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【標準】二次方程式の解と係数の関係と式の値

ここでは、二次方程式の解と係数の関係を用いた典型的な問題である、式の値を求める問題を考えます。

📘 目次

解と係数の関係と式の値

二次方程式の解と係数の関係を使う問題の一つに、「解を使った式の値を求める」というものがあります。次の例題を考えてみましょう。

例題
二次方程式 $x^2+x+1=0$ の2つの解を $\alpha$, $\beta$ とするとき、 $\alpha^2+\beta^2$ の値と $\alpha^3+\beta^3$ の値を求めなさい。

この方程式の解は、\[ x=\frac{-1\pm\sqrt{3}i}{2} \]となりますが、この2乗や3乗を計算したいとは思わないですよね。直接、解を使うのではなく、解の和と積を使って、値を求めることを考えましょう。

【標準】対称式の値で見た内容ともかぶりますが、まずは、 $\alpha^2+\beta^2$ について考えましょう。これは、2乗となっているので、 $(\alpha+\beta)^2$ が利用できるのではないか、と予想できます。展開すると、余分な $2\alpha\beta$ が出てきますが、解と係数の関係からこれも簡単に求められます。この方針で解いてみましょう。

解と係数の関係から、\[ \alpha+\beta = -1,\quad \alpha\beta=1 \]となります。これを用いれば
\begin{eqnarray} \alpha^2+\beta^2 &=& (\alpha+\beta)^2 -2\alpha\beta \\[5pt] &=& (-1)^2 -2\cdot1 \\[5pt] &=& 1-2 \\[5pt] &=& -1 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。解と係数の関係を使うのははじめだけで、この問題で難しいのはその後の変形ですね。【標準】対称式の値の内容はよく出題されるので、見直しておきましょう。

3乗同士の和については、 $(\alpha+\beta)^3$ から不要な部分を引いて、求められます。
\begin{eqnarray} \alpha^3+\beta^3 &=& (\alpha+\beta)^3 -3\alpha^2\beta -3\alpha\beta^2 \\[5pt] &=& (\alpha+\beta)^3 -3\alpha\beta(\alpha+\beta) \\[5pt] &=& (-1)^3 -3\cdot1\cdot(-1) \\[5pt] &=& -1+3 \\[5pt] &=& 2 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。

解を直接求めなくても、解と係数の関係を用いれば、このように値を求めることができます。

解と係数の関係と式の値その2

先ほどの例題を、少し別の角度から考えてみましょう。

例題
二次方程式 $x^2+x+1=0$ の2つの解を $\alpha$, $\beta$ とするとき、 $\alpha^2+\beta^2$ の値と $\alpha^3+\beta^3$ の値を求めなさい。

上の求め方は、 $\alpha$, $\beta$ の対称式だと考えて式変形をしました。しかし、二次方程式の解であることを使って、もう少し計算を簡単にすることもできます。

$\alpha$ は $x^2+x+1=0$ の解なのだから、 $x=\alpha$ を代入すると、この等式が成り立つはずです。なので、\[
\alpha^2 = -\alpha-1 \]が成り立ちます。 $\beta$ も同様です。このように、二次方程式の解であることを使えば、二次式を一次式に変換し、次数を下げることができます。似たような考え方は、【標準】式の値(次数下げを用いて計算)でも出てきました。

この次数下げを行うと、2乗の和は
\begin{eqnarray} \alpha^2+\beta^2 &=& (-\alpha-1) +(-\beta-1) \\[5pt] &=& -(\alpha+\beta)-2 \\[5pt] &=& 1-2 \\[5pt] &=& -1 \\[5pt] \end{eqnarray}と求められます。また、3乗の和は \begin{eqnarray} \alpha^3+\beta^3 &=& \alpha \cdot \alpha^2 +\beta \cdot \beta^2 \\[5pt] &=& \alpha(-\alpha-1)+\beta(-\beta-1) \\[5pt] &=& -\alpha^2-\alpha -\beta^2-\beta \\[5pt] &=& -(-\alpha-1)-\alpha -(-\beta-1)-\beta \\[5pt] &=& \alpha+1-\alpha +\beta+1-\beta \\[5pt] &=& 2 \\[5pt] \end{eqnarray}となります。次数下げを2回しています。

場合によっては、こちらの方が計算が楽になる場合もあります。一つ目の方法でも、こちらの方法でも、どちらでも出せるようになるのが望ましいです。

おわりに

ここでは、解と係数の関係を使って、解を用いた式の値を求める問題を見ました。対称式の変形や次数下げのテクニックを使って求めることができます。解を直接使うよりも計算はだいぶ楽になるので、こうした手法を身につけておきましょう。

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