不等式を解くと
\begin{eqnarray} x-4 & \lt & 3x+2 \\[5pt] -2x & \lt & 6 \\[5pt] x & \gt & -3 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。また、右側の不等式は $x\leqq a-2$ となります。

少なくとも $-3 \leqq a-2$ でないと $x$ は存在しないので、 $-3 \leqq a-2$ が成り立つ必要があります。こうして、この不等式の解は\[ -3 \lt x \leqq a-2 \]となることがわかります。

これより、不等式を満たす整数 $x$ が5個だということは、整数の中で上の不等式を満たすものは、 $-2$ から $2$ までだということがわかります。

このようになるには、 $a$ はどういう値ならいいでしょうか。まず、右辺の $a-2$ は、少なくとも $2$ 以上でないといけません。 $2$ 以上なら、必ず「 $a-2$ 以下」の範囲には $2$ が入るからです。

一方、上の限界はどうでしょうか。例えば、 $a-2$ が $3$ になってしまうとどうでしょう。この場合、 $x$ は $3$ になっていいことになり、条件には合いません。 $a-2$ が少しでも $3$ より小さければいいので、 $a-2 \lt 3$ となります。

合わせると、求める条件は\[ 2\leqq a-2 \lt 3 \]であり、整理すると\[ 4 \leqq a \lt 5 \]となります。これが答えです。

少し条件を変えたバージョン

先ほどの例題で、少し不等式の内容が変わるとどうなるでしょうか。

例題
次の不等式を満たす整数 $x$ がちょうど5個存在するような定数 $a$ の値の範囲を求めなさい。\[ x-4 \lt 3x+2 \lt 2x+a \]

右側の不等式の $\leqq$ が $\lt$ に変わりました。これで先ほどの答えはどのように変わるでしょうか。

先ほどと同じように計算すると、 $x$ の範囲は次のようになります。\[ -3 \lt x \lt a-2 \]なので、今回も5つの整数 $x$ とは、 $-2$ から $2$ までの5つとなります。

ここで、右側の $a-2$ について考えてみます。これが $2$ だとどうなるでしょうか。 $x$ は $a-2$ 未満なので、これでは $x$ が $2$ になることはないので、ダメだとわかります。 $a-2$ は $2$ より大きくないといけません。この場合は $2$ が範囲内にあるのでOKです。

一方、上の限界はどうなるでしょうか。今度は $a-2$ が $3$ になったとしても、 $a-2$ 未満の範囲には $3$ は入らず、 $2$ までが入ります。なので、今回は $a-2$ は $3$ 以下となります。

こうして、\[ 2\lt a-2 \leqq 3 \]となり、整理すると\[ 4\lt a \leqq 5 \]となります。これが答えです。

問題文が少し変わるだけで、解答の不等号も変わりました。ギリギリの状況を考えると、どの不等号を使えばいいかがわかりやすくなるでしょう。

おわりに

ここでは、一次不等式と整数が絡んだ問題を見てきました。

整数の個数が変わるギリギリのところ、状況が変わるギリギリのところは、イコールが入るかどうか、慎重に考えましょう。

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